運命の番から逃げたいです 【αとΩの攻防戦】

円みやび

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本性

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あれから一週間たち発情期も終わり、体調も戻った。
初めの三日は発情に苦しめられたがその後は部屋に引きこもってお気に入りの本を読み漁り、寝まくることで須藤と出会い疲れきっていた肉体面も精神面も落ち着く事が出来た。
無理に学校に行かずに引きこもって正解だった。

学校で須藤に会うことがあれば話す時間を貰いたいが誰にも見つからずに接触することなんて出来るのだろうか。
どこにいても目立つ上に取り巻き連中が常に須藤を囲んでいる。
人がいる前で話すことは絶対に避けたい。

取り巻き連中に裕也が須藤の運命の番だと言う事がバレてみろ。
一瞬で学校中に広まり注目の的だ。
考えるだけで寒気がする。

それだけは絶対に嫌だ!

取り巻き連中がいなくなるとすれば生徒会室か?いやそれも無理だ。
取り巻き連中がいなくても生徒会メンバーがいる。
ひとりでも須藤以外のメンバーがいれば「おいおい、こんな地味なやつが会長に何の用だよ?」みたいなことに間違いなくなる。
あぁ、本当にとんでもなく面倒くさい奴と運命なんかで繋がってしまった。

考えていても仕方がない。
すごく難しいが須藤に声をかけられる前に一人になっている所を見つけて裕也から声をかけ関わりたくないことを伝える。それが最善だ。


「面倒くさすぎる…僕はただひっそりと静かに学校生活を送りたいだけなのに!!!」


教室につき周りを見渡すが裕也を見て騒がれることもないのでこの一週間の間に須藤が話していて周りにバレているということはなさそうだ。

今日が勝負。
絶対に須藤が一人になるタイミングを見つけてやる。
そう意気込んだはいいもののもうすぐ四限もおわる。
三回の休み時間の間、三年の教室辺りを歩き須藤を探すとすぐに見つかったもののひとりになる時がない。

今日はもう諦めよう。
別に今日じゃなくてもいいんだし。
昼休みはゆっくり本を読みたい。
チャイムが鳴り旧図書室に移動しお気に入りの本をとり腰を降ろす。

今日は野球が好きな僕の特にお気に入りのスポーツ小説を読む事にする。
読み出し集中していくことで周りから全てが消え、自分が本の世界に入ってしまったような気分になる。
この時間が一番好きだ。
好きな自分でいられる。
それに裏切られ傷つくこともない。

「……おい……おいっ!!如月!」
聞こえてきた大きな声にハッとして横を見ると須藤が立っている。慌てて周りを見渡すが誰もいない。
ホッとして息を吐く。
幸せな時間を邪魔された事にイラッとくるがこれは裕也に巡ってきたチャンスだ。
須藤が珍しく一人でいる。


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