Re:incarnation

Chapter11:Founding and collapse of the country

閑話【魔王の城にて】

あの世とこの世の狭間。
生きても死んでも居ないその場所に魔王の居城エーリューズニルは建っていた。
夥しい魔術系アンデッドの群れが魔王城の周囲に待機していた。

「壮観だな」
「その通りですねヤグルマ様」

呟くのは魔王の側近【三原色】ヤグルマ・S(シアン)・シキ。
【三原色】は四天王よりも上位の存在で魔王と同じく不老不死の人間である。
とは言えヤグルマは老齢の頃に不老不死になったので歳を取った男性である。

「しかし御言葉ですがヤグルマ様、　本当に宜しいのでしょうか?」

ヤグルマの傍に居るのはキセイ・A・ショウ。
腕が大量にしかも昆虫の様になっている人型アンデッドである。
【四天王】の最後の一人にして最古の一人。
最初に【四天王】と言う枠組みが作られた時から存在する最強のアンデッドである。

「どういう事だ?」
「このエーリューズニルを現世に権限させる為に
魔術が使えるアンデッドを接続して魔術的装置に変換する必要が有るのは分かります
しかし魔術が使えるアンデッドの大半を消費して二度と使い物に出来なくするのは
戦力の著しい低下では?」
「確かに、　しかしながらこの時を逃せば魔王様に勝機は無い
冥府から干渉が有った、　この時を逃せば我々の敗北は必至
今すぐに行わなければならない」
「冥府からの干渉ですか・・・あの世ですよね?
あの世にも政府みたいな物があるのでしょうか?」
「分からん、　だが我々の邪魔をしているのは確か、　ならばやらねばならない」
「おっと、　居た居たぁ」
「アイビーか」

赤色の短髪のチューブトップにホットパンツの少女。
彼女もまた【三原色】の一人、　アイビー・M(マゼンタ)・シキ。

「そろそろ転移が始まるから部屋に戻って待機していろとさ」
「分かった、　ではなキセイ、　アイビー」

スタスタと去って行くヤグルマ。

「いよいよですね」
「そうだなぁ・・・この時をずっと待ちわびていたよ」

スタスタと二人も歩き始めた。

「こっちの内通者によると生き残った勇者はクロスロードに集まっている様です」
「おぉ、　中々に楽しめそうだな」
「一番強い奴は内通者が殺しますが」
「そいつは楽しめないなぁ・・・まぁ良いかローズ様も待ちわびているだろうな」
「えぇ・・・ずっとずっと、　待っていたでしょうね・・・」