上 下
112 / 495
チャプター6:ぺドルズ・クライミング・ゼアー・シェア

ランナウェイ・ノスタルジア

しおりを挟む
再誕歴7701年エイプリル10日。

ドラゴヴァニア首都龍の墓場ドラゴン・グレイブ
龍の墓場ドラゴン・グレイブ最上層部の玉座の間にて
ドラゴヴァニア国王レックスはこの上なく激怒していた。

「お前達一体何をしているんだ!! この国を滅ぼす気か!?」

各派閥の長達を集め怒鳴りつけるレックス。
過日呼び出された時とは違い、 大勢の近衛兵が集められ武装し
各派閥の長を逃がさない様に取り囲んでいる。
正にフクロネズミ※1である。


※1:逃げ道が無い状態である。
語源のフクロネズミとは文字通り腹に育児用の袋である育児嚢を持った鼠で
子供を袋に入れて育てる為、 文字通り子供は袋から逃げられない状態である。
因みにオーストラリアではフクロネズミに相当する言葉として
カンガルー状態と言う物がある。


「これは一体どういう事ですか陛下!! 陛下は貴族を敵に回す気か!!」

貴族派閥の長ディスクが檄を飛ばす。

「黙れ!! ディスク!! スウォード!! アース!!
シャドー!! お前等の派閥の連中は何をしている!!」

ディスクよりも激しく激怒しているレックス。

「ロック討伐に向かって動き出している筈です!!」
「右に同じく」
「・・・・・」
「え、 えっと・・・あの・・・」
「いけしゃあしゃあと!! ドイツから抗議だ!! スイスとベネルクスからも!!
お前達一体何をしてるんだ!!」

更に怒りのヴォルテージが上がるレックス。

「ディスク!! ドイツにはお前の派閥の五連星候補達が勝手に侵入したらしいな!!」
「私はロックを始末して来いとしか伝えておりません
彼等が勝手にドイツ帝国に侵入しても私には関係ありませんな」
「関係無いだと!? その無責任さが完全なドラゴンになれる
優秀なドラゴニュートを10人以上も死なせたんだぞ!?」
「何と!? 彼等は殺されたんですか!?」
「あぁ!! フランク王国を警戒していた師団の大隊長の一人を不意打ちで殺した末の戦闘でな!!
こんな卑劣かつ無意味な戦闘を見た事が無いぞ!! それでも誇り高い貴族か!!」
「ぐっ・・・し、 しかしこちらのドラゴニュートが殺された事に対する抗議を」
「出来るかヴァカ!! 次にスウォードとアース!!
スイスでお前達の派閥は小競り合いを起こしたそうだな!!
それでスイスは国境沿いが滅茶苦茶だ!!」
「何ですと!?」
「陛下、 俺は五連星の座を確実に物にする為に邪魔者を排除しただけですよ」
「ふざけているのか!! 最後にシャドー!!」
「ちょ、 ちょっと待って下さい、 私は無派閥で何も・・・」
「黙れ!! 外交官とかはお前の領分だろうが!!
少なくともベネルクス王国のスプリングはお前の親戚筋だ!!」
「親戚筋とは言っても殆ど交流は無いですよ・・・・・
彼女が何かしたのd、 うわ!?」

シャドーの襟首を持ったレックス!!

「アイツは旦那の家族と共にベネルクスに亡命したよ!!」
「え、 えぇ!?」
「如何やらドラゴヴァニア五連星を巡っての小競り合いに巻き込まれると判断したらしい!!
何でそんな風に思った!? ベネルクスからは内乱が起きているのではないかと聞かれている始末!!
お前達、 何でロックを殺すのにこんな事になっているんだ!!」

シャドーを思い切り床に叩きつけるレックス。
シャドーは血を流し気絶した。

「き、 貴族派閥は自主性を重んじますので!!」
「王党派閥の私としてはこの様な結果になったのは全て回帰派閥のせいだと」
「やめようぜ」

アースが唐突にハッキリと言った。
アースを凝視する一同。

「貴様・・・物事は良く考えてから喋れよ?」

近衛の剣がアースの喉元に突きつけられる。

「うんざりだ、 俺達誇り高いドラゴンが人間の顔色伺ってあれこれするのはもううんざり」
「分かった、 殺せ」

近衛の剣がアースを貫こうとするその瞬間、 玉座の間の扉が吹っ飛ばされた!!
そこに居たのは色とりどりのドラゴンの群れ!!

「!?」

驚愕する一同をよそにアースはドラゴンに変身。
そして扉に居る自分の部下達の元に向かう。

「人間の真似事は疲れた、 俺達はお前達を殺して誇り高きドラゴンとして新しくやり直す」
「そんな事が出来ると思っているのか!!」

レックスもドラゴンに変化する、 その姿はまさにドラゴヴァニアの王に相応しい大きく雄大な姿である。

「デカいが所詮はそれだけだ!! 質はこっちが上だ!!」
「ひ、 ひいいいいいいいいい!!」
「逃げろおおおおおおおおおおお!!」

ディスクとスウォードは逃げ出した。
近衛もドラゴンになり回帰派閥と交戦を始めた。

ドラゴヴァニアの命運はこの日決まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

11 Girl's Trials~幼馴染の美少女と共に目指すハーレム!~

武無由乃
ファンタジー
スケベで馬鹿な高校生の少年―――人呼んで”土下座司郎”が、神社で出会った女神様。 その女神様に”11人の美少女たちの絶望”に関わることのできる能力を与えられ、幼馴染の美少女と共にそれを救うべく奔走する。 美少女を救えばその娘はハーレム入り! ―――しかし、失敗すれば―――問答無用で”死亡”?! 命がけの”11の試練”が襲い来る! 果たして少年は生き延びられるのか?! 土下座してる場合じゃないぞ司郎!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

処理中です...