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ムカシハ

私たちは球技大会Ⅱ⑤

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 予想がつく無回転があればつかない無回転もある。予想がつくというのは投げる無回転。上に上がって落ちるとか、ブレるとか、そんな感じで予想がつく。

 ならば、予想がつかない無回転ってなんだろう。答えは簡単。アタックした無回転。バレー部の人達ならコントロール出来るかもしれないけど、残念ながら私にはそんな能力はない。

 でも、こう捉えたらなかなかいい事をしていると思う。『意思のない攻撃』と。誰かさんは壁ではね返した攻撃を避けれなかったし、誰かさんは身勝手の極意なんか言っていた。

 さあて、自然を味方につけて。

 私は左手でボールを高く上げた。何回も何回も上げてきたボール。しなるように振った右腕は、しっかりといつもの場所に当たる。

 向かっている方にいるのは桜だ。

〇〇〇〇〇

 きいのにやけた顔が目に映る。今回は打ってきた。

 おそらく変化はほぼない。そんな技量があるようには思えない。だから油断していた。

 私の目の前まで来たボールは、くいっと少し伸びた。そして、また止まり、くいっと伸びる。左右の揺れはそこまでないから捕ろうと思えば捕れそうだ。

 そして、私がキャッチ出来る範囲まで入った瞬間。ぐいーっと伸びる。それは私の肩くらいのところまで上がってくるボールで、私は反応できずそのまま当たってしまった。

〇〇〇〇〇

 静かだ。これでいいのかというのが大多数だろう。そもそも私もだ。

 でも、小学校の頃は大丈夫やったし。

「シャアァァ!」
「ウオォォォォ!」

空気がこれはこれでいいんちゃうみたいな感じに変わった。審判も考えるのもやめたようだ。

「ナイス!紀乃ちゃん!」
「うちのゴリラ!」
「やめてよ!まだ試合中!」

チームの雰囲気もだいぶ良くなった。さっきまでは「さっき負けてしな」みたいな空気やったけど、今は「いけるんちゃう」みたいな空気。

「このまま押し切ろう!」
「おう!」
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