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第10章 ゼロの開始点
第259話 死ぬ気なホンキ
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「起きろー!エンドポリスの場所を見つけたぞー!」
ガンガンガン!ガンガンガン!鉄と鉄を叩き合わせるような騒音が、三三七拍子を演奏する。
あまりのうるささに、全員が耳を抑えながら起き上がる。
「な、何だよリョーマ。まだ夜中の3時じゃあねぇか!」
「うぅ、もう食えへんて……」
「やっと起きたか。ほら、今すぐ出発だ!無限の彼方へ、さあ行くぞ!」
どこの宇宙飛行士だ。そう思いながらも、タクマ達はリュウヤに急かされて出動の準備をさせられた。
「それにしてもリュウヤさん、まだここに来たばっかりなのに、探索しなくて良いんですか?」
「えっ、あっ、それは……」
ノエルの純粋な質問に、ゲン担ぎのカツ丼を揚げていたリュウヤは言葉を濁した。すると、集中が途切れたのか、珍しく悲鳴を上げた。
「あっづ!」
「リュウヤ殿が油で火傷など、珍しいでござるな」
「しかも、全部焦げ焦げじゃ」
「お前様、熱でもおありで?」
おタツは心配して額を触る。しかしリュウヤは、おタツの手に強い念を送り、バチンと火花を散らした。
「熱は出ちゃあねぇ。でも、俺っちはめっちゃメラメラ、熱気十分だぜ!」
熱い。熱すぎる。未だかつてないほどに熱血になっていやがる。何がリュウヤを熱くさせたのか。
不思議そうに見つめていると、リュウヤはそのまま焦げ焦げのカツ丼を風呂敷に包むと、そのまま扉に直行した。
「待ってくださいよリュウヤさん!」
「フーハッハッハッハッハ!お前達のカツ丼は、この怪盗ツルギーヌ・リュパンが預かったぞ!」
「いや別にリューくんのだから持ってってもええけど」
「とにかく、早く来いって事か」
全く、周りくどくて何を言いたいのか分からない。それにしても、まさか一日が始まろうとしているこんな夜更けにエンドポリスの場所を探し当てるなんて。だって今夜中の2時だぞ。どうやって情報を手に入れた。
まあ、理由はどうあれ見つかったのなら万々歳だ。
──一行は、リュウヤに導かれるままに、早速門の外へと向かった。やはり時間が時間というのもあって、街はかつての白黒テレビのように、モノトーンで幻想的な雪景色となっていた。街灯だけがぽつりぽつりと灯る街道、白雪と混じって灰のような色になった屋根、道を覆い尽くす白い砂漠。まさに、故郷に帰って来たような感じがする。
しかしそんな懐かしさも束の間、辺りの雪が暴風でぶわりと吹き飛んだ。空を見上げると、誰が手配したのだろう、真っ赤なドラゴンが飛んできた。ドランタクシーだ。
「あ!ドラゴン、いつの間に用意したん?」
「まあついさっきな。とにかく、さっさと向かおうぜ!エンドポリス!」
こうして、一行はエンドポリスへと飛び立った。
ドランタクシーは初めて使うはずなのだが、リュウヤは乗り込んで早速「こっから北北西、崖に頼む」とドラゴンに伝えた。
「リュウヤ殿、どらごん慣れしているでござるな」
「ま、まぁな。だって俺っち、“リュウ”ヤだもんな」
「理由になっておらぬぞ。そもそも、リュウヤお主、最近おかしいぞ?」
メアは直球で言葉を投げかける。しかし、リュウヤはその事に対して何か言い返す訳でもなく、焦げたカツ丼を食べ「うまい!うまい!」と一口食べるごとに叫んだ。煉○さんか。
最早、リュウヤは何も聞いてないんじゃないだろうか。不思議とそんな気がする。
とその時、ぐぎゅるるる、と誰かの腹の虫が鳴き出した。
「おお、すごく大きな鳴き声でありんすな」
「あ、アタシを見てんじゃあねぇ!」
「う、ウチもちゃうで。まだ、お腹空いとらん」
「じゃあこの音って……」
ノエルはきょとんとした目を、吾郎に向けた。すると吾郎は、耳を真っ赤にしながら「いかにも」と呟くように答えた。
「何だい。ほら皆も、食え食え~!」
「うむ!いただきます!」
そう言うと吾郎は、リュウヤからカツ丼を受け取り、早速食べた。
それに続いて、タクマ達も食べる。
すると、カツのジューシーな肉汁が飛び出し、おコゲと合わさって新たな味を作り出した。
「あ!美味しい!」
「あたぼうよぉ!どんなに焦げても、俺っちには美味くする才ってのがあるんだぜてゃんでぃ!」
「自分で言うのか。ま、確かに美味いからそうなのじゃが」
そんな感じでたわいもない会話をしていると、東側から真っ赤な太陽が登ってきた。しかし、登ってきた崖の一角、エンドポリスがある位置には、夜の暗闇のような暗雲が街を覆っていた。
しかも、近くに太陽があると言うのに、まるでその光を遮断するかのように、そこだけが真っ暗闇だった。
「お前ら、あの黒い所って……」
「エンドポリス、Zの本拠地だ」
リュウヤは、摘んだカツを飲み込み、洋画の台詞を真似して言った。それを聞き、一行は気を引き締めた。
最も危険なマッドサイエンティスト、死人が魔物になるウィルスをばら撒いた、恐るべき悪魔。そして、謎に包まれた地、エンドポリス。
Zの暴走を止め、世界に平穏をもたらすか。自分達が死に、エンドポリスの住人となるか。二つに一つ、出来るならば前者でありたい。
「ふぅ。食ったことじゃし、逝くとするかの」
「メア、縁起でもない事言わんでくれよ」
「あんな所が死に場所なんて、ウチ死んでも嫌や」
「その為にも、この忌まわしき悪夢を断ち切らなければ、死んでも死にきれぬ」
「死ぬ死ぬって、お前らの方が縁起でもねぇっての。ま、どうせやるなら、アタシも死ぬ気で付き合ってやるぜ!」
ガンガンガン!ガンガンガン!鉄と鉄を叩き合わせるような騒音が、三三七拍子を演奏する。
あまりのうるささに、全員が耳を抑えながら起き上がる。
「な、何だよリョーマ。まだ夜中の3時じゃあねぇか!」
「うぅ、もう食えへんて……」
「やっと起きたか。ほら、今すぐ出発だ!無限の彼方へ、さあ行くぞ!」
どこの宇宙飛行士だ。そう思いながらも、タクマ達はリュウヤに急かされて出動の準備をさせられた。
「それにしてもリュウヤさん、まだここに来たばっかりなのに、探索しなくて良いんですか?」
「えっ、あっ、それは……」
ノエルの純粋な質問に、ゲン担ぎのカツ丼を揚げていたリュウヤは言葉を濁した。すると、集中が途切れたのか、珍しく悲鳴を上げた。
「あっづ!」
「リュウヤ殿が油で火傷など、珍しいでござるな」
「しかも、全部焦げ焦げじゃ」
「お前様、熱でもおありで?」
おタツは心配して額を触る。しかしリュウヤは、おタツの手に強い念を送り、バチンと火花を散らした。
「熱は出ちゃあねぇ。でも、俺っちはめっちゃメラメラ、熱気十分だぜ!」
熱い。熱すぎる。未だかつてないほどに熱血になっていやがる。何がリュウヤを熱くさせたのか。
不思議そうに見つめていると、リュウヤはそのまま焦げ焦げのカツ丼を風呂敷に包むと、そのまま扉に直行した。
「待ってくださいよリュウヤさん!」
「フーハッハッハッハッハ!お前達のカツ丼は、この怪盗ツルギーヌ・リュパンが預かったぞ!」
「いや別にリューくんのだから持ってってもええけど」
「とにかく、早く来いって事か」
全く、周りくどくて何を言いたいのか分からない。それにしても、まさか一日が始まろうとしているこんな夜更けにエンドポリスの場所を探し当てるなんて。だって今夜中の2時だぞ。どうやって情報を手に入れた。
まあ、理由はどうあれ見つかったのなら万々歳だ。
──一行は、リュウヤに導かれるままに、早速門の外へと向かった。やはり時間が時間というのもあって、街はかつての白黒テレビのように、モノトーンで幻想的な雪景色となっていた。街灯だけがぽつりぽつりと灯る街道、白雪と混じって灰のような色になった屋根、道を覆い尽くす白い砂漠。まさに、故郷に帰って来たような感じがする。
しかしそんな懐かしさも束の間、辺りの雪が暴風でぶわりと吹き飛んだ。空を見上げると、誰が手配したのだろう、真っ赤なドラゴンが飛んできた。ドランタクシーだ。
「あ!ドラゴン、いつの間に用意したん?」
「まあついさっきな。とにかく、さっさと向かおうぜ!エンドポリス!」
こうして、一行はエンドポリスへと飛び立った。
ドランタクシーは初めて使うはずなのだが、リュウヤは乗り込んで早速「こっから北北西、崖に頼む」とドラゴンに伝えた。
「リュウヤ殿、どらごん慣れしているでござるな」
「ま、まぁな。だって俺っち、“リュウ”ヤだもんな」
「理由になっておらぬぞ。そもそも、リュウヤお主、最近おかしいぞ?」
メアは直球で言葉を投げかける。しかし、リュウヤはその事に対して何か言い返す訳でもなく、焦げたカツ丼を食べ「うまい!うまい!」と一口食べるごとに叫んだ。煉○さんか。
最早、リュウヤは何も聞いてないんじゃないだろうか。不思議とそんな気がする。
とその時、ぐぎゅるるる、と誰かの腹の虫が鳴き出した。
「おお、すごく大きな鳴き声でありんすな」
「あ、アタシを見てんじゃあねぇ!」
「う、ウチもちゃうで。まだ、お腹空いとらん」
「じゃあこの音って……」
ノエルはきょとんとした目を、吾郎に向けた。すると吾郎は、耳を真っ赤にしながら「いかにも」と呟くように答えた。
「何だい。ほら皆も、食え食え~!」
「うむ!いただきます!」
そう言うと吾郎は、リュウヤからカツ丼を受け取り、早速食べた。
それに続いて、タクマ達も食べる。
すると、カツのジューシーな肉汁が飛び出し、おコゲと合わさって新たな味を作り出した。
「あ!美味しい!」
「あたぼうよぉ!どんなに焦げても、俺っちには美味くする才ってのがあるんだぜてゃんでぃ!」
「自分で言うのか。ま、確かに美味いからそうなのじゃが」
そんな感じでたわいもない会話をしていると、東側から真っ赤な太陽が登ってきた。しかし、登ってきた崖の一角、エンドポリスがある位置には、夜の暗闇のような暗雲が街を覆っていた。
しかも、近くに太陽があると言うのに、まるでその光を遮断するかのように、そこだけが真っ暗闇だった。
「お前ら、あの黒い所って……」
「エンドポリス、Zの本拠地だ」
リュウヤは、摘んだカツを飲み込み、洋画の台詞を真似して言った。それを聞き、一行は気を引き締めた。
最も危険なマッドサイエンティスト、死人が魔物になるウィルスをばら撒いた、恐るべき悪魔。そして、謎に包まれた地、エンドポリス。
Zの暴走を止め、世界に平穏をもたらすか。自分達が死に、エンドポリスの住人となるか。二つに一つ、出来るならば前者でありたい。
「ふぅ。食ったことじゃし、逝くとするかの」
「メア、縁起でもない事言わんでくれよ」
「あんな所が死に場所なんて、ウチ死んでも嫌や」
「その為にも、この忌まわしき悪夢を断ち切らなければ、死んでも死にきれぬ」
「死ぬ死ぬって、お前らの方が縁起でもねぇっての。ま、どうせやるなら、アタシも死ぬ気で付き合ってやるぜ!」
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