Re:incarnation

Chapter12:All for alive

第237話【14：32 逃走へのラストチャンス】

14：32
魔王一行がクロスロードの街並みを進んでいた。

「おい」
「はい、　何でしょうか」「さっきから同じ所グルグルしていないか?」
「いえ真っ直ぐ進んでいます」「さっきから家並みがループしている気がするぞ」
「・・・・・」

進みながら確認するヤグルマ。

「確かにボスの言う通りループしてますなぁ、　ヤグルマじーさん、　如何思う?」
「これは幻覚の類ですかな?」「いや、　我々にはそんな物通用しない
何かしらの魔術をかけられたらしい、　解除をしてみよう」
「出来ますか?」「愚問だな」

そう言うと【常世】から巨大な魔法陣が展開される。

「5分で済むから警戒していろ」
「了解しました」



クロスロード大会議室。
【レストラン・スリム】のガリガリとライトが伝令にやって来た。

「今現在、　魔王とその側近二人が大勢のアンデットと共にこっちに来ています
【燻製ニシン】のニニイロが幻惑か何か要領は得ませんが時間稼ぎをしている様子
5分は持たせられるとの事です」
「5分で何ができるって言うんだ!!」
「私がマジックエフェクトアップをライトにかけます」
「そして私がマルチ・グレーター・レビテーションをかけます
これで10人まで空を飛んで逃げる事が可能になります」
「10人・・・」
「つまりガリガリ殿とライト殿は陛下達だけでも逃がせ、　と言いたいのか?」

シエンが問う。

「はい、　魔王の戦闘能力は計り知れない、　まさに化け物
デェンの勇者パーティが一方的に倒されました、　ここは即時撤退がベストかと」
「まだ戦っている者達が居るのに逃げろと!?　ありえない!!」
「落ち着けシエン、　だがお二人さん、　これは無理筋だろ」
「何故?」
「対空出来る魔法なりなんなり対策を魔王が取っていないとは考え難い
空を飛んでいる間に矢で射抜かれたら目も当てられない」
「御安心を移動速度は馬よりも速い、　まるで風の様に移動出来ますよ
時間は後3分も無い、　急いで逃げる人の選抜を」
「それは無理だ」

ジェスター5世がきっぱりと言い切った。

「何故?」
「何故って、　ここで逃げたら部下達を置いて逃げ去ったとして
禍根が残るだろう、　もう我々は逃げられない」
「そう・・・ですか・・・」

ちらり、　とスリムをみるライト。

「ならば仕方ないな・・・」