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ムカシハ

俺の好きなもの②

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 少し歩いてジュンコ堂に行く。

「武守ってここなら栞付いてくるんや。」
「ホンマやな。今手持ちないから無理やけど、特典付きの間に買いに来よ。」

目的のファンブックを買って、今は地下のマンガフロアをブラブラ歩いている。だいぶ前の作品から最近の作品まであるこの本屋は、来たら大体のものが揃う。上の階には参考書、小説もこれほどかと置いてあって、前来た時に小説コーナーで6時間もいた事もあった。

 1階にあるレジで会計をして、駅の方へ。ジュンコ堂は阪急に沿った道を少し入ったところにある。

「久志、なんか嬉しそう。」
「そう?まぁ、そうかな。」
「このあとどうするの?このまま御堂筋乗って帰る?」
「いや、淀屋橋まで歩く。そしたら、俺が行こうとしてるパン屋にも行けるからな。ちょっと遠いけどいいか?」
「いいよ。なんとなくそんな気してたし。」

 途中で中に入って、そこから阪急百貨店を目指す。ここはまだ地上。エスカレーターで地下に潜って、御堂筋の改札を目指す。その目と鼻の先に阪神百貨店があるから、そこの横にあるエスカレーターから上がればあとはまっすぐ歩けば淀屋橋に着く。

「ねぇ、まずたい焼き行こ!」
「はいはい。またこっち側戻ってくるからな。」

信号が青になる。

「天然たい焼き!」

桜は安納芋味のたい焼きを買って、1回の信号の間に帰ってきた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、フゥ~。」
「おつかれ。息整ったら行くぞ。」
「了解、久志。」

2、3分したら息が整ったようで、パクパクとたい焼きを食べきった。

 しばらく歩いて、もうそろそろ淀屋橋に着きそうなところに、パン屋はある。ミニクロワッサンが1個50円、そんでもって美味しいのがいいところだ。

「ミニクロワッサン2つ、すぐ食べます。」
「はぁーい。100円です。」

ショーケースからクロワッサンを2つ取り出して、包みに入れたのを受け取る。それを桜に預けて、俺は支払いを済ませた。

「ねぇ、もう食べていい?」
「ええで。そのためにすぐ食べるって言ったから。」
「じゃあ、いただきます!っま!めっちゃカリカリ!」
「やろ。これで50円やから。梅田に来た時は食べてんねん。」
「やばい。乗り替わりそう。」
「早くこっちに来いって。」

俺も1口齧る。いつも通りの美味しさだ。

「これが久志の今好きなものか。」
「どした?」
「ん?何も。」
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