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チャプター13:ベトゥレイアル

リインテグレイション

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再誕歴7703年ジャニュアリー11日。

ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル。
内側インナーエリア、 ベネルクス貴族会館。
ここは主に記者会見などの発表の場に使われる。
その大ホールに集められた各新聞社の記者達、 新年早々に重大な発表があるらしい。
壇上に上がった人物を見て記者達は驚愕した。

「本日は、 この栄誉ある
ベネルクス貴族会館にて会見を開ける事を大変誇りに思っています」

壇上に上がったのはカロリング、 そして民部大臣ラビット
ツゴモリ・コングロマリット代表取締役ツゴモリ・ミソカ
ベネルクス・グローバリゼーション・カンパニーCEO最高経営責任者カリオストロ
ジュウサンヤ・ブラックスミス・ギルド、 ギルドマスターハネムーン。
名立たる企業や団体のトップである。

「・・・・・!!」

ベネルクスゴシップ社の社長のオーガスタスはここで異変に気が付いた。
記者の数が明らかに多い、 外国の記者? それだけでは無い。
記者と言う感じがしない、 何かしらの関係者!?

「さて前民部大臣サイプレスの暴虐により人々の権利を守る名目で
数多くの人権団体擬きが設立され税金を横領され続けていました
現民部大臣ラビット閣下の命令でサイプレスが送っていた金の流れが判明し
団体には解散命令と資金回収の命令が出されました
しかしながら抵抗が激しく軍務大臣閣下と閣下の下部省庁の御活躍により
似非人権団体の多くは解散する事に成功しました
人権団体と称して武装している事も多々あり最早準テロリストと化している
団体の数は非常に多いのです、 国民として我々も人権団体なりすましテロリストを
如何にかしたい、 しかしながら連中は本当に自分達を人権を守る組織と信じ込んでいます
そこで我々はDDR※1 を進めていきたいと思います」


※1:本来は紛争後の国家における復興と平和構築の促進を目的に行う国際平和活動の一種。
武装解除(Disarmament)、 動員解除(Demobilization)、 社会復帰(Reintegration)
この頭文字を取った単語である。


周囲がざわつく。

「DDRと言いましても動員解除は既に命令が出されていますので
武装解除は軍務大臣閣下にまかせて
社会復帰を重点的に行うつもりであります
しかしながら人権屋が多く、 我々の資金だけでは賄いきれません
そこで我々は新しく株式会社アルベドを立ち上げ資金を募る事としました」

起業の記者会見? それよりも社会復帰?

「質問宜しいでしょうか?」

オリエンタルな雰囲気を醸し出す凛とした女性が挙手する。

「はい、 どうぞ、 お名前と所属をお答えください」 
「東インド商会のモチツキです」

一様に騒めいた。

「あ、 東インド会社※2 では無く東インド商会です
社会復帰? は文明社会において必要でしょうか?」


※2:イギリス帝国国有企業でインドでのイギリスの活動拠点になっている。


「必要ですね、 彼等は活動家としか生きていない者が殆どで
社会復帰させる為の職業訓練を積ませるべきだと私は考えています」
「ちょっと待て!!」

一人の男が立ち上がった。

「はい、 何でしょう、 お名前と所属をお答えください」
「ベネルクスプレスのマーカスだ!! 何だかんだ言っているが
社会復帰の為の職業訓練とは刑務所をやると言う事か!?」
「えぇ、 分かり易く言えば株式会社アルベドは民営刑務所会社ですね」
「大臣が絡むと言う事は公金を使うと言う事か!?」
「公金も投入されますが全体としては少ない金額になるでしょうね
マーカスさんのお怒りは大体把握しています」
「分かっているだと!?」
「今まで散々税金を無駄遣いして来た連中に更に税金を使うのか、 と言う事でしょう?」
「・・・・・その通りだ、 その問題は如何なる!!」
「お怒りはご尤も、 しかしながら公金の使用は通常の刑務所よりも
リーズナブルになるでしょう
私共としましてはまずは似非人権団体共を民営刑務所に叩き込むのが始まりで
その後は順次、 他の罪人も受け入れる体制を整えています
私共の拠点は旧ハートレス領、 ハートレス元男爵は自分の意に従わない者達を
放り込む為に大くの刑務所を作っていました、 牢屋の数は大量に有ります
食料も刑務作業で農業に従事させます、 職業訓練にもなりますので一石二鳥です」
「アメリカンタイムズのハーバードデス」

金髪のアメリカ人が立ち上がった。

「投資家達へのリターンは如何なっていますか?」
「年20%の配当、 施設使用優待を考えております」
「施設使用優待・・・・・」

施設使用優待って刑務所の? 刑務所を使用って事は捕まるのか?
そんなヴァカな事が・・・

「現在の株価は幾らですか?」

モチツキは尋ねる。

15ユーロ1500円
「東インド商会は10万株買わせて頂きます」

周囲が一斉にざわつく。
10万×15ユーロで150万ユーロ1億5000円

「カッパー・インターナショナルは1万株買う!!」
「アメリカのリーマン兄弟商会2万株!!」
「同じくアメリカのモーガン・スタンレーは5万株買う!!」

唐突に始まった株式売買に戸惑う記者達だったが加熱する株式売買の熱気に何も言えなくなった。
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