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セナカヲ

私たちはショッピング②

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 とりあえず本館にあるスポーツ用品店へ。ここならスポドリの粉の種類が多く、値段も抑えられるのだ。

「どれにする?やっぱ定番のやつかな?」
「せやろな。BAAMはちょっと高すぎるし、やっぱアレクリアスが味も一番いいし。」

そう言ってポンポンとカゴの中に入れていく私たち。ちょうどセール中だったようで、ネットよりも安い値段で売られている。なかなかこういうのはないから、この期を逃したら次がいつになるやら。

「そんなけ買ってお金大丈夫なん?一応私はお母さんに貰ってるけど。」
「大丈夫やで。月イチでお母さんから振り込まれる水泳代から出してるから。たぶんこうやって使えってことやろうし。」

私のお金は全てお母さんからの水泳代から出すことになっている。まぁ、遊び代はお小遣いから出すことになっているが、そんなに遊ばないのでほとんど貯金に回っているのだ。

 とりあえずお目当てのスポドリは買ったので、店内を何となく歩き回る。そしてやっぱり目につくのが、店内真ん中くらいに位置しているTシャツゾーンだ。

「なぁ真奈。」
「杏、私も思うた。」
「お揃いのTシャツ買わへん?私たち他のみんなに比べたら持ってるTシャツ少ないし。」
「やな。」

とりあえず歩きながら色々見ていく。ここはTシャツの種類も多いから選び放題。プールサイドは暑いからやっぱりドライの素材の方がいいし、ポロシャツよりもTシャツの方がいい。そうなると自然と種類が限られてくるわけで…

「ここら辺か。」
「せやなぁ。」

ドライTシャツが固まっているエリアで私たちは立ち止まった。素材が決まればあとはデザインだけ。目についたやつを見ながら、かわいいデザインを選んでいく。

「これ可愛い。」
「どれどれ?」

私は見つけたTシャツを身体の前に持って、着たようにする。ベージュのシンプルなデザイン。胸元にはブランド名が書かれていて、フォントも可愛い。

「良き。これにしよ。」
「いいん?もうちょっと見いひん?」
「いや、こういうのは直感が1番やから。これでいこ。」

真奈はカゴに自分の分を入れて、レジに向かう。その後ろを追って私もレジに向かった。

 ちょっと思ったより高い出費だった私たちは、映画館の下にあるハンバーガー店で早めの昼食をとっている。

「軽い。軽いなぁ。」
「真奈。買っちゃったんやからしゃーないって。」
「そんなこと言われても軽いもんは軽いねん。」

スポーツ用品店でお財布をそこそこ軽くした私たちは、映画を見たあとにどこかで遊ぶなんてことはちょっとしか出来なそうだ。

「でも、必要な物やったんやし、しゃーないしゃーない。」
「杏はまだ残ってるから余裕やなぁ。私なんて、あと英世が2枚しか残ってないよぉ。」

がっくりと机に突っ伏す真奈を肴に、私はジュースを飲んだ。
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