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バイバイ

体育祭Ⅱ⑧

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 結局陰キャの俺はこんな陽キャの巣窟みたいな盛り上がりの借人競走では借りられず、午前最終競技の騎馬戦の待機場所へ。各グループで一丸となって戦い、優勝を目指すトーナメント戦だが、俺にとってはそんなことよりも重要なことがあった。

「よぉーし、頼むで~!」
「1番の切れ者であるお前に任せた!」
「俺、そんなに目立ちたくないんやけど。」
「そんなこと言って、最後らへんまで残って目立ったりするんちゃうん?何気に運動神経そこそこいいし。」

俺がいる騎馬が全員陽の空気を醸し出していること。しかも、俺は土台の前と目立つポジションになってしまったのだ。上に乗るのはサッカー部の…なんだったけか?忘れた。そして土台の左右はアメフト部の…忘れた。でも、この2人の身長が同じくらいだから、土台が安定するように俺が前になって…あぁ、死にたい。いっそ殺してくれ。

「ダメだ。どんなに励ましてもこいつから負のオーラが止まらねぇ。」
「逆に濃くなってねぇか?」

そうですよ。あんたたちのせいでね。

 そんな会話をしてる間に、ついに俺たちの番に。面倒臭いがとにかく目立たないように立ち回ろう。

 まずはオレンジチームとの対戦。ブオォウオォォ~って法螺貝の音で戦いの火蓋は切られた。

 とにかく目立たないようにする方法その1。誰とも戦うな。最初の方に負けてしまうと、そこから後ろに下がって、いい見せしめになってしまうので注意だ。

「戦いたい!戦いたい!」

上に乗ってる陽キャA君が暴れる。

「今は突っ込んでもやられるだけだ。今は周りを見つつだな。」

 方法その2。中盤で一気に仕掛ける。中盤になると大将レベルの騎馬に注目が集まるのでそこら辺で負けるとあまり目立たない。これにてミッションコンプリート…

「1人目!」

「2人目!」

「3人目!」

「4人目!おいおい!かかってこいよ!」

なんかめちゃくちゃ勝ってるんだが。しかも、わざわざ3年生が集まってるところに凸ったのに。これじゃあ、目立っちまうじゃねぇか。

『そして、大将のハチマキを2年生が取ったぁぁぁ!』

そんな放送部の実況通り、うちの騎馬が大躍進。オレンジチームの大将の騎馬を落とした。

「お疲れ~!」
「お前らナイス~!」

自陣に戻るとそんな感じで褒め称えられる。俺以外の3人は「ウオォォォー!」とか「ウエェェェェイ!」とか叫んでいるが、俺はただ無言。

 いっそ殺してくれ。
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