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チャプター10:アイ・ディデゥント・ゲット・ザ・メモ

ウルフ・テイル①

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ベネルクス王国には様々な武術が有る。
ルクセンブルク長剣格闘、 銀断、 ベネルクス二刀流等々。
それ等は全て武術省に認可を受けて武術の流派として認められる。
そして認可された流派の中でもベネルクス最強の5つの流派。
1000を超える多彩の武芸を誇る【白宝武術】。
ベネルクス王家、 及び近衛騎士団のみに口伝で継承される武術【伐】。
超高速の剣技と足運びでベネルクス最速の剣技【餓狼剣】。
習得難度低く汎用性が非常に高い【Stardust】
ベネルクス最強の流派。
これ等5つを束ねて【ベネルクス神武五流派】と呼ばれていた。


因みに示現流は【ベネルクス神武五流派】の流派と比較しても
見劣りしない戦果と実績を持つが習得者の死亡率と外国の武術だとして
【ベネルクス神武五流派】に認定されていなかった。


現在【ベネルクス神武五流派】の内、 『残っている』の定義にもよるが
残っている流派は3つのみ、 銀断、 金爆、 玉砕等、 本来の技一つ一つが流派となり
本流は既に立ち消えている【白宝武術】。
ベネルクス王家、 及び近衛騎士団のみに口伝で継承される故に
存在が疑われている【伐】。
そして現在、 問題になっている【餓狼剣】。

【Stardust】は宗主の巨額詐欺事件により賠償の為に解体され
ベネルクス最強の流派は反逆によりその名すら残す事は許されていない。



【餓狼剣】に話を戻そう。
【餓狼剣】の起こりはまるで分かっていない
詳細は起こりを文書に残した者が居ないので全くの不明である。

ベネルクス王国の公式文書によると
現在のハウバリン公爵門閥セイバーダー子爵領
四狼街を拠点としていた都市国家が源流とされている。
当時の【餓狼剣】はその都市国家の兵隊の技であった。
その都市国家がベネルクス王国に編入され現在の形となっていた。

四狼街は【餓狼剣】最強の四人の剣士、 四狼によって統治されている街である。

四狼街の歴史もまるで分かっていない
詳細は起こりを文書に残した者が居ないので全くの不明である。

そもそも四狼街の住人は剣技以外の事には無頓着である。
四狼街の住人は全員剣士と言って差し支えが無い。
都市国家時代は全員が兵隊か訓練兵か盗賊かの三択である。

当時の都市国家としては無くは無い選択だがそれでも偏りがあり。
ベネルクス王国に編入して傘下に入った事で統治して貰うと言うのは悪くない選択である。

しかしながら年月が経つにつれて四狼街の住人、 もとい【餓狼剣】の剣士達は
自分達が支配されているという事に対して不満を募らせていた。
国家運営は四狼の意見も取り入れられるが国が送った代官により決定され
武術省から認可され援助は受けているが指導による体罰の禁止など
多くの制約を課されていた。
彼等が激怒したのは奴隷禁止三原則による奴隷の禁止である。

先も言ったが四狼街の住人は全員剣士。
それ故にそれ以外の事は奴隷に任せていた。
奴隷が一般的で無くなり禁止の動きを見せていた中でもこっそりと奴隷を使っていた。
ここで奴隷が禁止になった事で【餓狼剣】の剣士達は激怒。
奴隷禁止三原則発足直後の7571年の半島戦争での徴兵をボイコットしたのだった。
半島戦争終戦後、 ボイコットにより【餓狼剣】の武術省の認可取り消しになった。
【餓狼剣】の剣士達は自由を謳歌出来るとはしゃいでいたが
補助金や支援が無くなった事により【餓狼剣】の組織運営が成り立たなくなり
【餓狼剣】内部で殺し合いが発生、 四狼街の代官もこの時逃げ出した。
結果として四狼でボイコットを主導したとされる者2人の首を国に献上し
侘びとした事により【餓狼剣】の武術省の再認可が成ったのだった。

この後に殺し合いにより荒れた街中を再建する為に骨を折った【餓狼剣】だったが
遅々として作業がまるで進まない、 【餓狼剣】の為に武術省が出している補助金を
使ってもまるで作業が進まないのだ。

不思議に思った武術省の役人が調べに来ると何と再建の為の建築業者に
ぼったくられている、 素人が見ても明らかに高い見積もりに絶句する役人。
四狼に問い詰めた所で彼等もぼったくられていると理解した。

ここで役人は気が付いた。
『武術の腕前は確かに凄まじい、 しかしながら四狼街の連中はヴァカである』
彼等の名誉の為に言うと、 文字の読み書きや計算の勉強よりも剣を学んでいる為
彼等は文字の読み書き計算が出来ないだけで地頭は良いのだ。

この事は【餓狼剣】の剣士達を驚愕させた。
まさか自分達を騙す者が居るなんて・・・・・
この事実は後に大きな二つの問題を起こすのだがそれはまた後で書く事にしよう。

だがしかし腐っても【ベネルクス神武五流派】。
この後にしっかりと運営体制を見直せば立て直す事も可能だったかもしれない
その為の運営計画も武術省と共に立てており実行されれば立て直せたとされる
しかしながらそう単純に事は運ばなかった。
7613年、 ヨーロッパ戦役の開戦である。
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