執着もの短編集

円みやび

文字の大きさ
上 下
5 / 12
眠っている間に

眠っている間に 前編

しおりを挟む
【前編】


ここ三ヶ月くらいとんでもない夢を見る。
親友の工藤要とSEXしている夢だ。
それもほぼ毎日。
その狂いそうなほどの快感も触られる感覚も匂いも何もかもが現実味を帯びていてこれは現実だと思うのに目を開けると嘘のように消えていく。

現実味を帯びすぎていて目が覚めている時でも夢で要に触られた感覚が残っていて、女の子が大好きだったはずなのに自慰するときの妄想は要に責め立てられることになってしまった。
それにイキそうになると何かが物足りなくて夢と同じように試しに後ろの穴に指を入れると初めての行為のはずなのにそこはなんなく指を受け入れた。

「どうした?」
覗き込んでくる要の顔が近くて夢でした要とのキスが思い出されて顔が赤くなってしまう。
それを誤魔化すように顔を背けると要が後ろから抱きしめるようにして体重をかけてくる。

「重いって!!」
「翔太、最近、俺に冷たくないか?」
その近い距離感も小さい頃からずっとこうなのでもう今更何も思わないはずなのにあの夢のせいで要を妙に意識してしまう。

一度意識し出すと今まで通りにはいかなくて何となく要を避けるようになったがそんな翔太には構わず今まで以上に纏わりついてくるので赤くなった顔に気づかれないようにすると冷たく接しているようになってしまう。

「俺なんかした?」
要は何もしていないから困ったような悲しそうな顔で見られるとバツが悪い。

「いつも通りだろ?」
「そうか?何かあれば言えよ」
頭をぽんっと撫でられる。
その優しさが申し訳なくなる。
お前とSEXする夢を見るせいで意識してどう接すればいいかわからないなんて言えるはずもない。

見ないようにする努力はした。
溜まってるのかと可愛い女の子と沢山SEXしたし、寝る前にもう出ないってくらい頑張って自分で抜いたり、とりあえず思いつくものは全部やったのに殆ど毎日夢を見るのだからもうどうしようも出来ない。

何でも話せて、一番に俺のことを考えてくれて優しくて一緒にいてすごく楽だし楽しい。
そんな要をこんな夢なんかで失いたくない。
インターネットで調べたんだ。
親友とSEXする夢を見るってそしたら恋愛的に好きなのかもしれないって出てきて余計に要を意識することになった。

要とバラバラの授業の時に一緒に授業を受けている高人にその夢をどうにかして要への接し方を教えて欲しくてつい聞いてしまった。

「なぁ。友達とさ、SEXする夢見るってどういうことだと思う?」
「え?友達とSEXする夢見たの?誰と?」
「いや友達が言ってたんだけどさ、」
ありきたりな誤魔化しに高人は気づいているのかいないのかクスっと笑ったあとうーんと考える。

「付き合ってそういうことしたいんじゃないの?夢って自分の願望の現れって言うじゃん?」
「付き合うぅ!?」
思わず大きな声を出してしまって教授に怒られる。
「で?誰なの?友達って!」
横で何かを言っている高人の言葉はもう耳に入ってこない。
好き?夢を見るってことは俺は要が好きなのか?

だから意識しちゃうってこと?
俺も要も男なのに?
別にゲイを否定する訳でもキモいとか思う訳でもないが自分がそうなのだとは思った事がなかった。

要だって女の子と何人も付き合ってるしいつも周りにはレベルの高いモデル並みの子が要の腕に巻きついているからゲイって訳じゃないだろう。
そしたらこの気持ちを要に知られたら俺たちってどうなっちゃうんだろう。

キモいって言われてもう一緒にいられない?
そんなの耐えられない。
要がいない毎日なんて想像もつかない。
絶対にバレないようにしないとダメだ。

俺はあんな夢を見ちゃうくらい要が好きなんだ。
それは絶対知られちゃいけない。
だって要とずっと一緒にいたい。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

番を解除してくれと頼んだらとんでもないことになった話

雷尾
BL
(タイミングと仕様的に)浮気ではないのですが、それっぽい感じになってますね。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

幼馴染から離れたい。

June
BL
アルファの朔に俺はとってただの幼馴染であって、それ以上もそれ以下でもない。 だけどベータの俺にとって朔は幼馴染で、それ以上に大切な存在だと、そう気づいてしまったんだ。 βの谷口優希がある日Ωになってしまった。幼馴染でいられないとそう思った優希は幼馴染のα、伊賀崎朔から離れようとする。 誤字脱字あるかも。 最後らへんグダグダ。下手だ。 ちんぷんかんぷんかも。 パッと思いつき設定でさっと書いたから・・・ すいません。

君は俺の光

もものみ
BL
【オメガバースの創作BL小説です】 ヤンデレです。 受けが不憫です。 虐待、いじめ等の描写を含むので苦手な方はお気をつけください。  もともと実家で虐待まがいの扱いを受けておりそれによって暗い性格になった優月(ゆづき)はさらに学校ではいじめにあっていた。  ある日、そんなΩの優月を優秀でお金もあってイケメンのαでモテていた陽仁(はると)が学生時代にいじめから救い出し、さらに告白をしてくる。そして陽仁と仲良くなってから優月はいじめられなくなり、最終的には付き合うことにまでなってしまう。  結局関係はずるずる続き二人は同棲まですることになるが、優月は陽仁が親切心から自分を助けてくれただけなので早く解放してあげなければならないと思い悩む。離れなければ、そう思いはするものの既に優月は陽仁のことを好きになっており、離れ難く思っている。離れなければ、だけれど離れたくない…そんな思いが続くある日、優月は美女と並んで歩く陽仁を見つけてしまう。さらにここで優月にとっては衝撃的なあることが発覚する。そして、ついに優月は決意する。陽仁のもとから、離れることを――――― 明るくて優しい光属性っぽいα×自分に自信のないいじめられっ子の闇属性っぽいΩの二人が、運命をかけて追いかけっこする、謎解き要素ありのお話です。

友人とその恋人の浮気現場に遭遇した話

蜂蜜
BL
主人公は浮気される受の『友人』です。 終始彼の視点で話が進みます。 浮気攻×健気受(ただし、何回浮気されても好きだから離れられないと言う種類の『健気』では ありません)→受の友人である主人公総受になります。 ※誰とも関係はほぼ進展しません。 ※pixivにて公開している物と同内容です。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

婚約者は俺にだけ冷たい

円みやび
BL
藍沢奏多は王子様と噂されるほどのイケメン。 そんなイケメンの婚約者である古川優一は日々の奏多の行動に傷つきながらも文句を言えずにいた。 それでも過去の思い出から奏多との別れを決意できない優一。 しかし、奏多とΩの絡みを見てしまい全てを終わらせることを決める。 ザマァ系を期待している方にはご期待に沿えないかもしれません。 前半は受け君がだいぶ不憫です。 他との絡みが少しだけあります。 あまりキツイ言葉でコメントするのはやめて欲しいです。 ただの素人の小説です。 ご容赦ください。

処理中です...