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チャプター16:インフェルノ・クイーン
告白
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「罪、 ですか?」
「罪業者の事は知っているな?」
罪業者、 この国史上最も唾棄されるべき悪人。
奴隷禁止三原則の原因になった者。
最初に奴隷禁止三原則の抵触者になり名前すら奪われ、 人ですらないと言われた物。
棺の中に溶けた生ゴムで永遠に封じられているという。
「・・・・・存じ上げております」
「奴の事を話そうか、 まずは奴が犯した大罪について」
「え?」
急に始まる話に困惑するサン。
「まぁ食べながら聞いてくれ」
「え、 えぇ・・・」
クッキーと牛乳を食べながら聞くサン。
「当然ながら奴は奴隷を使っていた
当時は奴隷は禁止されていなかったから合法だったのだろう
とは言え常識と節度を持って奴隷を運用していた
いや、 常識と節度を守らなければならなかった
態々明文化する必要すら無い事だった」
「・・・・・そうなんですか? 昔の人々は人権意識が低いと思いましたが」
「いや実利の問題だよ、 単純な算数の問題と言って良い」
「?」
「人間が生まれてから働けるようになるのに一体何年かかる?
簡単な荷運びや農作業程度でも5、6年はかかるだろう
過労で死なせては後が続かない
そんなヴァカな事をする様な連中はどんどん消えていった
最後に残ったのは常識と節度を守って奴隷を働かせるという事だった
人が優しくなった訳では無く、 切り詰めればこうなるんだ
後にフランスでの革命も考えれば無理をさせれば反乱される
と言う事もあるしな
今も奴隷制なんて物を大真面目にやっているのはスペインくらいな物だよ」
「・・・・・」
「話を戻そう、 罪業者は何を如何したかは知らないが
当時としてはあり得ないレベルの航海技術を持っていた
近年になって漸く追い付くレベルの技術力の高い航海技術だ」
「・・・・・あ」
サンは嫌な予感がした。
「人が生まれてから働けるようになるまで待てない
ならば、 何処かから連れて来ればいい
罪業者は別の国を占領してその国の連中を奴隷にした
その国は罪業者の個人的な欲の為に滅ぼされたも同然だった
罪業者が無理な労働の末に殺した人間の数は2000万人を超えたという」
「2000・・・!?」
「面と向かって殺した訳ではない、 しかし無理なノルマを課し続け
ノルマを達成できなかった場合は殺させた。
高潔さや正しさ、 政治的イデオロギー、 そんな物は一切無く
ただ金が欲しかったという理由だけでここまで多くの人々を殺した奴は
誰も居ないしこれからも出て来ないで欲しい」
「一体何で、 誰も何も言わなかったんですか!?」
「言えなかったんだよ、 罪業者は王をやっていたんだよ」
「王・・・ですって?」
「そう、 ここまで言えば分かるだろう?
罪業者は遥か昔の私の遠い先祖に当たるのだ」
「・・・・・」
ショックを受けるサン。
「ここまで大勢の人間を殺したとなると隠し通せず国内外から非難の嵐
罪業者は家族からも愛想を尽かされ、 愛人と無理矢理婚姻を結び直したが
見過ごせないとして甥に討伐された」
「・・・・・しかし祖先の罪が子孫の罪になるとは思えません、 連座はないでしょう!!」
「そうだな、 私もそう思う、 しかしながらここまで夥しい量の人を殺すとなると
如何やら一人だけでは罪を勘定する事が出来ないらしい」
「誰が裁くと言うのですか!?」
「天は連座を認めているらしい」
「天・・・?」
「神だろうか、 何れにせよ許されない事らしい」
「・・・・・確かにそれはお気の毒ですが、 それがフェザーと何の関係が?」
「私と伴侶になる人間は私と罪を一緒に背負ってくれる人だ
だから強い人では無いと・・・・・」
そこまで言って黙るベネルクス95世。
「いや、 良いか、 本音で話そう
私は一人でこんな人生を過ごすのは嫌だ
だから一緒に歩いてくれる人は自分で選びたい
身勝手は百も承知だ、 だがしかしそれ位しか私には自由が無い」
「陛下・・・」
「お前に私からフェザーを奪う資格が有るのか!?」
ベネルクス95世が為政者ではなく一人の女としてサンに問うた。
「・・・・・陛下、 私はフェザーを愛していますし
フェザーにも私を愛して欲しいと思います
しかしながらフェザーには自由にしてほしい
奪うも何も無いと思います」
「・・・・・・・・・・そうか、 貴族令嬢として王に逆らうと言うのか
では念押しの最終確認だ
フェザーを諦めるのならば部屋の外に出て全力で走れ
諦めないというのならば横になれ」
「・・・・・殺すという事ですか?」
「地獄を見る事になるだろうとは言っておく、 生きられるかはお前次第だ」
「もってまわった言い回しですね、 では」
横になるサン。
「・・・・・」
ベネルクス95世もサンの傍に向かい横になる。
「近くないですか?」
「・・・・・」
あっという間に寝息を立てるベネルクス95世。
「え、 嘘? 寝た・・・?」
サンも次第に睡魔が襲って来た。
「罪業者の事は知っているな?」
罪業者、 この国史上最も唾棄されるべき悪人。
奴隷禁止三原則の原因になった者。
最初に奴隷禁止三原則の抵触者になり名前すら奪われ、 人ですらないと言われた物。
棺の中に溶けた生ゴムで永遠に封じられているという。
「・・・・・存じ上げております」
「奴の事を話そうか、 まずは奴が犯した大罪について」
「え?」
急に始まる話に困惑するサン。
「まぁ食べながら聞いてくれ」
「え、 えぇ・・・」
クッキーと牛乳を食べながら聞くサン。
「当然ながら奴は奴隷を使っていた
当時は奴隷は禁止されていなかったから合法だったのだろう
とは言え常識と節度を持って奴隷を運用していた
いや、 常識と節度を守らなければならなかった
態々明文化する必要すら無い事だった」
「・・・・・そうなんですか? 昔の人々は人権意識が低いと思いましたが」
「いや実利の問題だよ、 単純な算数の問題と言って良い」
「?」
「人間が生まれてから働けるようになるのに一体何年かかる?
簡単な荷運びや農作業程度でも5、6年はかかるだろう
過労で死なせては後が続かない
そんなヴァカな事をする様な連中はどんどん消えていった
最後に残ったのは常識と節度を守って奴隷を働かせるという事だった
人が優しくなった訳では無く、 切り詰めればこうなるんだ
後にフランスでの革命も考えれば無理をさせれば反乱される
と言う事もあるしな
今も奴隷制なんて物を大真面目にやっているのはスペインくらいな物だよ」
「・・・・・」
「話を戻そう、 罪業者は何を如何したかは知らないが
当時としてはあり得ないレベルの航海技術を持っていた
近年になって漸く追い付くレベルの技術力の高い航海技術だ」
「・・・・・あ」
サンは嫌な予感がした。
「人が生まれてから働けるようになるまで待てない
ならば、 何処かから連れて来ればいい
罪業者は別の国を占領してその国の連中を奴隷にした
その国は罪業者の個人的な欲の為に滅ぼされたも同然だった
罪業者が無理な労働の末に殺した人間の数は2000万人を超えたという」
「2000・・・!?」
「面と向かって殺した訳ではない、 しかし無理なノルマを課し続け
ノルマを達成できなかった場合は殺させた。
高潔さや正しさ、 政治的イデオロギー、 そんな物は一切無く
ただ金が欲しかったという理由だけでここまで多くの人々を殺した奴は
誰も居ないしこれからも出て来ないで欲しい」
「一体何で、 誰も何も言わなかったんですか!?」
「言えなかったんだよ、 罪業者は王をやっていたんだよ」
「王・・・ですって?」
「そう、 ここまで言えば分かるだろう?
罪業者は遥か昔の私の遠い先祖に当たるのだ」
「・・・・・」
ショックを受けるサン。
「ここまで大勢の人間を殺したとなると隠し通せず国内外から非難の嵐
罪業者は家族からも愛想を尽かされ、 愛人と無理矢理婚姻を結び直したが
見過ごせないとして甥に討伐された」
「・・・・・しかし祖先の罪が子孫の罪になるとは思えません、 連座はないでしょう!!」
「そうだな、 私もそう思う、 しかしながらここまで夥しい量の人を殺すとなると
如何やら一人だけでは罪を勘定する事が出来ないらしい」
「誰が裁くと言うのですか!?」
「天は連座を認めているらしい」
「天・・・?」
「神だろうか、 何れにせよ許されない事らしい」
「・・・・・確かにそれはお気の毒ですが、 それがフェザーと何の関係が?」
「私と伴侶になる人間は私と罪を一緒に背負ってくれる人だ
だから強い人では無いと・・・・・」
そこまで言って黙るベネルクス95世。
「いや、 良いか、 本音で話そう
私は一人でこんな人生を過ごすのは嫌だ
だから一緒に歩いてくれる人は自分で選びたい
身勝手は百も承知だ、 だがしかしそれ位しか私には自由が無い」
「陛下・・・」
「お前に私からフェザーを奪う資格が有るのか!?」
ベネルクス95世が為政者ではなく一人の女としてサンに問うた。
「・・・・・陛下、 私はフェザーを愛していますし
フェザーにも私を愛して欲しいと思います
しかしながらフェザーには自由にしてほしい
奪うも何も無いと思います」
「・・・・・・・・・・そうか、 貴族令嬢として王に逆らうと言うのか
では念押しの最終確認だ
フェザーを諦めるのならば部屋の外に出て全力で走れ
諦めないというのならば横になれ」
「・・・・・殺すという事ですか?」
「地獄を見る事になるだろうとは言っておく、 生きられるかはお前次第だ」
「もってまわった言い回しですね、 では」
横になるサン。
「・・・・・」
ベネルクス95世もサンの傍に向かい横になる。
「近くないですか?」
「・・・・・」
あっという間に寝息を立てるベネルクス95世。
「え、 嘘? 寝た・・・?」
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