647 / 756
マナツノ
聖地巡礼②
しおりを挟む
「そろそろ行くか。」
奏の声で海を上がって、水分を拭き取る。濡れた水着の上から昨日の服を着て、荷物を持った。
向かうのは近くにある温泉。ここの露天風呂からは瀬戸内海が一望できて、この旅行の目玉の1つなのだ。
「桜やっぱりさ、ちょっとおっきくなった?」
「そう?そんな感じあんまりせーへんけど。」
脱衣所で服を脱いでいると、隣に立つ楓がそんなことを言ってくる。そう言う楓も、少し前よりは大きくなったような気がするが、これはあえて口に出さない。絹のような白い肌はいつ見たって目を奪われる。私もスキンケアはちゃんとしてるが、ここまで綺麗じゃない。そしてその白さが、楓の茶色い髪をより一層映えさせる。
「こんな彼女がいるなんて、奏は幸せ者やな。」
「まあ、あいつのためにも可愛くいたいから。」
珍しく少しデレた。そんな楓が可愛くて、少し笑ってしまった。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
風呂の入り口のところからそんなきいの叫び声が聞こえてくる。
「どうしよう!どうしよう!2kgも増えちゃったぁ!」
きいは脱衣所中に聞こえる声でそう言う。きいの事だからどうせこの夏休み中動いてなかったんだろうな。
「大丈夫大丈夫、分からんて。」
音羽もそう慰めているが、音羽のその女子の理想を詰め込んだ体型を晒されながら言われると、嫌味にしか聞こえてこない。
まずは体を洗って、そして露天風呂に出る。
「わぁー!」
さっきまで死にそうな顔をしていたきいも、その大海原を見たら、ててててと柵の方まで走り始める。
「きいだな。」
「絶対きいや。」
「この声そうなん?分からんわ。」
隣の柵の向こうからそんな声が聞こえてくる。
「久志、おんの?」
「女子たちも出てきたんやな。」
オープンしたてだからほぼ貸切状態。私たちは少しだけ大きな声で話し始めた。
「そっちどんな感じ?」
「そんな変わらんと思うで、海がめっちゃ綺麗なだけ。」
柵の向こうの久志と笑い合いながら喋っていると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「アニメみたいなことを現実でやっちゃう人ってホンマにおるんやな。」
「どうぞどうぞ続けて。」
「やっぱり桜は2次元の存在やねんな。」
とても不服だが、聞こえなかったことにして、久志との話を続けた。
そして昨日思うように浸かれなかった浴槽に入り、昨日から溜まったまんまの疲れを抜いた。
奏の声で海を上がって、水分を拭き取る。濡れた水着の上から昨日の服を着て、荷物を持った。
向かうのは近くにある温泉。ここの露天風呂からは瀬戸内海が一望できて、この旅行の目玉の1つなのだ。
「桜やっぱりさ、ちょっとおっきくなった?」
「そう?そんな感じあんまりせーへんけど。」
脱衣所で服を脱いでいると、隣に立つ楓がそんなことを言ってくる。そう言う楓も、少し前よりは大きくなったような気がするが、これはあえて口に出さない。絹のような白い肌はいつ見たって目を奪われる。私もスキンケアはちゃんとしてるが、ここまで綺麗じゃない。そしてその白さが、楓の茶色い髪をより一層映えさせる。
「こんな彼女がいるなんて、奏は幸せ者やな。」
「まあ、あいつのためにも可愛くいたいから。」
珍しく少しデレた。そんな楓が可愛くて、少し笑ってしまった。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!」
風呂の入り口のところからそんなきいの叫び声が聞こえてくる。
「どうしよう!どうしよう!2kgも増えちゃったぁ!」
きいは脱衣所中に聞こえる声でそう言う。きいの事だからどうせこの夏休み中動いてなかったんだろうな。
「大丈夫大丈夫、分からんて。」
音羽もそう慰めているが、音羽のその女子の理想を詰め込んだ体型を晒されながら言われると、嫌味にしか聞こえてこない。
まずは体を洗って、そして露天風呂に出る。
「わぁー!」
さっきまで死にそうな顔をしていたきいも、その大海原を見たら、ててててと柵の方まで走り始める。
「きいだな。」
「絶対きいや。」
「この声そうなん?分からんわ。」
隣の柵の向こうからそんな声が聞こえてくる。
「久志、おんの?」
「女子たちも出てきたんやな。」
オープンしたてだからほぼ貸切状態。私たちは少しだけ大きな声で話し始めた。
「そっちどんな感じ?」
「そんな変わらんと思うで、海がめっちゃ綺麗なだけ。」
柵の向こうの久志と笑い合いながら喋っていると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「アニメみたいなことを現実でやっちゃう人ってホンマにおるんやな。」
「どうぞどうぞ続けて。」
「やっぱり桜は2次元の存在やねんな。」
とても不服だが、聞こえなかったことにして、久志との話を続けた。
そして昨日思うように浸かれなかった浴槽に入り、昨日から溜まったまんまの疲れを抜いた。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる