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ミカヅキ

救済措置⑤

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かこ:『じゃあラストは私たちのやね』

『ラスト』という言葉が重く感じる。何で今まで送るのを躊躇っていたのだろう。最後に送るってなったらやっぱりプレッシャーが凄い。

 『シネラリア.mp3』というファイルを見つけ出して、それを送った。

「送っちゃった~!!」

 シネラリアとは何か気になって調べたのだ。原産地は北アメリカやカナリア諸島とか。日本ではサイネリアと言われることが多いらしい。そしてかつて呼ばれていたのは『富貴桜』という名前。たぶんこれを調べて書いたのだと思う。しかも、原産地の1つであるカナリア諸島は太陽に一番近い島と呼ばれていて、このグループにもピッタリだ。

 あとこの曲のことをあげるとするならば、所々に花言葉が散りばめられているところだろう。『華のような恋』の意味が分からなくて調べたらそう出てきたから。

 あとこれは私の思い過ごしかもしれないけど、由良くんにとって有田さんは太陽みたいな存在だったんだと思う。そうでもなかったらこの花を選ばないだろう。

 やっぱり、敵わないな。

 少し悲しくてベッドの枕に顔を埋めていると、通知音が鳴った。

Kaede:『言うことなし』
Oto:『やっぱりQのはQの曲やな』
ユズ:『変に心配した私が悪かったね』

心配ってなんでだろ?私は信頼しかしてなかったのに。

ユズ:『あんなけ近くにいたさくちゃんがいきなりいなくなったから、どんな病み病み曲を書いてくるかなって思ってたのに』
Q:『さすがにそんな曲書かねぇよ』

確かにそうか。いや、普通そうか。2人の距離感は異常だった。高校で初対面のはずなのに、距離感が近いのが当たり前みたいな、自然みたいな、そんな感じの空気が2人にはあった。それこそ、何年も連れ添っているカップルとかそんな感じみたいだ。

Q:『俺も俺なりに考えたからな。病み曲にするか、普通にするか』
  『結局は普通の曲になったけど』

それもこれも、有田さんを心配させないためなんだろう。これで病み曲を作ってたら、変に心配させてしまうかもしれない。だから慣れない曲調の曲を書いた。

 この曲を書いてから、由良くんの考え方が少し見えてきたような気がする。いつもその中心にいるのは有田さんのことで、有田さんを想って書いているのだろう。

かこ:『普通の曲やないよ』
Kaede:『それを普通にやってるのが化け物なまでもある。』
Q:『ひどい言われ様だ』

だって1人のことを想って書いた曲が、こんなにも刺さっているのだから。
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