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チャプター9:キラー・クイーン

アイスエイジ・フィールド

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エルフ自治区の集会場として使われる大きな小屋に集まった
【Nature Guard Army】【Avenger wise man】【Noreturn Yesterday】
【I,m Intelligence】【CurePretty】【AtoZアタック・ザ・ズー】の首脳陣。
アーベントロートは着替えていた。

「いやぁ、 先程の演説、 胸を打たれましたアーベントロート公爵!!」
「流石はドイツに名高い大公爵、 言う事のスケールが違う!!」
「これで我々も安心して活動が出来ます」

彼等は次々とアーベントロート公爵を称える。

「・・・・・ちょっと良いか」

ダブルプラスディザスターが割って入る。

「如何しました?」
「何コレ」
「・・・何コレとは?」
「いや、 可笑しいだろ、 思想は違えど我々は世界を変える為の集まりだった筈だ
それが何故に公爵に媚び諂う? 寧ろ体制側じゃないのか?」

小屋の中の空気が一気に冷え込む。

「えーと、 ディザスターさん」
「ダブルプラスディザスター、 名前を略して良いのは親しい間柄の者だけだ
お前とてスイちゃんとか呼ばれたら嫌だろう?」
「・・・・・ダブルプラスディザスターさん
アーベントロート公爵の事を御存じないのですか?
今や人権団体の大スポンサーですよ?」
「知らんなぁ、 私はもっぱら家畜場襲撃とかを行っているからなぁ」
「家畜泥棒ですか?」
「それは違うぞスイムさん!!」

バンッ!! と机を叩き眼鏡をかけた背の低い男が叫んだ。
彼は【AtoZアタック・ザ・ズー】代表のエヌエムエル。

「彼女は家畜場の家畜達を助けているんだ!!
人間の身勝手な都合でとらえられている家畜達を助けている!!
まさに環境保護の鏡!!」
「・・・・・まぁそう言う事にしておこう
兎に角だ、 私はここに公爵が、 体制側の人間が
貴族が居るのは危険だと言っている」
「私も貴族だが」
「スイムさん、 貴女は離婚して貴族家から追い出されている筈では?」
「アーベントロート公爵・・・あんまり言わないで貰いたい・・・」

がっくりしているスイム。

「まぁ良い、 アーベントロート公爵の人生は順風満帆じゃない
アーベントロート公爵には娘が居た、 一人娘だ
眼にも入れても居たくない一人娘、 愛情を注いだ」
「うん? ちょっと待てスイム、 アンタの所の【CurePretty】は
結婚と言う形を否定していた筈だ、 女性は家に縛られているとかうんとか」
「アーベントロート公爵は離婚している、 即ち結婚という制度が
如何に間違っているかと言う」
「んん!! スイムさん、 説明を続けて下さい」
「失礼しました、 アーベントロート公爵は一人娘を可愛がった
名前はプリティー」
「常識を疑う名前ですね」
「ダブルプラスディザスターよりは良い名前でしょ」
「・・・・・っ」

舌打ちをするダブルプラスディザスター.

「そのプリティーは殺されてしまったのです!!」
「公爵の娘を? 護衛を付けていなかったのか?」
「恋人との逢瀬だった、 護衛を付けるのは野暮だっただろう」
「でも殺されているじゃないか、 せめて周囲を警戒するとか」
「殺したのは恋人だ、 いや娘が恋人と思い込んでいた、 のか」

アーベントロートは俯いた。

「どういう事だ?」
「アーベントロート公爵の娘のプリティー様を殺した男は
『自分は公爵令嬢のストーカー※1 被害に遭っていた』と主張したのです!!」


※1:特定の人につきまとい行為を行う人物。


「ストーカーねぇ・・・病院には連れて行かなかったのか?」
「いや、 私は娘の好きにさせていたんだ、 それが悪かったのか・・・」
「いえ、 私は男が悪いと思いますよ
男のストーカーなら殺されても文句は言えませんが
女性のストーカーなんて大した事の無い事なのに殺すなんて・・・信じられない!!」
「まぁ、 その男はもう死んだんだろう? なら別に」
「生きている」

アーベントロートの言葉に驚くダブルプラスディザスター。

「貴族の、 しかも公爵の娘を殺して置いて行きているだと!? どんな魔法だ!?」
「娘のストーカーの証拠集め、 更に周囲への証言を集められ
私の娘は貶められ、 奴の減刑を求める署名が集まり、 結果として懲役20年現実時間の5年に・・・」
「あり得ん・・・何らかの手が加わったのか?」
「私に敵対する貴族の仕業だ」
「政争に負けたって事か?」
「そうなるな・・・」

アーベントロートはおてあげ、 と言う風なジェスチャーをする。

「だからこそ私は、 私の娘の様な者がもう出ない様に私は私にできる事をしている」
「何で自分の国でやらないんだ?」
「ドイツではもう私の居場所は無いと言って良い」
「だから他の国か・・・だが何故ベネルクスに? 他の国も有るだろう?」
「他の国でも他の団体を立ち上げて資金援助している
ベネルクスは【CurePretty】、 他の国には他の団体がある」
「そうか、 ならアンタは信用できる人間の様だ、 だが・・・」

スイムをチラリとみるダブルプラスディザスター。

「お前は如何かなぁ・・・」
「何か?」
「お前は国から金を貰ってただろ?」
「当然の権利よ、 申請を出して審査に通れば民間団体でも補助金を貰える制度が有る
間違い無く合法」
「国に頼っている時点でなぁ・・・」
「こう考えて見るのはどうだろうか、 国から金を貰う事で国庫にダメージを与えている」
「どうかなぁ・・・」

ダッグの言葉に納得がいっていない様子のダブルプラスディザスターだった。
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