293 / 295
最終章 セイギの在り方
第292話 オニキスの覚悟
しおりを挟む
フォーデンに戻ってきたオニキスは、街の一角、寂れた場所に建つ花屋跡に訪れていた。
かつて、両親と二人で暮らしていた、思い出の残る家。しかし同時に、無惨にも殺された両親の死体と出会ってしまった、最悪な場所。
「……俺にはもう、戻る家も場所もねえと思ってたのに」
そう呟きながら、オニキスはあの日、親友から受け取った家の鍵に視線を落とす。
花の形をした、家の鍵。オニキスの親友、ワトソンが、いつかオニキスが帰ってくると信じ残してくれた家の鍵。
意を決して、オニキスはその鍵を、廃墟同然の家の扉に差し込んだ。
「ただいま……。なんて――」
誰も居ないのに、馬鹿馬鹿しい。オニキスは続けながら、店の跡地に足を踏み入れる。
その中は、思ったよりも綺麗だった。
店主でもあった両親が死んだために、そこに花はないが、かつてそこに沢山の花が並べられた棚や、両親が笑顔で立っていたカウンターは、今もその姿を残している。
ホコリやカビはなく、今も住もうと思えば普通に住むことができるような、そんな綺麗な姿を残していた。
それも、全てはオニキスのことを信じ続けていた親友のお陰。
またあの日のような優しい人間には、二度と戻れない。しかし、オニキスは心の中で、かつてワトソンと共に過ごした青い春のような日々を懐かしんでいた。
「…………」
特に言うこともない。オニキスはかつて店内だった部屋を見渡すと、カウンターを越え、その奥にあった階段を上った。
二階、当時オニキスの部屋と、両親の寝室があった場所。
二階へ上がったオニキスは、二年ぶりの自室の扉を開く。そして、目を丸くした。
「おっと……」
「テメェ……何してんだ? ワト」
オニキスの視線の先、その先にあったベッドの上で、ワトソンは本を読んでいた。
まるで最初から、そこが彼の家だったかのように。まるで最初から、そこにオニキスが来ると知っていたかのように。
ワトソンはそこにいた。
「オニキス、どうして……? 帰ってきたんなら、言ってくれれば……」
「バカ言うな。オレだって、もう二度と、こんな腐った国には帰りくなかったさ」
「……そうだったね。オニ、やっぱり――」
「ただ、最後くらい、オレの生まれ育った場所を見納めしとこうと思ってな。あのお人好しのバカ、そうでもしねえとうるせえからさ」
悪ぶった態度を見せながら、オニキスは言う。
その態度に、ワトソンは何かを言うわけでもなく、静かに笑った。
「バカって、タクマ君のことかい? オニ、彼のこと結構気に入ってるんじゃあないのかい?」
「別に。むしろイライラする――」
「『昔のオレに似てるから』だろ?」
「なっ、オレの台詞をっ!?」
「オニは分かりやすいんだよ、昔からね。本当は、今も優しい好青年なくせに、悪ぶっちゃって」
「気持ち悪いこと言うな。ったく、だから帰りたくなかったんだ」
苛立ちを覚えたオニキスは、背を向けて部屋から出て行こうとする。
しかし、
「待った」
その時、ワトソンが声を上げた。それにオニキスは、部屋を出て行こうと進めた歩みを止めた。
「……何だよ」
「二度と帰って来ないかどうか、それは君の勝手だ。そして、今からボクが言うことは、ボクの我が儘だ。けど、これは一生のお願いでもある――親友からの、一生のお願いだ」
その言葉に、オニキスは鼻で笑った。
「だったら勝手にしろ。簡潔に、20文字以内で纏めやがれ」
「生きて帰ってこい。死んだら一生恨むからな」
『。』を含め、20文字丁度。それが、ワトソンの一生のお願いだった。
続けて、ワトソンは言う。
「最後だなんて、そんなことは言わないで。また、ボクの前に現れてくれよ」
その言葉に、オニキスはニヤリと笑った。
「馬鹿馬鹿しい、一生のお願いがそれかよ。オレが21で死ぬかもしれねえってのにか?」
「でも――」
「100%とは保証できねぇが、それでもお前はこの『最強狩りの死神』に賭けるか?」
「――ああ。何なら、ボクも君に命を賭けたっていい」
「心底気持ちの悪い奴だ。調子が狂う――だが、それがいい」
そう言うと、オニキスは腹の底から笑った。
今までにないくらいに、楽しそうに。かつて失った、かつて自らの手で殺した“優男”の感情が復活したように、優しい笑顔で。
「……っと、そうだ。あのバカから伝言預かってんだった」
「え? タクマ君から?」
「お前、確か今も情報部だったよな。匿名で、超重要な情報を持ってきた。耳かっぽじってよく聞きやがれ」
そう言うと、オニキスはタクマから受け取った伝言を伝えた。
それを聞いたワトソンの表情は、一瞬戦慄が走ったような、緊迫としたものに変わった。
しかし、すぐにワトソンは笑顔になり、ゆっくりと肯いた。
「分かった。それじゃあオニ、健闘を祈るよ」
「ああ。そうだなぁ、オレに会いたきゃ、アルゴーにでも来たらいいさ。オレは、これっきりここには戻らねえからな」
そう言って、オニキスは背中を向けながら、手を振った。
かつての親友との約束を胸に、幾年ぶりの笑顔を浮かべながら。
かつて、両親と二人で暮らしていた、思い出の残る家。しかし同時に、無惨にも殺された両親の死体と出会ってしまった、最悪な場所。
「……俺にはもう、戻る家も場所もねえと思ってたのに」
そう呟きながら、オニキスはあの日、親友から受け取った家の鍵に視線を落とす。
花の形をした、家の鍵。オニキスの親友、ワトソンが、いつかオニキスが帰ってくると信じ残してくれた家の鍵。
意を決して、オニキスはその鍵を、廃墟同然の家の扉に差し込んだ。
「ただいま……。なんて――」
誰も居ないのに、馬鹿馬鹿しい。オニキスは続けながら、店の跡地に足を踏み入れる。
その中は、思ったよりも綺麗だった。
店主でもあった両親が死んだために、そこに花はないが、かつてそこに沢山の花が並べられた棚や、両親が笑顔で立っていたカウンターは、今もその姿を残している。
ホコリやカビはなく、今も住もうと思えば普通に住むことができるような、そんな綺麗な姿を残していた。
それも、全てはオニキスのことを信じ続けていた親友のお陰。
またあの日のような優しい人間には、二度と戻れない。しかし、オニキスは心の中で、かつてワトソンと共に過ごした青い春のような日々を懐かしんでいた。
「…………」
特に言うこともない。オニキスはかつて店内だった部屋を見渡すと、カウンターを越え、その奥にあった階段を上った。
二階、当時オニキスの部屋と、両親の寝室があった場所。
二階へ上がったオニキスは、二年ぶりの自室の扉を開く。そして、目を丸くした。
「おっと……」
「テメェ……何してんだ? ワト」
オニキスの視線の先、その先にあったベッドの上で、ワトソンは本を読んでいた。
まるで最初から、そこが彼の家だったかのように。まるで最初から、そこにオニキスが来ると知っていたかのように。
ワトソンはそこにいた。
「オニキス、どうして……? 帰ってきたんなら、言ってくれれば……」
「バカ言うな。オレだって、もう二度と、こんな腐った国には帰りくなかったさ」
「……そうだったね。オニ、やっぱり――」
「ただ、最後くらい、オレの生まれ育った場所を見納めしとこうと思ってな。あのお人好しのバカ、そうでもしねえとうるせえからさ」
悪ぶった態度を見せながら、オニキスは言う。
その態度に、ワトソンは何かを言うわけでもなく、静かに笑った。
「バカって、タクマ君のことかい? オニ、彼のこと結構気に入ってるんじゃあないのかい?」
「別に。むしろイライラする――」
「『昔のオレに似てるから』だろ?」
「なっ、オレの台詞をっ!?」
「オニは分かりやすいんだよ、昔からね。本当は、今も優しい好青年なくせに、悪ぶっちゃって」
「気持ち悪いこと言うな。ったく、だから帰りたくなかったんだ」
苛立ちを覚えたオニキスは、背を向けて部屋から出て行こうとする。
しかし、
「待った」
その時、ワトソンが声を上げた。それにオニキスは、部屋を出て行こうと進めた歩みを止めた。
「……何だよ」
「二度と帰って来ないかどうか、それは君の勝手だ。そして、今からボクが言うことは、ボクの我が儘だ。けど、これは一生のお願いでもある――親友からの、一生のお願いだ」
その言葉に、オニキスは鼻で笑った。
「だったら勝手にしろ。簡潔に、20文字以内で纏めやがれ」
「生きて帰ってこい。死んだら一生恨むからな」
『。』を含め、20文字丁度。それが、ワトソンの一生のお願いだった。
続けて、ワトソンは言う。
「最後だなんて、そんなことは言わないで。また、ボクの前に現れてくれよ」
その言葉に、オニキスはニヤリと笑った。
「馬鹿馬鹿しい、一生のお願いがそれかよ。オレが21で死ぬかもしれねえってのにか?」
「でも――」
「100%とは保証できねぇが、それでもお前はこの『最強狩りの死神』に賭けるか?」
「――ああ。何なら、ボクも君に命を賭けたっていい」
「心底気持ちの悪い奴だ。調子が狂う――だが、それがいい」
そう言うと、オニキスは腹の底から笑った。
今までにないくらいに、楽しそうに。かつて失った、かつて自らの手で殺した“優男”の感情が復活したように、優しい笑顔で。
「……っと、そうだ。あのバカから伝言預かってんだった」
「え? タクマ君から?」
「お前、確か今も情報部だったよな。匿名で、超重要な情報を持ってきた。耳かっぽじってよく聞きやがれ」
そう言うと、オニキスはタクマから受け取った伝言を伝えた。
それを聞いたワトソンの表情は、一瞬戦慄が走ったような、緊迫としたものに変わった。
しかし、すぐにワトソンは笑顔になり、ゆっくりと肯いた。
「分かった。それじゃあオニ、健闘を祈るよ」
「ああ。そうだなぁ、オレに会いたきゃ、アルゴーにでも来たらいいさ。オレは、これっきりここには戻らねえからな」
そう言って、オニキスは背中を向けながら、手を振った。
かつての親友との約束を胸に、幾年ぶりの笑顔を浮かべながら。
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」
公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。
血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる