陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

ノンビリ

one flame㉟

「せーの！」

机の上に敷いたアルミホイルにご飯をひっくり返す。弁当に入れてきた人やご飯のタッパーに入れてきた人。そのどちらのご飯もアルミホイルの上で山盛りになって、きいが持ってきたしゃもじで広げられる。

　その上にレタスが丸丸1玉分のっけられ、全体に広げられる。

「次俺やな。」

奏は大量のひき肉を入れたタッパーを取りだし、その蓋を開ける。その瞬間、肉々しい匂いが漂ってきて教室全体を包む。

「じゃあ次は俺か。」

カレンも大量のミニトマトが入ったタッパーを取り出して、周りに盛り付ける。

「じゃあ最後に～！」

私は業務スーパーで買った1kg分のとろけるチーズをかけ、それをバーナーで炙った。

　最後の昼休み。今日はクラス全員でタコライスだ。まぁちょっとはアレンジしているが。

「は～い！今のうちに写真撮っといてね～！」

食べ始めてからの写真もありだが、みんな今スマホを取り出したので、しばらくの間写真タイム。それぞれ仲のいいグループで固まって写真を撮っている。

「全員で撮ったりせんの？」
「撮るけど、今は私達も撮っとこ。」
「やな。」

スマホをインカメにして、タコライスをバックに写真を撮る。しばらくしたら写真欲よりも食欲の方が勝った人種がでてきて、タコライスに手を伸ばそうとしている。

「はいはい！食べる前に全員で写真撮るからタコライス囲むようにして並んで。人呼んでくるから。」

私は隣のクラスに行って、桜をすぐに見つけた。

「桜、写真撮って～！」
「えっ？いいけど。そっちのクラス？」
「そそ。」

教室内はピザの匂いが充満していて、桜の手にもピザがある。少し悪いことをしたかなって思うけど、桜は口の中にピザを詰め、それをコーラで流し込んだ。

　G組に戻ったらみんなうずうずしながら待っていた。

「はい寄って寄って～！奥のほうちょっと入ってない。おけおけ。入った入った。」

私もその輪の中に入って奏の肩にしがみつく。

「おい、そういうことあんませんのちゃうんか？」
「家ではいっつもこんな感じやん。」
「ここ学校な。天下の往来な。ユーノー？」
「ちょっと何言ってるか分からないなー。」

誤魔化しながらそう言うと、奏は諦めたように笑う。諦めたようには見えるけど、目だけは優しいまんまだ。

「こっち見てー！」

桜のほうをみたらシャッターがきられる。私は全力で笑った。