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アケボノ

ルスツ④

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 少しアイスバーンになっているが、関西よりは滑りやすい。コースも横幅が広く、開放感がある。ただ、こんなことになっていなければ。

「おーい!早く嵌めて戻ってこい!」
「生き返れ!」

いつもコケるのは同じ3人で、いや、2人になった。カレンはもうコツを掴んで完全に俺たちと一緒に滑れるようになっている。ってかそれが普通なんやけど。どうも板があんまり合っていなかったらしい。細すぎるとか。あと、ビンディングの前側が緩くて、ちょっと無茶して曲がろうとしたら、すぐに外れるみたい。俺たちの中では1番慎重に滑るから、コケた奴らの対処をしてくれているのだ。

 そしてコケるのは2人。新川と梶本だ。2人とも経験は1回とか2回とかそんなもんで、まだフォームも安定していなくて、重心が後ろだ。

「次は向こう側のコース行くからな。行けるやろうし。」

イントラの人は、さっきまでとは違うリフトに向かう。その後ろを俺たちはついて行った。

 リフトには白野とカレンと一緒に乗った。

「左側は滑らんよな。」
「さすがにあんなんは滑らんやろ。ボードみたいにコケたら止まるわけでもないねんから。」

左側には傾斜がキツいコースとモーグルができるようなコースがある。そして右側に広がっているのは…

「知ってたけど。」
「よな。」
「ボードの死体がいっぱいおる。」

リフト降り場からコースに出たところに、ボーダーがいっぱい転がっている。嵌めていることは知っているが、やはりもう少し向こうでやって欲しいものだ。

 リフトを降りてコースに出る。イントラの人が横滑りの練習をするように言ってきたので、横に滑り始めた。

「出来ひん。」
「俺も無理やわ。」

何回やっても横に向いたら滑らない。それは白野も一緒で、列から少し外れてもう一度やり始めたが、結局追いつくまで一回も出来なかった。

「これが出来たらどんな斜面でもとりあえずは降りれるから。じゃあ行こか。」

イントラの人は横にあるリフトの下をくぐるコースに進む。

 広いコースに出て、そこにはちょっとした急斜面があった。

「よし、みんなそこの下行って。ちょっとカッコつけるから。」
「それ言ったらあんまりカッコよくなくなりますよ。」
「いや、それでもカッコいいはずや。」

イントラの人だけ坂の上で止まって、俺たちは大きく回って坂の下へ。手を挙げると、イントラの人が、さっき見たようなコブのところを滑り始めた。

『うぉー。』

止まって待っている俺たちは、そうやって声を上げる。やはり、イントラってすごいな。

「どや、カッコよかったやろ。」

その言葉がなければもっとかっこよかったのに。
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