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サマバケ
DAY2②
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「よおぉし!終わったぁー!」
きいの声がリビングに響く。まだ数学が終わっただけなのに随分ハイテンションだ。
「まだ英語が残ってるでしょ。休憩してやるよ、ある程度。」
「おやつ!おやつ!」
今は4時過ぎ。ぶっ続けでやっていたから、脳は糖分を欲している。キッチンのお菓子箱から業務用のチョコレートと氷砂糖を取り出し、口の中に放り込む。
「その食べ方贅沢!私もやってみたい!」
「きいもいるのか?口開けろ。」
あーんと大きく開けたきいの口に氷砂糖を1つ放り込むと、きいはそれを舌でコロコロ転がして美味しそうな顔を浮かべた。桜はスティックのカフェオレに砂糖と粉ミルクを足して、飲んでいる。少し前に飲んだことがあったが、甘すぎてもう二度と飲まないと誓った程のものだ。
「染みる~!」
「桜、甘すぎないか?」
「いや、これがベストだけど。」
「嘘ん。」
さっきからきいはスマホばっかり見ている。多分インスタだろう。最近はそれが流行っている(?)みたいだが、何が面白いのかさっぱり分からん。俺はゲームの時限クエストだけ終わらせて、また勉強に戻った。きいも桜もそれを見て、次は英語の冊子を持ってくる。ページ数にして約60ページ。少し多いような気もするが、やってみるとスペースばっかで意外と早く終わったものだ。俺はその横で古文の読解。俺もきいも陰キャ歴が長いからか、隣で違う教科の勉強をされても何とも思わない。そういうものだと早めに気づいたからだろう。きいは額にシャーペンを押し付けながら悩み、桜に訊き、俺に訊き、何とか半分くらいまで終わらせた。外はもう暗くなってきている。
「どうする?晩飯食ってくか?」
「いや、悪いよ。そこまでお世話になるのは。」
そのとき玄関のドアが開いた。
「はぁ~疲れたぁ~。練習ハード過ぎだよぉ。」
「おかえり。杏。」
「あっ、きい姉やん!久しぶり~!」
「久しぶりだね~、杏ちゃん!」
杏は、急いで自分の部屋に上がり、Tシャツとショートパンツに着替えて降りてきた。
「勉強してたの?」
「そう!2人とも頭いいから。」
「桜さんはそうだけど、バカ兄はそうでもないでしょ。」
「私からしたら2人とも頭いいのよ。」
「あっ、きい姉がバカってことね。」
「相変わらず容赦ないわね。そうだけど。」
傍から見てたら本当の姉妹のようだ、この2人は。
「それで、きい姉はご飯食べて帰るの?」
「流石にそこまでお世話になるのはね。だし。」
「じゃ、また今度ね。」
「うん、また今度。」
きいはそのまま帰って行った。その後ろ姿を見届けて、俺は玄関のドアを閉める。机にはきいが集めてまとめた消しカスが1つ。なんだか名残惜しくて、それを筆箱の中に入れた。
きいの声がリビングに響く。まだ数学が終わっただけなのに随分ハイテンションだ。
「まだ英語が残ってるでしょ。休憩してやるよ、ある程度。」
「おやつ!おやつ!」
今は4時過ぎ。ぶっ続けでやっていたから、脳は糖分を欲している。キッチンのお菓子箱から業務用のチョコレートと氷砂糖を取り出し、口の中に放り込む。
「その食べ方贅沢!私もやってみたい!」
「きいもいるのか?口開けろ。」
あーんと大きく開けたきいの口に氷砂糖を1つ放り込むと、きいはそれを舌でコロコロ転がして美味しそうな顔を浮かべた。桜はスティックのカフェオレに砂糖と粉ミルクを足して、飲んでいる。少し前に飲んだことがあったが、甘すぎてもう二度と飲まないと誓った程のものだ。
「染みる~!」
「桜、甘すぎないか?」
「いや、これがベストだけど。」
「嘘ん。」
さっきからきいはスマホばっかり見ている。多分インスタだろう。最近はそれが流行っている(?)みたいだが、何が面白いのかさっぱり分からん。俺はゲームの時限クエストだけ終わらせて、また勉強に戻った。きいも桜もそれを見て、次は英語の冊子を持ってくる。ページ数にして約60ページ。少し多いような気もするが、やってみるとスペースばっかで意外と早く終わったものだ。俺はその横で古文の読解。俺もきいも陰キャ歴が長いからか、隣で違う教科の勉強をされても何とも思わない。そういうものだと早めに気づいたからだろう。きいは額にシャーペンを押し付けながら悩み、桜に訊き、俺に訊き、何とか半分くらいまで終わらせた。外はもう暗くなってきている。
「どうする?晩飯食ってくか?」
「いや、悪いよ。そこまでお世話になるのは。」
そのとき玄関のドアが開いた。
「はぁ~疲れたぁ~。練習ハード過ぎだよぉ。」
「おかえり。杏。」
「あっ、きい姉やん!久しぶり~!」
「久しぶりだね~、杏ちゃん!」
杏は、急いで自分の部屋に上がり、Tシャツとショートパンツに着替えて降りてきた。
「勉強してたの?」
「そう!2人とも頭いいから。」
「桜さんはそうだけど、バカ兄はそうでもないでしょ。」
「私からしたら2人とも頭いいのよ。」
「あっ、きい姉がバカってことね。」
「相変わらず容赦ないわね。そうだけど。」
傍から見てたら本当の姉妹のようだ、この2人は。
「それで、きい姉はご飯食べて帰るの?」
「流石にそこまでお世話になるのはね。だし。」
「じゃ、また今度ね。」
「うん、また今度。」
きいはそのまま帰って行った。その後ろ姿を見届けて、俺は玄関のドアを閉める。机にはきいが集めてまとめた消しカスが1つ。なんだか名残惜しくて、それを筆箱の中に入れた。
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