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キザムノ
呼び出し②
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電車に乗って着いたのは樟葉。枚方市の中でも北の方なのに妙に発展している駅だ。枚方市の中で一番大きなショッピングモールがあるのはここ。唯一駅近の映画館があるのもここ。一番使い勝手がいい駅はここ。そんな駅だ。
「久しぶりに来た!」
「俺も去年から来ていないな。」
「まぁ、殆どのものは香里園で済むからね。」
普段使いできる服とかはだいたい香里園でそろう。が、ちゃんとオシャレしようと思ったらこっちに来ないと少ない。
「でも、今日来たのは服目的ちゃうやろ?」
「やっぱ分かったか。さすがにこのまんまだと2学期が不安やから、いい参考書ないかなって。」
「じゃあ、水山書房やな。」
中に入るなり、右側のエスカレーターで3階に上がる。奥の方に進めば、水山書房と書かれた大きな看板が見えてきた。ひと目で分かる圧倒的な本の数。これが奥まで続いているとなると、もう圧巻だ。
「参考書はここだな。」
科目別に別れた高校学参の棚の前に立つ。どこの書店に行ってもこの光景は圧巻で、俺たちはこれだけ勉強しないといけないんだなと思う。
「欲しい教科は?」
「数学は絶対。英語は苦手やけど自分でどうにかなると思うから。」
「りょーかい。」
前までは「全部!」って言ってたのにな。それだけ努力しているってことか。生憎英語は苦手だが、数学は理系クラスである以上、ある程度解けるようになってきている。学校で配布されている参考書を除いて探していると、いいものがあった。
「きい、こんなんどう?」
「どれどれ。」
「これこれ。」
もう習った複素数の範囲を開きながらきいに寄っていく。肩と肩が触れ合うと、きいは少しピクンとしたが、すぐにいつもみたいな距離感に戻った。
「これ、解説と問題がしっかりしてるやつやから、基礎的なところから分かんのよ。」
「そういう系かぁ。もうちょっと例題が多いやつない?」
「そっちの方がええん?」
「うちの担当、そこすっ飛ばしてやるから。」
「あーね。じゃあそういう系探すわ。」
手に取った参考書を棚に戻す。例題がしっかりしてるやつか。となると、あの参考書しかないよな。
「なあ、きい。」
「あった?」
「配布された参考書は解いてるか?」
「…………」
この反応、やってないな。
「やってないんやな。」
「すみません。」
学校で配布されている、黄色とか青とかある問題集は比較的例題の数がしっかりしている。そして、基礎から順番に押さえられるようになっていて、分かりやすい問題集だ。
「きい、デコ貸せ。」
「ひっ!」
「早く。」
「ひゃ、ひゃい!」
べしっとデコピンする。
「いっっったぁぁぁぁぁい!」
きいの絶叫がフロアに響き渡った。
「久しぶりに来た!」
「俺も去年から来ていないな。」
「まぁ、殆どのものは香里園で済むからね。」
普段使いできる服とかはだいたい香里園でそろう。が、ちゃんとオシャレしようと思ったらこっちに来ないと少ない。
「でも、今日来たのは服目的ちゃうやろ?」
「やっぱ分かったか。さすがにこのまんまだと2学期が不安やから、いい参考書ないかなって。」
「じゃあ、水山書房やな。」
中に入るなり、右側のエスカレーターで3階に上がる。奥の方に進めば、水山書房と書かれた大きな看板が見えてきた。ひと目で分かる圧倒的な本の数。これが奥まで続いているとなると、もう圧巻だ。
「参考書はここだな。」
科目別に別れた高校学参の棚の前に立つ。どこの書店に行ってもこの光景は圧巻で、俺たちはこれだけ勉強しないといけないんだなと思う。
「欲しい教科は?」
「数学は絶対。英語は苦手やけど自分でどうにかなると思うから。」
「りょーかい。」
前までは「全部!」って言ってたのにな。それだけ努力しているってことか。生憎英語は苦手だが、数学は理系クラスである以上、ある程度解けるようになってきている。学校で配布されている参考書を除いて探していると、いいものがあった。
「きい、こんなんどう?」
「どれどれ。」
「これこれ。」
もう習った複素数の範囲を開きながらきいに寄っていく。肩と肩が触れ合うと、きいは少しピクンとしたが、すぐにいつもみたいな距離感に戻った。
「これ、解説と問題がしっかりしてるやつやから、基礎的なところから分かんのよ。」
「そういう系かぁ。もうちょっと例題が多いやつない?」
「そっちの方がええん?」
「うちの担当、そこすっ飛ばしてやるから。」
「あーね。じゃあそういう系探すわ。」
手に取った参考書を棚に戻す。例題がしっかりしてるやつか。となると、あの参考書しかないよな。
「なあ、きい。」
「あった?」
「配布された参考書は解いてるか?」
「…………」
この反応、やってないな。
「やってないんやな。」
「すみません。」
学校で配布されている、黄色とか青とかある問題集は比較的例題の数がしっかりしている。そして、基礎から順番に押さえられるようになっていて、分かりやすい問題集だ。
「きい、デコ貸せ。」
「ひっ!」
「早く。」
「ひゃ、ひゃい!」
べしっとデコピンする。
「いっっったぁぁぁぁぁい!」
きいの絶叫がフロアに響き渡った。
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