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パーティー
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しおりを挟む何故見た目と家柄がそんなに気になるのだろう。
確かに見た目は大事だ。
裕也がブサイクだったら克也もいくら運命でも手に入れようとしなかったんじゃないだろうか。
でも裕也からしてみれば見た目と家柄以上に中身が大事だ。
見た目も家柄も良くても最低野郎は絶対に無理だ。
「そういう所って?」
「人を判断する時に見た目と家柄しか見ないところ」
結衣と克也はあまりそういう事は口にしないが金持ちほどステータスを気にしている気がする。
「じゃあ、克也が須藤の家から抜けるけど番になってって言われてなれるの?なれないよね?」
「……いやむしろそっちの方がいい。ライバルも減るし、お金は僕がなんとかすればいい話しだし」
克也が家から抜けた方がむしろ気楽だ。
でも克也は結局自分で会社とかを立ち上げたりして自分で何とかする人間だと思う。
「…クッ、アハハ!!やっぱ面白いね!最高!ククッ!」
突然爆笑されて戸惑う。
「はっー、笑った。そんな事言う奴見た事無いんだけど!!なるほど、そういう所ね」
頭の中はハテナだらけになる。
笑われた理由も分からず納得されてしまった。
「意味が分からない、って顔してるね」
当っているので黙ったまま頷くとまた爆笑まではいかないもののフフッと笑われる。
「いやー、由衣と番になるの辞めて欲しい奴が出来たと聞かされた時は本当にビックリしたんだ、人に興味を持つ奴じゃないからね。今まで克也の周りは顔と金しか見ない奴しかいなかったから君もそうなのか試したくなっちゃって…ごめんね?」
試された事は少し嫌だが克也の周りはそういう人が多いので友人として気になると言うのも理解出来た。
違うと分かって貰えたみたいだし、結果は良かったのかもしれない。
「いや…別に大丈夫です」
「実はこのパーティーにも俺が来てもらえばって言ったんだ。俺が学校に乗り込む訳にも行かないし克也に言っても会わせて貰えなくて…面倒かけてごめん」
そうだったのか。
パーティーに呼ばれた理由が分かってスッキリした。でもそういう事なら話しはしたし帰ってもいいだろうか、帰りたい。
でも途中で抜ける事は失礼にならないのか、裕也には分からない。
「帰りたい?」
「え?」
「顔に出てるよ」
この周りからの興味津々の目線はいつまでもなくならないし、めちゃくちゃ疲れた。
「帰っていいですか?」
「いいの?今なら克也じゃない金持ちのαも選びたい放題だよ?」
しつこい。
さっき確かめ終わったんじゃないのか。
イラッとくる言い方をする人だ。気に入らないならそういえばいいのに。
「帰って、いいですか」
言われた事は無視して強めの口調でもう一度聞く。
「ごめんって、そんな怒んないで。いいよ、帰っても」
「そうですか、隣にいて下さってありがとうございました」
「また話そうね?」
正直、この人とはもう話したくない。
この遠回しに嫌味を言われてる感じが嫌いだ。気になる事があるならそのまま言ってほしい。
返事はせず頭を軽く下げてその場を離れて会場を出る。
「はっーーー、疲れた…。早く帰って寝よう…」
やっぱりこういう場所は裕也は苦手だと痛感した。
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