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ノンビリ

one flame⑳

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「なあ、高校生活もあと20日ぐらいだとよ。」
「そこ曖昧になったら感動が薄れまくるやろ。」
「しゃーないやん。数えんの面倒臭いんやもん。」

卒アルの作成をしているゆーちゃんを手伝いながら、私は教室に貼ってあるカレンダーを見る。

 期末テストまであと2週間。そして、テスト自体が1週間。その後はもう学校に来ることはほぼない。

「でもまさか、さくちゃんが福井行くとはね。そんな気はしてたけど。」
「寂しい?」
「そりゃあ、寂しいよ。せっかくまた一緒にいれたのに、すぐ離れるんやもん。」

ゆーちゃんは写真を上手く切って貼っていく。作っているのはクラスページ。ちょっと前に撮っていたクラス内の写真を載せるページだ。ここの制作は私たちに任されていて、委員が中心になってやっている。

 ゆーちゃん自身は公立大学を目指すようだ。最近無償化になったとかで、倍率がとんでもない事になっているらしい。

「大丈夫やで。今回は消えるんちゃうから。戻ってくるし、連絡もする。」
「言うたで。やらんかったら次会った時は罰ゲームな。」
「ゆーちゃんも同じルールな。それならやろう。」
「いいよ。」

 ゆーちゃんが作っているページを覗き込む。やっぱりゆーちゃんはセンスがいい。どの写真を見せたいのかも分かるし、枚数を結構貼っているのにごちゃごちゃしている印象がない。

「さくちゃん、ここにクラス書くん頼める?」
「おっけー。フォントどんな感じ?」
「カワイイ系。可愛かったらなんでもよし。」
「了解!」

ゆーちゃんはそう言っているが、担任のこととか考えたら氷っぽいデザインの方がいいだろう。1枚の氷の上にクラスを型どった氷があって、その隣にペンギンがいる。そんな感じ。

「やっぱりレタリングすんの上手いな。そっちがそういう感じなら、こっちのコンセプトも合わせるか。」
「今から出来んの?」
「できるやろ。」

私が使い終わった色鉛筆を滑らせて、氷の上に写真が乗っているように変えていく。

「へぇ、コンセプトは南極か。」
「そうそう。いいやろ?」

隣のクラスで同じように作業していた久志がこっちのクラスに来て言う。

「どしたん?」
「そっちの作業どんな感じかなって。俺もうそろそろ帰るからさ。」
「じゃあ私たちもそうしよっかな。さくちゃん、明日も残れる?」
「いいよ。」

ゆーちゃんは片付け始めて、私も荷物をまとめる。

 あと20日くらい。長いようで短かった高校生活ももうラストだ。
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