346 / 666
バイバイ
祭囃子⑫
しおりを挟む
「撮りまーす!笑って笑って~!2人ともぎこちなーい!」
きいと2人で苦笑を浮かべながら写真を撮る。富田さんって関わったことなかったから知らなかったけど、こんな感じなんや。
「今撮った写真と記念品でーす!」
富田さんはハイテンションのまま、記念品であるタオルを渡してくる。『KOKUGAKU FES. 2023』の文字がプリントされているタオルは色々な色があって、それをランダムに渡している感じだ。俺は黒のタオルを、きいは水色のタオルをそれぞれ受け取った。
「それじゃ、文化祭をもっと楽しんでくださーい!」
「ありがとうございマース」
「えっと、失礼しましたー…」
逃げるように生徒会室を後にして、喧騒の中に戻る。いや、また別の喧騒に突っ込む。
校舎前には見慣れた顔があった。
「おかえり。その様子やと生きて帰ってこれたっぽいね。」
「2人ともギリギリな。一瞬意識飛ぶかとおもったわ。」
「ほんと、基本的な受け答えはひい君がやってくれたからマシやったけど、あれと喋らなアカンかったら…」
「きい、想像しない方がマシやで。」
きいの顔が青ざめていくのが見えて、こっちに戻ってくるように声をかける。それだけでは戻ってこなかったので肩を揺さぶってみればやっと意識が戻ってきた。
「三途の川が見えた。」
「それはようござんした。」
そんな俺たちを見ている桜はいたって普通っぽい。そこまで変なことをされなかったのだろうか。
「桜はどうやったん?」
「私は大丈夫。さっきコーヒー飲んできたから。」
「「あ~」」
随分苦労したんだなと思いつつも、労いの言葉は出てこない。こういうのは虚しくなるだけだから。
「桜も今暇なん?」
「きい達も?」
「私たちはとりあえずもうシフトは入ってないから。」
「あとは適当に回るだけ。」
もうあと1時間ほどしかないが、とりあえず最後まできいと回るつもりだった。
「桜、一緒に回ろ!」
「い、いいけど。」
きいの勢いに押されて頷く桜。ラスト1時間はこの3人であいつらに届けれるくらいの思い出を残そう。
きいと2人で苦笑を浮かべながら写真を撮る。富田さんって関わったことなかったから知らなかったけど、こんな感じなんや。
「今撮った写真と記念品でーす!」
富田さんはハイテンションのまま、記念品であるタオルを渡してくる。『KOKUGAKU FES. 2023』の文字がプリントされているタオルは色々な色があって、それをランダムに渡している感じだ。俺は黒のタオルを、きいは水色のタオルをそれぞれ受け取った。
「それじゃ、文化祭をもっと楽しんでくださーい!」
「ありがとうございマース」
「えっと、失礼しましたー…」
逃げるように生徒会室を後にして、喧騒の中に戻る。いや、また別の喧騒に突っ込む。
校舎前には見慣れた顔があった。
「おかえり。その様子やと生きて帰ってこれたっぽいね。」
「2人ともギリギリな。一瞬意識飛ぶかとおもったわ。」
「ほんと、基本的な受け答えはひい君がやってくれたからマシやったけど、あれと喋らなアカンかったら…」
「きい、想像しない方がマシやで。」
きいの顔が青ざめていくのが見えて、こっちに戻ってくるように声をかける。それだけでは戻ってこなかったので肩を揺さぶってみればやっと意識が戻ってきた。
「三途の川が見えた。」
「それはようござんした。」
そんな俺たちを見ている桜はいたって普通っぽい。そこまで変なことをされなかったのだろうか。
「桜はどうやったん?」
「私は大丈夫。さっきコーヒー飲んできたから。」
「「あ~」」
随分苦労したんだなと思いつつも、労いの言葉は出てこない。こういうのは虚しくなるだけだから。
「桜も今暇なん?」
「きい達も?」
「私たちはとりあえずもうシフトは入ってないから。」
「あとは適当に回るだけ。」
もうあと1時間ほどしかないが、とりあえず最後まできいと回るつもりだった。
「桜、一緒に回ろ!」
「い、いいけど。」
きいの勢いに押されて頷く桜。ラスト1時間はこの3人であいつらに届けれるくらいの思い出を残そう。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
後妻を迎えた家の侯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
私はイリス=レイバン、侯爵令嬢で現在22歳よ。お父様と亡くなったお母様との間にはお兄様と私、二人の子供がいる。そんな生活の中、一か月前にお父様の再婚話を聞かされた。
もう私もいい年だし、婚約者も決まっている身。それぐらいならと思って、お兄様と二人で了承したのだけれど…。
やってきたのは、ケイト=エルマン子爵令嬢。御年十六歳! 昔からプレイボーイと言われたお父様でも、流石にこれは…。
『家出した伯爵令嬢』で序盤と終盤に登場した令嬢を描いた外伝的作品です。本編には出てこない人物で一部の設定を使い回した感じになると思います。外伝とはいえ独立した話です。
完結済み!
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる