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降参
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しおりを挟む由衣のオススメのカフェに連れてきてもらった。
「うまいっ!!!」
「でしょ?僕、ここのケーキが一番すきなんだー!」
結衣はチーズケーキで裕也はチョコケーキにした。
甘いものが好きと言ってもいくつも食べれない裕也でも甘すぎず絶妙で本当に何個でも行けそうだ。
「はい、あーん」
結衣がチーズケーキをすくい口元に持ってくる。
これは友達同士では普通のことなのか?
距離が近いような気もするが友達が長くいなかった裕也には分からないので大人しく口を開いた。
「……これもうまい」
好みの味にドンピシャだ。
メニューに値段を載せていないし、結衣の知り合いとなればそれなりの値段はしそうだが一人でも通いたい。
「ここ、持ち帰りできないのか?」
「あーーなんかね、出来るのと出来ないのとあるよ、味が落ちちゃうのとかはね嫌なんだって、だから殆ど無理な感じ!」
「……そうか…」
あんまり甘くないし克也にも買って帰ろうかと思ったけれど無理なのかと肩を落とした。
「そんな残念そうな顔しないで!またいつでもくればいいじゃん!」
「…そうだな」
帰ったら克也を誘ってみよう。
「お腹いっぱいだー」
「だな、食べすぎた」
二つのケーキを食べ終わると、結衣の知りあいというオーナーが今度出す新作をぜひ食べてくれと三つも持ってきてくれたので美味しく頂いたが、二人でケーキを五個食べることになってしまった。当分ケーキはいらない。
「ねぇ、なんでこんな綺麗な髪と目なのに学校で隠しちゃうの?」
唐突に聞かれて裕也の体が固まる。知っているのに聞いているのか、それとも本当にしらないのか、と疑心が生まれるが疑うのも悪いな、と考え直す。
「日本じゃ色が珍しくて目立つんだよ。それが嫌で隠してるだけ」
「……ふーん、綺麗だから勿体ない気もするけど…でも確かに凄く目立ちゃいそうだね…!」
目立つのが嫌で隠してはいるが自分の目と髪は好きだ。特に目は。青は海や空を想像させる。自由で広くてなんでも出来るような気がする色が自分にある。
自由になっていいんだと言われているみたいだ。
この先、克也の隣で全部取っ払ってありのままの自分で立てる日をむかえられるように。
最近なにかと決意ばかりしている。決意が覚悟になりやらなければと思わせてくれる。
「僕は強くなれるだろうか、」
決意しやろう、とも思うが不安は常にある。
それが思わずポロリと口から出る。
「……、十分強いと思うよ?」
「強くないよ。それに…須藤さんだから…」
「まぁ、分からない訳じゃないよ、僕もΩだしそれなりに色々あるからねー!でも、あの克也が認めたんだから自信もったほうがいいよ!」
そういうものか、と黙って自分の手を見ていると少しして結衣が話し出した。
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