236 / 295
第9章 怠惰魔城に巣食いし怪人
第235話 α放つ、死神恐れし秘めたる力
しおりを挟む
『おやおや。これはまた随分とこざっぱりした部屋だね。しかし、隠れんぼには不向きなようだが?』
「いいや、隠れんぼなんて幼稚な遊びをするつもりはねぇ。何もないくらいが、丁度いいんでなぁ!」
逃げ込んだ個室、そこは無駄に作られたが故に機能していない、ただの空き部屋だった。動く度に埃が舞い、蜘蛛の巣が揺れる。だが、これくらい不気味じゃなけりゃ味気がない。
オニキスは再度剣に血を与え、αに斬りかかった。αも、次のフェーズに移行しようと暗闇からハンマーを取り出して、オニキスを殴りつけた。
隙を突かれたオニキスは投げ飛ばされ、向かいの壁を突き破る。
「ペッ。広くするサービス付きたぁ、気が利くなぁα!《クリムゾン・ストライク》!」
『地面には樹木の力。〈巨人の判決・ケースグリーン〉』
主人の血を吸った赤黒い剣は、周りの瓦礫をかき集めて鈍器へと姿を変えた。それに対抗するように、αも自然の力を槌に宿した。
両者がぶつかり合い、風圧で塵が吹き上がる。しかし、地面の力では樹木に勝てず、オニキスは瓦礫の中から生えたツルに手足を取られてしまった。
この男、抜け目がない。まるで考えを読んでいるように、その場その場の最適解ばかりを選んできやがる。
くそっ。こんな時に、オーブの力さえあればこんな鎧男1人容易く……ん?オーブの力?
『私としては、ここで参って欲しいのだが、まだやるかな?』
「当たりめぇだ。テメェが最強だってんなら、最強狩りとして狩らなきゃいけねぇからなぁ!」
『その手足を縛られた状態でかい?君の体のためにも、やめるべきだ』
「今更気休めか?悪いがそんなの、いらねぇよ!《クリムゾン・ニトロバースト》!」
その瞬間、αは気付いた。拘束したツルが、オニキスの血で染まっていた事に。しかし、それに気付いた頃には遅く、オニキスの血に火が灯り、ツルは爆発するように燃え上がった。
なんとオニキスは、αが無駄話をするだろうと見越し、わざと血を流したのである。しかもそれは、剣に吸わせるために流す特別な血。
オニキスは戦闘で得られる最高の快楽で血を昂らせ、あえて高温にした。そして、ラスターが使っていた爆破性がある糸をイメージし、自身の赤血球を爆発させたのである。
両手が熱い。やりすぎて火傷しちまったようだ。だがこれで更に、戦いやすくなった。
「まだまだ行くぜ!《クリムゾン・スラッシュ》!」
『なっ、しまった』
αはオニキスの斬撃に対応できず、胴体に彼の斬撃を受けてしまった。甘く見たが故の、苦い一撃。傷跡から機械のコードらしきものが顔を出し、バチバチと火花をあげる。だが、ただのロボットの傷跡とは違い、人間の血の臭いも漂う。
それを見て、オニキスは一瞬ゾッとする。機械関係については、Zの研究対象でもあったため異文明の工学である事くらいは知っているが、交わる筈のない人間と機械の臭いが、この男から漂ってくるなど、考えられないからだ。
「テメェ、前々から気になってたから訊くが、何者だ?」
『……何者でもあり、何者でもない。それがα、始祖の存在だよ』
「シソだぁ?悪いがソイツは風味が口に合わなくて嫌いだ!どらぁ……っ!」
『やはり、君は相変わらずだ。敢えて受けたが、この程度で勝った気になるとは。甘い、はぁ!』
剣を掴まれ、オニキスの顔面に鉄の拳がめり込んだ。その瞬間、鼻の血管がプツンと切れる音が響き、真っ赤な放物線と共に、オニキスは瓦礫の海へと再び放り投げられる。
折角トカゲとタヌキが選んだドレスも、猫娘の施したメイクも、気が付けば鼻血と砂埃で台無しになっている。しかし、元々俺は最強を狩り続けた一匹狼、お淑やかなレディを演じるなんて、初めから無理だったのだ。
「くっ、クハハハハハ!笑っちまうぜ!もうここまで滅茶苦茶にされたんだ。今更何気にすんだ?」
『おや?』
「ここからはマジもマジ、大本気だ。本気にテメェをぶっ殺す!」
吹っ切れた。今更血も、敵の圧も知ったことじゃあない。脳細胞の沸騰?したけりゃ勝手にしてればいい。
《クリムゾン》、出力最大!失ったオーブの力だって、クリムゾンならいくらでもカバーできる。だったら、身体中の血全てを捧げてやるよ。それくらい、この鎧野郎とのケジメ合戦には価値がある!
「行くぜゴラァ!《クリムゾン・カッター》!」
『これしきの事、《フリズ・ハンドレットスピア》』
次の余興の移行のため、αは武器を槍に持ち替え、冷気を纏った特殊技で翻弄した。しかしオニキスも負けておらず、湧き上がる力をふんだんに使い、数百発の突きを弾き返した。
そして、剣と槍の奏でる金属音が響き合った後、αの槍が押し負けて折れてしまった。オニキスの力と鋼と相性の悪い氷魔法が災いし、速攻でダメになったようだ。
『これはいけない。ぬおっ!』
「死にざらせ!《クリムゾン・ブラッドファング》!」
『ぬああああ!!』
オニキスはαとの距離を極限まで詰め、血で作り出した2対の牙と共に激しい一撃を与えた。それによりαは初めて、断末魔を挙げ、今度は彼が壁を突き破った。
また一段と広くなったその部屋は、元々メイドが使っていた部屋だったのか、ベッドや布団、メイド服が散乱していた。いや、αの影響で今ばら撒かれたのだろう。
「くそっ。流石に少し本気を出しすぎたな」
頭がクラクラする。一応戻せるだけの血は戻したが、まだ気分が優れない。オニキスは壁に寄りかかりながら体の調子を整える。
勝ち星を奪い取ったとはいえ、こんな滅茶苦茶になった屋敷の汚い部屋が死に場所なんて、最悪な最期だ。どうせならもっと、ここよりマシな場所を選んで死にたい。
そんな事を考えながら、オニキスは余り余った回復薬を必死で飲む。飲み切れずに口から溢れて行くが、傷口に入っても効果は同じなら別にいい。
「そう言や、今って何時だ?畜生、こんな事なら懐中時計くらい買えば良かった」
『そうだねぇ、今は丁度11時40分。夜明けにはまだ早い時間帯だよ』
「っ!」
独り言に応える不穏な声と共に、ガチャガチャと鎧の音が鳴り響く。この音、嫌な予感しかしない。言わずもがな、アイツだ。
オニキスはゆっくりと顔を上げ、そしてその顔を見て唖然としながら、ポーションの瓶を落とした。
なんと、αは生きていたのだ。人間の赤い血と人ならざる青い血の二色を流しながら、彼は目の前に立っていた。
「いいや、隠れんぼなんて幼稚な遊びをするつもりはねぇ。何もないくらいが、丁度いいんでなぁ!」
逃げ込んだ個室、そこは無駄に作られたが故に機能していない、ただの空き部屋だった。動く度に埃が舞い、蜘蛛の巣が揺れる。だが、これくらい不気味じゃなけりゃ味気がない。
オニキスは再度剣に血を与え、αに斬りかかった。αも、次のフェーズに移行しようと暗闇からハンマーを取り出して、オニキスを殴りつけた。
隙を突かれたオニキスは投げ飛ばされ、向かいの壁を突き破る。
「ペッ。広くするサービス付きたぁ、気が利くなぁα!《クリムゾン・ストライク》!」
『地面には樹木の力。〈巨人の判決・ケースグリーン〉』
主人の血を吸った赤黒い剣は、周りの瓦礫をかき集めて鈍器へと姿を変えた。それに対抗するように、αも自然の力を槌に宿した。
両者がぶつかり合い、風圧で塵が吹き上がる。しかし、地面の力では樹木に勝てず、オニキスは瓦礫の中から生えたツルに手足を取られてしまった。
この男、抜け目がない。まるで考えを読んでいるように、その場その場の最適解ばかりを選んできやがる。
くそっ。こんな時に、オーブの力さえあればこんな鎧男1人容易く……ん?オーブの力?
『私としては、ここで参って欲しいのだが、まだやるかな?』
「当たりめぇだ。テメェが最強だってんなら、最強狩りとして狩らなきゃいけねぇからなぁ!」
『その手足を縛られた状態でかい?君の体のためにも、やめるべきだ』
「今更気休めか?悪いがそんなの、いらねぇよ!《クリムゾン・ニトロバースト》!」
その瞬間、αは気付いた。拘束したツルが、オニキスの血で染まっていた事に。しかし、それに気付いた頃には遅く、オニキスの血に火が灯り、ツルは爆発するように燃え上がった。
なんとオニキスは、αが無駄話をするだろうと見越し、わざと血を流したのである。しかもそれは、剣に吸わせるために流す特別な血。
オニキスは戦闘で得られる最高の快楽で血を昂らせ、あえて高温にした。そして、ラスターが使っていた爆破性がある糸をイメージし、自身の赤血球を爆発させたのである。
両手が熱い。やりすぎて火傷しちまったようだ。だがこれで更に、戦いやすくなった。
「まだまだ行くぜ!《クリムゾン・スラッシュ》!」
『なっ、しまった』
αはオニキスの斬撃に対応できず、胴体に彼の斬撃を受けてしまった。甘く見たが故の、苦い一撃。傷跡から機械のコードらしきものが顔を出し、バチバチと火花をあげる。だが、ただのロボットの傷跡とは違い、人間の血の臭いも漂う。
それを見て、オニキスは一瞬ゾッとする。機械関係については、Zの研究対象でもあったため異文明の工学である事くらいは知っているが、交わる筈のない人間と機械の臭いが、この男から漂ってくるなど、考えられないからだ。
「テメェ、前々から気になってたから訊くが、何者だ?」
『……何者でもあり、何者でもない。それがα、始祖の存在だよ』
「シソだぁ?悪いがソイツは風味が口に合わなくて嫌いだ!どらぁ……っ!」
『やはり、君は相変わらずだ。敢えて受けたが、この程度で勝った気になるとは。甘い、はぁ!』
剣を掴まれ、オニキスの顔面に鉄の拳がめり込んだ。その瞬間、鼻の血管がプツンと切れる音が響き、真っ赤な放物線と共に、オニキスは瓦礫の海へと再び放り投げられる。
折角トカゲとタヌキが選んだドレスも、猫娘の施したメイクも、気が付けば鼻血と砂埃で台無しになっている。しかし、元々俺は最強を狩り続けた一匹狼、お淑やかなレディを演じるなんて、初めから無理だったのだ。
「くっ、クハハハハハ!笑っちまうぜ!もうここまで滅茶苦茶にされたんだ。今更何気にすんだ?」
『おや?』
「ここからはマジもマジ、大本気だ。本気にテメェをぶっ殺す!」
吹っ切れた。今更血も、敵の圧も知ったことじゃあない。脳細胞の沸騰?したけりゃ勝手にしてればいい。
《クリムゾン》、出力最大!失ったオーブの力だって、クリムゾンならいくらでもカバーできる。だったら、身体中の血全てを捧げてやるよ。それくらい、この鎧野郎とのケジメ合戦には価値がある!
「行くぜゴラァ!《クリムゾン・カッター》!」
『これしきの事、《フリズ・ハンドレットスピア》』
次の余興の移行のため、αは武器を槍に持ち替え、冷気を纏った特殊技で翻弄した。しかしオニキスも負けておらず、湧き上がる力をふんだんに使い、数百発の突きを弾き返した。
そして、剣と槍の奏でる金属音が響き合った後、αの槍が押し負けて折れてしまった。オニキスの力と鋼と相性の悪い氷魔法が災いし、速攻でダメになったようだ。
『これはいけない。ぬおっ!』
「死にざらせ!《クリムゾン・ブラッドファング》!」
『ぬああああ!!』
オニキスはαとの距離を極限まで詰め、血で作り出した2対の牙と共に激しい一撃を与えた。それによりαは初めて、断末魔を挙げ、今度は彼が壁を突き破った。
また一段と広くなったその部屋は、元々メイドが使っていた部屋だったのか、ベッドや布団、メイド服が散乱していた。いや、αの影響で今ばら撒かれたのだろう。
「くそっ。流石に少し本気を出しすぎたな」
頭がクラクラする。一応戻せるだけの血は戻したが、まだ気分が優れない。オニキスは壁に寄りかかりながら体の調子を整える。
勝ち星を奪い取ったとはいえ、こんな滅茶苦茶になった屋敷の汚い部屋が死に場所なんて、最悪な最期だ。どうせならもっと、ここよりマシな場所を選んで死にたい。
そんな事を考えながら、オニキスは余り余った回復薬を必死で飲む。飲み切れずに口から溢れて行くが、傷口に入っても効果は同じなら別にいい。
「そう言や、今って何時だ?畜生、こんな事なら懐中時計くらい買えば良かった」
『そうだねぇ、今は丁度11時40分。夜明けにはまだ早い時間帯だよ』
「っ!」
独り言に応える不穏な声と共に、ガチャガチャと鎧の音が鳴り響く。この音、嫌な予感しかしない。言わずもがな、アイツだ。
オニキスはゆっくりと顔を上げ、そしてその顔を見て唖然としながら、ポーションの瓶を落とした。
なんと、αは生きていたのだ。人間の赤い血と人ならざる青い血の二色を流しながら、彼は目の前に立っていた。
0
お気に入りに追加
140
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
異世界は流されるままに
椎井瑛弥
ファンタジー
貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。
日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。
しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。
これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる