上 下
11 / 55
恋人ごっこ

1

しおりを挟む


クッソ、なんでこんなことになったんだ!!
話せばわかるかもしれないと思っていたあの時の自分に言ってやりたい。
そんな希望はさっさと捨てろと。

僕が皆の前では関わりたくないと言ったからか須藤と恋人ごっこをしているのは旧図書室で昼休みの40分の間だけ。

学校が終わってからの呼び出しもないし須藤も興味本位なんだろう。
要するに卒業までの暇つぶしだ。
僕を暇つぶしにするのはムカつくが半年間、昼休みの間我慢すれば僕の平和は保たれる。

今日もまた僕の我慢の時間が始まる。

「如月、こっちこい」

旧図書室、僕のお気に入りの場所に座っている須藤。
そこは僕の場所だからどけと何度も言ったが聞くはずもなくむしろ面白がって座り続けている。

嫌々、須藤の近くに行くと手を引かれ膝の上に乗らされると後ろから抱きしめられ須藤おでこが僕の肩に乗る。
毎日これだ。

初めは抵抗したがすぐにバラしてもいいんだな?と脅してくるし、逃げ出した日には教室までやってくる。
だから大人しく乗ってやっている。

本を読んでいつもみたいに違う世界に行きたいのに須藤の手が時々お腹や頬を撫でてく為、集中することが出来ず行けない。

「サワサワしないでください」
「本を読ませてやってるんだ。それくらいやらせろ」
「集中できないんです!!!」
「そうか。それはいい」
須藤とは会話が成り立たない。

須藤と形だけの恋人になり一週間がたつが膝の上に乗らされる以外なにもされない。
犯されるのは心底嫌だが1回犯してそれで終わりならさっさとやってほしい。

中学の時は2年間ほぼ毎日犯されてたんだから須藤ひとりに犯されて平和が保たれるならこんなことしてないでさっさとやってこの茶番を終わらしてほしい。


「もう行く時間です。離してください」
須藤が裕也の肩から顔を上げ時計を見る。

「もう、そんな時間か」
そう言って皮肉げに口角だけ上げて笑うと裕也をを下ろし立ち上がった。

向きを変えられ須藤と向かい合う形になると見つめられたまま頭を撫でられる。
ポンッと最後にして須藤は出口に向かっていった。

「あいつは一体何がしたいんだ」

あんまりにも須藤が裕也に優しく触れてくるから好かれているのだと勘違いしそうになる。後、半年もこれが続くとしたら僕は耐えられるだろうか?

ひとりの時期が長かったから誰かと一緒に過ごすといつもの自分でいられない。

一週間一緒に過しただけで須藤の事を受け入れ初めているのは我ながらちょろすぎる。
受け入れたらダメだ。
どうせ皆、自分が一番大事で最後は裏切る。
もう僕は人を信じないと決めたのに。

雑に扱ってくれ、頼むから優しくするな。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが… 「お前なんて知らないから」

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【完結】何一つ僕のお願いを聞いてくれない彼に、別れてほしいとお願いした結果。

N2O
BL
好きすぎて一部倫理観に反することをしたα × 好きすぎて馬鹿なことしちゃったΩ ※オメガバース設定をお借りしています。 ※素人作品です。温かな目でご覧ください。

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭

あなたの隣で初めての恋を知る

ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

処理中です...