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アケボノ

チョコレイトプロジェクト①

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 男子たちがそわそわし始める季節。冬のこの時期になると、なんか男子たちがそわそわしている。毎年毎年、貰えないと分かっていても少しは期待してしまうのだ。

「楓ぇ~!ちょっと相談させてぇ~!」
「なんじゃい桜。そんなに焦って。」

何気ない平日を送るつもりだったのに、桜が飛びついてくる。最近は桜もうちのクラスに遊びに来るのが当たり前になってきて、「なんで?」って目で見られることはなくなった。それでも、「またやってる」って目では見られるわけで、少し視線が痛い。

「んで、どないしたん?」
「バレンタイン作ろうと思って。」
「あ~、なるへそ。Qがおるから作れへんねんな。」
「そゆこと!」

桜は耳元で嬉しそうに笑う。私も悩んだものだ。私たちはお互いの家を行き来していたからどのタイミングで作ればバレないか。結局朝作るって結論に至ったけど、一緒に住んでいるならそれも無理だ。

「だから、楓の家で作らせて!」
「え~っ。」

私ん家ならいつでも大丈夫やけど、いつ奏が凸ってくるか分からんし、どないしよ。

 しれっと奏を見る。そう離れていないところにいるから会話は聞こえてるやろ。

「(今から言う日は絶対に来んといてな。)」
「(うい。)」

先に言っといたら絶対に大丈夫だ。奏はそういう奴やから。

「じゃあ13日。昼過ぎ…2時に私の家来て。」
「やったー!ありがとう!」

こんな感じで接されたら私のキャラも潰れてしまうのに、桜の勢いがすごすぎて何も言えない。でも可愛いし、なんか妹みたいやし、いいか。でも、桜の人気が高くなりそうな気がしたので威嚇しておこう。もうQの彼女やし。

「あっ、楓おった!」
「よぉ~っす!やっぱりさくちゃんここおった。」
「あっ、来たん?」

甘えてきた桜を軽く撫でていたら、音羽と柚音ちゃんもやって来た。

「楓さ、どうせ桜からバレンタイン作る場所提供してって頼まれてたやろ。」
「せやで。」
「それ、私も行かせて!」

…おっと??

「ついに?!」
「まぁ、こんな感じで行事があるときくらいしか…ね?タイミングが見つからんのよ。」

音羽が顔を赤らめる。こんな顔、見たことない。やっぱり新宮くんにするんだ。

「分かった。音羽が頑張るんやったら、私もちょっと気合い入れへんとあかんな。」
「ちょっと!そんなことせんでいいって!普通でいいから!」
「わかってるわかってる!とりあえずママにブランデー頼んどくから。それともウイスキー?」
「だからいいって!」

今年のバレンタインはめっちゃおもろそうだ!
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