上 下
468 / 495
エクストラチャプター:プリンス・レオポルド・テリブル・24アワー

バロン・ポイント②

しおりを挟む
「まぁまぁ落ち着き給えよカミドス

現れたのはビター侯爵だった。

「ビター!?」
「侯爵をつけ給えよ」
「アンタは家格至上主義者だろうが!!」
「全く、 反家格至上主義の連中はそうやってやたらと高位貴族に噛みつく
だから嫌われるって分からないのか?
まぁ兎も角、 反家格至上主義は終わった訳だが」
「何だと!? どういう事だ!!」
「「「お前のせいだろうが!!」」」

集まって来たカミドス配下の者達が口々に叫ぶ。

「お前のせいで俺の娘は嫁ぎ先から送り返されたよ!!」
「こっちは商談が台無しだ!!」
「親父がショック死して嫁にも逃げられた!! 如何してくれる!!」
「え、 何を言ってるんだお前達」
「全員黙れ」

ビターの声で全員黙る。

「ポイント男爵、 君のやらかしで君の上司であるカミドス君とカミドス君の配下
及びカミドス君の仲間の反家格至上主義全員に多大な負債でペナルティが与えられた」
「俺が何をやったって言うんだ!!」
「君と言うか、 君の娘だね、 娘の失敗は親の失敗だよ」
「何をしたというんですか!!」
「君の娘が婚約者の居るレオポルド殿下にちょっかいをかけていて
婚約者の生家であるハウバリン公爵が激怒させたから、 かな」
「ならば寧ろゴディバ公爵家門閥に王家とコネが作れるから寧ろいいでは無いか!!」
「何言ってんだお前は!!」

激怒するカミドス。

「カミドス君、 黙れ、 一々話を遮るな」
「・・・・・」
「返事」
「はい!!」

怒り狂って死ぬかもしれない形相のカミドス。

「話を戻そうか、 そもそもの話、 平民とか貴族とかそういうの抜きにして
婚約者の居る相手に対して寝取ろうとするって言うのは誰が如何考えてもアウトでは無いのかね?」
「・・・・・レオポルド殿下と婚約者の間には愛情は無い」
「政略結婚だからね、 しかしレオポルド殿下は大した能力のない御方だ」
「不敬だ!!」
「だからこそ能力の高いアリストッド嬢に婿入りすると言うのに」
「・・・・・婿入り?」
「その通り、 レオポルド殿下は王家を追い出されるのだ
つまり将来は男爵位を継ぐという事だな」
「はっ!! だから如何した!! 王とは親子の縁があるだろう!!」
「有ると思うのか?」

無表情でポイントを見るビター。

「・・・・・」

汗を流すポイント。

「そりゃあ陛下も鬼では無い、 どんな無能でも子供は可愛い物だろう
しかしながら今回は酷いやらかしだ、 愛も無くなるだろう」
「だがレオポルド殿下と婚約者の間には愛情は無い!!」
「だったら殿下は陛下に婚約解消の打診をするべきだったよ
ちゃんと婚約解消してから君の娘と婚約を結ぶべきだとは思わないか?
君だってレストランで注文していた物が出来なくなったら一声かけて欲しいだろう?」
「・・・・・しかし、 その事がカミドス様に何の関係がある!!」
「王家から請求書が来た」
「・・・請求書?」
「君の娘のせいで婚約自体は継続するがかなりの慰謝料を要求されている
法改正なんかも行われるらしい、 しかし金で済むものに関しては王家も出すが
我々も出さなければならない、 婚約を台無しにした責任を取らなければならない
故に君の上司であるカミドス君とカミドス君の配下及び
カミドス君の仲間の反家格至上主義全員に賠償金を支払って貰う事にした」
「な、 俺の家の事なら俺が支払うのが道理だろう!?
カミドス様は関係無いじゃないか!!」

ポイントを殴るカミドス。

「いい加減にしろよお前!! 王家の婚約を台無しにしたのに男爵家が支払える額な訳無いだろう!!」
「その通りだ、 まぁ一旦は我々門閥貴族達が支払っておくから
君達全員の200年位の分割払い及び降格、 門閥貴族の基準を基本的に侯爵家以上にする
カミドス君を始めとした伯爵の分際で門閥貴族になっていた連中も門閥貴族から外す
と言う事でカタがついたよ」
「そんなヴァカな!?」

叫ぶポイント。

「ヴァカは君だよ、 しかし君のやらかしで
やはり下位貴族は下等とゴディバ閣下もお考え直しされてくれた
君達のデマゴギー※1 でゴディバ閣下も民衆も目が眩んでいたから
今回のやらかしで有るべき政治に戻ったという事だね」


※1:扇動政治家が民衆を扇動するために用いた宣伝、 デマ。


「・・・・・」

絶望するポイント。

「表立って表彰は出来ないがここに宣言しよう、 誰もポイント男爵に危害を加えてはならない
取引停止ならば問題は無いが暗殺や暴力を振るうのは駄目だ」
「・・・・・」

憎しみが籠った眼でポイントを見る皆。
嘗ては肩を並べて戦った戦友達が憎しみを込めた目で睨みつける。

「ではこれで失礼するよ、 カミドス君」
「・・・ビター閣下」

ビターを呼び止めるカミドス。

「何だね」
「邸からつまみ出すのは暴力に入りますか?」
「自分の邸から気に喰わない者をつまみ出すのは家主の当然の権利だ」
「そうですか、 では」

カミドスは合図をするとカミドスの部下達は一斉にポイントにつかみかかり邸から叩きだした。

「二度と来るな!!」
「面見せんじゃねぇぞ!!」
「一言も謝らないのな!! ふざけんな!! 」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~

草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★ 男性向けHOTランキングトップ10入り感謝! 王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。 だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。 周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。 そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。 しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。 そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。 しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。 あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。 自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界隠密冒険記

リュース
ファンタジー
ごく普通の人間だと自認している高校生の少年、御影黒斗。 人と違うところといえばほんの少し影が薄いことと、頭の回転が少し速いことくらい。 ある日、唐突に真っ白な空間に飛ばされる。そこにいた老人の管理者が言うには、この空間は世界の狭間であり、元の世界に戻るための路は、すでに閉じているとのこと。 黒斗は老人から色々説明を受けた後、現在開いている路から続いている世界へ旅立つことを決める。 その世界はステータスというものが存在しており、黒斗は自らのステータスを確認するのだが、そこには、とんでもない隠密系の才能が表示されており・・・。 冷静沈着で中性的な容姿を持つ主人公の、バトルあり、恋愛ありの、気ままな異世界隠密生活が、今、始まる。 現在、1日に2回は投稿します。それ以外の投稿は適当に。 改稿を始めました。 以前より読みやすくなっているはずです。 第一部完結しました。第二部完結しました。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

親友に彼女を寝取られて死のうとしてたら、異世界の森に飛ばされました。~集団転移からはぐれたけど、最高のエルフ嫁が出来たので平気です~

くろの
ファンタジー
毎日更新! 葛西鷗外(かさい おうがい)20歳。 職業 : 引きこもりニート。 親友に彼女を寝取られ、絶賛死に場所探し中の彼は突然深い森の中で目覚める。 異常な状況過ぎて、なんだ夢かと意気揚々とサバイバルを満喫する主人公。 しかもそこは魔法のある異世界で、更に大興奮で魔法を使いまくる。 だが、段々と本当に異世界に来てしまった事を自覚し青ざめる。 そんな時、突然全裸エルフの美少女と出会い―― 果たして死にたがりの彼は救われるのか。森に転移してしまったのは彼だけなのか。 サバイバル、魔法無双、復讐、甘々のヒロインと、要素だけはてんこ盛りの作品です。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
★ファンタジーカップ参加作品です。  応援していただけたら執筆の励みになります。 《俺、貸します!》 これはパーティーを追放された男が、その実力で上り詰め、唯一無二の『レンタル冒険者』として無双を極める話である。(新形式のざまぁもあるよ) ここから、直接ざまぁに入ります。スカッとしたい方は是非! 「君みたいな平均的な冒険者は不要だ」 この一言で、パーティーリーダーに追放を言い渡されたヨシュア。 しかしその実、彼は平均を装っていただけだった。 レベル35と見せかけているが、本当は350。 水属性魔法しか使えないと見せかけ、全属性魔法使い。 あまりに圧倒的な実力があったため、パーティーの中での力量バランスを考え、あえて影からのサポートに徹していたのだ。 それどころか攻撃力・防御力、メンバー関係の調整まで全て、彼が一手に担っていた。 リーダーのあまりに不足している実力を、ヨシュアのサポートにより埋めてきたのである。 その事実を伝えるも、リーダーには取り合ってもらえず。 あえなく、追放されてしまう。 しかし、それにより制限の消えたヨシュア。 一人で無双をしていたところ、その実力を美少女魔導士に見抜かれ、『レンタル冒険者』としてスカウトされる。 その内容は、パーティーや個人などに借りられていき、場面に応じた役割を果たすというものだった。 まさに、ヨシュアにとっての天職であった。 自分を正当に認めてくれ、力を発揮できる環境だ。 生まれつき与えられていたギフト【無限変化】による全武器、全スキルへの適性を活かして、様々な場所や状況に完璧な適応を見せるヨシュア。 目立ちたくないという思いとは裏腹に、引っ張りだこ。 元パーティーメンバーも彼のもとに帰ってきたいと言うなど、美少女たちに溺愛される。 そうしつつ、かつて前例のない、『レンタル』無双を開始するのであった。 一方、ヨシュアを追放したパーティーリーダーはと言えば、クエストの失敗、メンバーの離脱など、どんどん破滅へと追い込まれていく。 ヨシュアのスーパーサポートに頼りきっていたこと、その真の強さに気づき、戻ってこいと声をかけるが……。 そのときには、もう遅いのであった。

処理中です...