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転校生2
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しおりを挟む「ごめんね?昨日は騙すみたいな形で呼び出して…!」
昼休み、今まで通り旧図書室に来いと言われて行くと克也だけではなく由衣もいた。
顔を合わせてすぐに頭を下げられる。
「辞めてくれ。由衣は悪くないだろ。悪いのは全部…… 」
裕也がチラッと克也を見ると目が合いニヤリと笑っている。
「僕のお願いのせいで悲しい思いさせちゃってごめん…」
「いやいや、全然大丈夫。気にしてないから」
「気にしてない、ねぇ」
克也が横から口を挟んでくるので思わず睨む。
克也の前で泣いてしまったことは本当に恥だ。時間を巻き戻したい。
「克也、気にされてなかったの?残念だね…」
「うるさい。余計な事を言うな」
「裕也も俺に会いたいんだ、って自信満々に言ってたのに嘘だったんだ、可哀想」
「……お前…。ほんっとに黙れよ」
「裕也くん、克也の恥ずかしい話し沢山教えるから虐められたらすぐ言ってね!!」
「……由衣、お前…本当性格ねじ曲がってるな」
「克也に言われたくないね!」
仲がいいな。嫉妬は特に生まれず素直にそう思った。
昨日までは由衣と二人でいるのを見るだけで胸がちぎれそうなほど苦しかったのに。
克也と話せた事が大きいのか由衣が克也に対して何も思ってないのが分かるからなのか。
「離れてても僕にずっと惚気てくるんだよ!?見た事ない顔でアイツ可愛いよな?って!可愛いよ!可愛いけどね!!」
「…お前、俺に恨みでもあるのか?」
「あるにきまってんじゃん」
須藤が押し負けている。珍しい事もあるものだ。
困った顔をしている克也が面白くて我慢出来ない。
「ブッ、アハハ!!」
「え?なに?どうしたの?」
「本当に仲いいんだな、由衣もキャラ変わってるし須藤をそんなにイジれる奴は初めて見た」
由衣はキョトンとすると悲しそうな顔になる。
「こんな僕は嫌?」
「いや、どっちも好きだ。けど今の方が話しやすそうだ」
「だって、聞いた?僕の事好きだって!!」
由衣が悲しそうだったのは一瞬で消え失せドヤ顔で克也の方を見る。
どちらも好きだが今の由衣の方がいい、表情がコロコロ変わって本当に可愛い。
可愛いとはこういう事を言うんだと納得させられる。
「それでっ!騙したお詫びというか僕の誕生日、パーティーがあるんだけど来てくれない?」
「あーー……、パーティーは親に聞いてからじゃないと返事が出来ないんだ。ごめん」
裕也の一存でパーティーに出るのは無理だ。
「聞いてからなら行けるの?」
「どうだろう、微妙かな」
裕也が公の場に出るのはあの人達は嫌がるはずだ。
それも及川グループの息子の誕生日パーティーともなれば色んな業界の偉い人達が集まっている。
嫌がらせで出てやるのもありかなとは思うけど後が面倒くさい。
「じゃあ、返事を待ってるね!!」
「うん」
由衣は期待に満ちた目でニコニコしながら裕也を見ているが期待に応えるのは難しいと思う。
「話しは終わったか?終わったなら由衣はもう帰れ」
「えーーなんでよ!僕もっと裕也くんと話したいんだけど!!」
「イチャイチャするのを見てたいって言うならいいけどな」
「……裕也くんが恥ずかしがるのは見たいけどそれは次にするよ。じゃあ、僕は行くね!裕也くん、返事待ってる!」
「あぁ、うん」
由衣が出ていくとふぅと体から力が抜ける。
無意識の内に力が入っていたようだ。
由衣がどうとかではなくやはり誰かと話すのは疲れる。帰してくれて助かった。
「大丈夫か?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
しんどくなっていたのが分かっていたのか。
克也が後ろから抱きしめてきて好きな匂いに包まれてホッとする。
「行くのか?」
「……どうですかね…。許すとは思えませんけど」
「そうだな。まぁ、俺も行くし好きにしたらいいんじゃないか。無理はするなよ」
「知ってるんですね、調べられてるとは思ってましたけど」
須藤グループが調べたなら日本の殆どの事が分かるんじゃないだろうか。
「まぁな。何しても手に入れようと思ったからな。敵の事は知らないと」
「ふっ、敵って…」
調べられていた事に何も思わない訳じゃないが仕方のない事だとも思う。
それより調べてでも自分の事を手に入れようとしていた克也の行動が嬉しかった。
前は気づく事が出来なかったけどこうした克也の一つ一つの行動が僕に安心を生んでくれる。
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