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再会
克也side
しおりを挟む裕也とのデートが終わり寮の部屋にはいるとタイミング良く携帯が鳴る。
「はい」
『上手く行ったみたいですね』
「そうだな」
『それで如月くんの様子はどうです?』
「まぁ、狙い通りだ。裕也の写真もどうにかしてくれ」
『ほんと、こわい人ですね。分かってます、ウイルス仕込んどいたんでもう消えてますよ』
「さすが仕事が早いな」
『お代はしっかりもらいますからね!』
「今日中には振り込んでおく。じゃあな」
電話が切れ克也の口元には笑みが浮かぶ。
今回のことで裕也は克也を嫌でも信頼し初めるし恩も感じているはずだ。
裕也の一番大きな心の壁を突破出来ただろう。
裕也のことを調べさせた時に分かったが裕也を虐めていたあの二人はたまたま須藤グループ傘下の社長の息子だった。
だから傘下から外し会社が潰れるように手を回しておいたのだ。
そしてあの二人が毎週あの辺をうろつきΩで遊んでいたのも知っていた。
上手く行けば裕也と会うかもしれないという予想だったが向こうから見つけてくれて事が上手く進んだ。
裕也を犯していたと知ったときはすぐにでも殺してやろうと思ったが、そうすれば昔のことに裕也がいつまでも囚われてしまうだろう。
そこであの二人と出会わせて過去の問題と向き合わせることで忘れることは出来ずとも乗り越えさせたかった。
そして裕也にとって一番の問題を克也に助けられたということが大切だ。
誰も信用しようとしなかった裕也が唯一克也を信用し始めた。
裕也に自分だけが信用されている、こんなに嬉しいことはない。
「我ながら必死だな…」
早く、自分にとっての裕也くらい裕也にも自分を必要としてほしい。
いっそ克也がいないと息もできないくらいに。
実際の所、裕也はまだ問題を抱えている。
裕也の問題はこっちの方が大きいだろうと手元の資料に視線を落とした。
今回のように潰してしまう事は簡単だがそういう問題でもない。
今の状態だと潰そうとしたら裕也に止められてしまうだろう。
「……間宮グループ、か…。あの状況でよく死のうとしなかったな」
裕也が幸せになるにはやはり自分でなないと無理だ。
出会うべくして出会ったのだ。
須藤の名を受け継いでいる事にこれほど感謝したことはない。
後四ヶ月半か……時間もあまり無い。
いつでも動けるように準備だけは徹底しておこう。
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