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コタエハ

俺たちは答えを知らない⑥

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「そーうー?」
「ごめんごめん。」

俺は両手に持ったシャーペンを置く。昨日の夜、椅子を重ねて作ったドラムで練習をしていたが、何回やっても納得いくのが出来なかった。だから、準備をしながら練習していたのだ。

「分かるけどね。私もソロのとこまだ出来てないから。」

3人が完成させているからこそ俺たちは焦っている。このままなら足を引っ張りかねないから。俺たちがミスしたらこのライブが成功とは言えない。それは、この曲が最後の曲でこの文化祭通しての最後の曲だからだ。

「2人ともなんか焦ってる感じ?」
「大変そうやなぁ。」

頬の下に絵の具をつけているきいとカレンがやってきてそう言う。

「2人ともポスターは?」
「今は私たちの画力じゃ足りんから任せてる感じ。で、どうしたん?」

机の上に置いているドリンクを飲んで汗を拭うきいは、この中ではおそらくQのことを1番知っている。

「トリでやる曲がちょっとムズくてな、出来ひんねん。」
「私もそう。指が追いつかんって感じ。」
「なるほどね。」

きいは少し悩むような仕草を見せる。この2人の曲は何回も聞いているからどんな状況か分かるのだろう。

「なら、ちょっとだけ変えてもいいんちゃう?」
「「え?」」

きいが出した結論に思わず声が出た。制作を任せた時点で俺たちは2人の曲の奴隷になったようなもの。つまり、俺たちに変える権利はないと思っていた。

「そんなことしたらあの2人怒ったりせぇへん?」
「それっていいん?2人の出した最適解なんやで?」
「ひい君と桜やで。怒ると思う?」

きいの言う通りだった。Qと桜が怒るわけがない。あの2人は根っから優しいから。俺たちが付き合っているのを隠していたのを知ったときでさえ、怒ろうともしなかった。嘘をついていたのに怒らなかった。

「それに、あの2人の想像を超えてきたらええねん。奏と楓が2人よりもいいものを作ったら、なんも文句言われへんやろ?あの2人はクリエイターなんやから。」

忘れてはいけないことを忘れていた。あの2人はクリエイターなんだ。幸いにも打ち込めるソフトはうちにある。

「楓。」
「分かってる。今日の晩やろ?」
「徹夜コースなるかもやけどええか?」
「ええよ。明日テストとかないし。」

今日の練習後、データを貰おう。そしてこの曲を昇華させよう。

「話し終わったんなら看板製作進めてや。さっきから全然進んでないぞ。」
「カレン、このタイミングで言うな。」
「せっかくいい感じやったのに。」
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