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チャプター11:フリー・ライド・ヘル・ライン

トゥー・ファンブル

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再誕歴7702年ジュライ12日。

スターダスト評議国、 首都コアにあるスクエアビル。
ここはスターダスト評議国政権野党九頭派の拠点である。

九頭派幹事長のオードウィンと彼の護衛ランバルドは
オズ大公直属部隊【ブリキの木こりチン・ランバージャック】の構成員
ナマリとアエンは会談を行っていた。

「エメラルドタブレットを譲渡して貰えると言う事でしたが本当ですか?」

ナマリは髪の毛を弄りながら尋ねる。

「えぇ、 此方に用意しました」

そう言ってオードウィンは脂汗を拭きながら
エメラルドタブレットを取り出した。
美しく透き通った30c㎡のエメラルドの板に文字の様な物が刻まれていた。

「・・・・・これだけ・・・・?」
「これだけ、 とは?」
「エメラルドタブレットは全部で6枚あると言う事は調査済みだ」
「なっ!? ど、 どういう事だランバルド!?」
「此方がお聞きしたい、 私も6枚あるとは聞いていなかった」

怒りを滲ませながらも切れ目でランバルドは答えた。

「所詮は野党、 ぎゃーぎゃー騒ぐだけしか能が無いか」

アエンは嘆息した。

「何だと!?」
「今回の取引はアンタ方が持ちかけたもんだろうが」
「幾ら何でも”おつかい”位出来るだろうと思ったがこの様か」
「全く、 これでは”こづかい”はやれんなぁ」
「おい、 待て、 約束を反故にする気か?」
「オズ大公閣下は『エメラルドタブレットを渡せばヨーロッパ連合にかけあい
この国の国民の避難誘導を要請する』と言ったが?
お前はエメラルドタブレットの1枚しか渡さなかった
これでは約束はそちらが勝手に破ったとしか言えんだろう」
「釣銭をちょろまかした執事は首を斬られる※1」


※1:執事が釣銭を誤魔化すのは良く有る事であるが
褒められはしないし首の原因にもなる。


「こちとらアンガスを殺したんだぞ!! 殺人を犯してまでやったのにこの仕打ちは何だ!!」
「アンガスとやらも無駄死にですな、 いやはや気の毒だ」
「この事が公になればオゾン公国も大変な事になると思いますが?」
「おや、 公に出来ると?」
「思っていますよ、 貴方達こそ秘密に出来ると思っていますか?」
「思っているよ、 勿論」
「そうですか、 オードウィン幹事長」
「何だ!!」
「先に謝っておきます、 すみません」
「は?」

ランバルドは思い切りオードウィンを蹴り飛ばしてナマリとアエンに激突させた。

「ぐわ!?」
「ちぃ!!」
「野郎ッ!!」

ナマリとアエンが拳銃を取り出すよりも早くランバルドの二丁拳銃がナマリとアエン
そしてオードウィンを蜂の巣にした。

「・・・・・」

血の海になった部屋からエメラルドタブレットを拾うランバルド。

「まぁこれを売ればかなりの額にはなるだろう
退職金っつー事でこれは貰って行きますよ幹事長」

そう言いながらランバルドは去っていった。
後日の避難誘導に紛れてランバルドは国外に脱出した。






再誕歴7702年ジュライ25日。

スターダスト評議国の避難誘導が完全に済んだ事が発表された頃。

通信モノリスの通信ルーム。
モーント・ズンディカーズが独自の改造をしたモノリスでの会話が行われようとしていた。

>>医者ドクトル さんが入室しました
>>看護師ナース さんが入室しました

今日は二人だけの会話である。
看護師ナースからの報告である。

「単刀直入に聞くぞ看護師ナース
運転手ドライバー心臓発作ハートアタックは如何した?」

医者ドクトルはかなり切羽詰まっていた。

「・・・・・運転手ドライバーは行方不明
”トリガーハッピー”、 ”中年の危機ミドルエイジ・クライシス”、 ”自傷癖リストカット
を含む患者クランケ数名は死亡、 残りは散り散りになって敗走
心臓発作ハートアタック及び彼の直属部隊心臓病ハーツライブンは死亡が確認されています」
「・・・・・」

頭を抱える医者ドクトル
誇大妄想メガロマニアは強力な戦力だが幹部の1人に過ぎない
幹部1人が減っただけならば問題無いかもしれないが
立て続けにここまで数が減るとは思わなかった。
残った幹部は自分を含めて4人、 ほぼ半壊と言って良い。


「死亡が確認・・・と言っていたな」
「はい、 殺したのはチーズと言う男です」
「【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】の社長か・・・!!
何でオゾン公国に居たんだ!?」
「バカンス、 だそうです」
「~~~~~」

明らかに自分達への攻撃だろう、 ひょっとすると運転手ドライバーも奴等の手に・・・

「何れにせよ、 組織の立て直しが必要です」
「だな・・・運転手ドライバーが居なくなったのは正直辛い
だがしかし、 必ずこの報いは受けさせてやる・・・」
「・・・・・」

復讐を誓う医者ドクトルとそれを眺める看護師ナース
果たしてこれから如何なるのだろうか・・・
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