上 下
522 / 739
セナカヲ

私は入学式③

しおりを挟む
 学校について周りを見てみると、両親を連れている人が多いようだ。私と真奈は全く似ていないので、双子と思われるようなこともないし、こんな感じならバカ兄たちでも連れてきたほうが良かったかな?

「由良先輩連れてきたほうが良かった?」
「なんでそんなこと思うんよ?」
「なんかそんな顔してたから。あっ、向こうでクラス発表してるで。見に行こ。」
「あっ、ちょっ…」

私は真奈に手を引っ張られてクラス発表をしている掲示板の前に行く。もう確認した人が多いのか、前は空いていた。

 とりあえず私の名前を探す。『由良』だから下の方を攻めていったら…あった。バカ兄と同じC組か。なんか孤島って言ってたけど、どんなもんなんやろ。

「おっ、C組や。杏は?」
「C組。一緒やな。」
「やったー!1年間よろしく!」

真奈は私に抱きついてくる。めっちゃ注目されてる。恥ず。

 とりあえずC組のある5階に上がって、自分の席を確認する。廊下側真ん中か。普通の席やな。ちなむと出席番号は37番。

「なんでいきなり…」

真奈は教卓の前の神席を引いたようだ。出席番号は7番。『き』の運命なんだろう。

 自分の席に鞄を置いて、ふと隣の席に目をやる。目が合った。

「よろしくね。」
「ひっ!お、俺?」
「うん。そそ。」
「よ、よろしく。」

私が声をかけると少し驚いて、そして視線を逸らしつつそんな挨拶をしてきた。私の隣の席ならこれからも関わりはあるはずだから、軽くは接しとかないと。

「私は由良杏。君は?」
「俺は…日高川憲士。」
「ケンシ?どうやって書くん?」
「憲法の『憲』に『士|《さむらい》』。『杏』ってあんず?」
「そーやで。じゃあよろしくね。日高川くん。」
「よろしく、由良さん。」

どこか久しぶりに感じる感覚に懐かしさを覚えながら自分の席に戻る。もう一度日高川くんの方を見てみると、さっきは光の当たり方で気づかなかったけど、髪が少し茶色くて、プリンみたいになっていた。

「まさか…ね」

私は時間になるまで1度眠ることにした。

 やがて教室が騒がしくなってきて、私は目を覚ました。

「あっ、起きた。おはよ杏。」
「ん?真奈か。もうそんな時間?」
「いや、喋りに来てみたら寝てるから待ってた。」

真奈は前の席に後ろ向きに座って、背もたれに腕をかけている。前の席の子はまだ来ていないようなので、迷惑をかけることにはなっていない。まぁ来たら真奈なら退くだろうけど。

「着席。点呼するから座れ。」

ちょっとピリついた空気の女の先生が入ってくる。

「山下がまだと。じゃあこれから1年間このクラスを担当する黒潮だ。よろしく。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

漫才部っ!!

育九
青春
漫才部、それは私立木芽高校に存在しない部活である。 正しく言えば、存在はしているけど学校側から認められていない部活だ。 部員数は二名。 部長 超絶美少女系ぼっち、南郷楓 副部長 超絶美少年系ぼっち、北城多々良 これは、ちょっと元ヤンの入っている漫才部メンバーとその回りが織り成す日常を描いただけの物語。

そらに光る星~誇り高きぼっちの青春譚~

もやしのひげ根
青春
【完結まで毎日投稿!】 高校2年生の神谷は『ぼっち』である。それは本人が1人が好きだからであり、周囲もそれを察している結果である。 しかし、そんな彼の平穏な日常は突如崩れ去ってしまう。 GW明け、クラスメイトの美少女から突如告白される......のだが、罰ゲームか何かだろうとあっさり断ってしまう。 それなのにその美少女はめげずに話しかけてくる。 更には過去にトラウマを抱える義妹が出来て快適な1人暮らしが脅かされ、やかましい後輩までまとわりついてきてどんどん騒がしくなっていく。 そして神谷が『ぼっち』を貫こうとする本当の理由とは——

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

陽キャグループを追放されたので、ひとりで気ままに大学生活を送ることにしたんだが……なぜか、ぼっちになってから毎日美女たちが話しかけてくる。

電脳ピエロ
恋愛
藤堂 薫は大学で共に行動している陽キャグループの男子2人、大熊 快児と蜂羽 強太から理不尽に追い出されてしまう。 ひとりで気ままに大学生活を送ることを決める薫だったが、薫が以前関わっていた陽キャグループの女子2人、七瀬 瑠奈と宮波 美緒は男子2人が理不尽に薫を追放した事実を知り、彼らと縁を切って薫と積極的に関わろうとしてくる。 しかも、なぜか今まで関わりのなかった同じ大学の美女たちが寄ってくるようになり……。 薫を上手く追放したはずなのにグループの女子全員から縁を切られる性格最悪な男子2人。彼らは瑠奈や美緒を呼び戻そうとするがことごとく無視され、それからも散々な目にあって行くことになる。 やがて自分たちが女子たちと関われていたのは薫のおかげだと気が付き、グループに戻ってくれと言うがもう遅い。薫は居心地のいいグループで楽しく大学生活を送っているのだから。

M性に目覚めた若かりしころの思い出

なかたにりえ
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。 一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。

陰キャには陽キャの彼女はできないと仮定する

136君
青春
高校2年理系コースに進んだ主人公、橘悠人は根っからの陰キャだ。休み時間はカバーの被ったラノベを読み、学校が終わったら一人で帰る。昼飯も一人で食べ、学校で口を開くのは授業で当たったときくらいだ。 そんな悠人の隣に座っているのは渡月ちはや。クラスの一軍女子に位置する陽キャで、ファンクラブもある。悠人はそんなちはやに話しかけられるようになった。 「陰キャ」と「陽キャ」の世界は2分されていると考える悠人。そんな悠人とちはやの時間がゆっくりと進み始める。

俺たちの共同学園生活

雪風 セツナ
青春
初めて執筆した作品ですので至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。 2XXX年、日本では婚姻率の低下による出生率の低下が問題視されていた。そこで政府は、大人による婚姻をしなくなっていく風潮から若者の意識を改革しようとした。そこて、日本本島から離れたところに東京都所有の人工島を作り上げ高校生たちに対して特別な制度を用いた高校生活をおくらせることにした。 しかしその高校は一般的な高校のルールに当てはまることなく数々の難題を生徒たちに仕向けてくる。時には友人と協力し、時には敵対して競い合う。 そんな高校に入学することにした新庄 蒼雪。 蒼雪、相棒・友人は待ち受ける多くの試験を乗り越え、無事に学園生活を送ることができるのか!?

処理中です...