204 / 295
第8章 復讐の死神
第203話 白銀と雨
しおりを挟む
『おぉ~ぉい、可愛い可愛い野ウサギちゃんよォ~~ォ?何処に隠れたのかなぁ~?』
グリスは気持ちの悪い猫撫で声を出しながら、黄金化した街──仮にC地区──の中をグルグルと探し回る。流石に姿を晦ましたといえ、何処に隠れているのかという目星は着いているようだ。いや、あんな一瞬で遠くに逃げるなんて、忍でも無理に等しい。せいぜい隠れ身の術でその場を乗り切る程度だ。
だが、それじゃあダメだ。この場合、適当に酸性の血を振り撒かれたら、バレるだけでなく、そのまま骨も残さず溶かされる。陽気に言っているが、奴は非常に怒っている。その状態では、本当に何をしてくるか分からない。
その頃、メア達は二手に分かれて民家の中に隠れ、そこで次の作戦を立てていた。
「ど、どうするのじゃ?アレ食らってもピンピンしてたぞ」
「アタシの御眼鏡に敵う兵器だったってーのに、こりゃお手上げかもしんねぇぜ」
アリーナは銃弾を補充しつつ笑った。いや、笑うしかなかった。
例のロケットランチャーは、ハクラジュ帰りの武器商人から盗んだもの。しかも、後から聞くにドラゴンもイチコロの一撃必殺兵器だと分かった。勿論、その性能の分値段は高価、そして使えるのは一度きり。
そんな自慢の最終兵器を喰らってもなお、気持ち悪い猫撫で声を出せるとなれば、もう打つ手がないに等しい。
「でも、忘れんな?アタシは全ての武器を使えるオールマイティー女海賊!モダンなコイツでぶっ殺してやるよ!」
「あっ!待てアリーナ!単独行動してはならぬ!」
しかし、アリーナはメアの話を聞き流し、一人で勝手に出て行ってしまった。
そして、こっそりとグリスの後ろ側に回り、影に隠れながら後をつけた。しかし、コアとなるオーブは見当たらなかった。
「……匂うぜ。頃合いだ!」
『ンゥ?見つけたぞ女海賊!やっとお出ましって訳か!』
「あぁ!生憎アタシも賊だからねぇ、アンタをとっととぶっ殺してここら一帯の金全部貰ってくつもりだ!」
『減らず口を!コイツはぜーんぶオレっちのモンだ!』
「独り占めか、強欲らしい」
アリーナは呟くと、二丁の拳銃を迷う事なく発砲した。最大6発のリボルバー式、計12発がグリスの前脚に命中する。
そしてついに、グリスの骨が顔を出し始めた。だが、その分血が噴き出し、足元に大きな窪みを作る。
『もう終わりかい?じゃあ、遠慮せずに君から食べてやろうか!』
「できるもんなら、やってみな!」
そう言うと、アリーナは自慢のマントを靡かせ、靴のブースターを上げる。そして、風のようにグリスから逃げた。
『逃げたって無駄だよォ~~~~ォン!』
「お前らー!頼んだぜーッ!」
グリスはアリーナに夢中で、隠れているメア達に目もくれず、呑気に尻尾を見せつけながら奥に消えていく。
アリーナ、お主は一体何を考えておるのじゃ?メアは顔を出しつつ、疑問を抱く。
するとその時、ポツリと鼻頭に水が落ちてきた。雨だ。今にも降り出しそうだと薄々思っていたが、こんな時に降るとは思わなかった。
「メアちゃん、大丈夫でありんすか?」
「うむ。彼奴は勝手に出て行ってしまったがの」
「でも、アリリンは不器用なだけでしっかり残してくれとるで」
アリーナの勝手な行動に頭を抱えていた時、ナノは無邪気な笑顔を向けて言った。
勿論、何のことか分からない二人は、首を傾げる。だが、グリスとアリーナが戦ったついさっきの事を思い出し、「「成程!」」と手を叩いた。やはり、何かをする上で、最年長のコツと最年少の思い付きは1番大切ということらしい。
──それから数分後、アリーナが元のC地区に帰ってきた。バテてはいるが、しっかりと距離を取っている。
しかし、辺りにはメア達の姿がない。だが、アリーナはその事を待っていたかのようにニヤリと笑い、大きくジャンプした。
「ここまでおいで、クソキツネ~!」
『もう逃げらんねぇぜ?いっただきまーす!』
グリスはヨダレを滝のように流し、アリーナ目掛けて直進した。
だがその時、不思議なことが起こった。なんと、黄金の地面が突然抜け落ち、グリスは落とし穴にハマった。そして、落ちた音を聞きつけたメア達が、屋根の上から顔を出した。
「まんまと引っかかったでありんすな!化け狐!」
「アリーナ、ナイスな囮じゃったぞー!」
『有り得ねぇ、有り得ねぇぜこんな事!短時間で鋼鉄をも超える硬さの黄金に大穴を開けるなんて……ッ!!』
「アンタってバカなんだな。アタシも大概だけど、今の天候どうよ?」
アリーナはハマって動けなくなっているグリスの仮面に銃を撃ちながら、もう片方の手で空を指した。
誰が何と言おうと、今の天気は雨だ。晴れでも曇りでもなく、雨だ。
「アンタの血、物溶かす力あるんよな?」
『ま、まさかッ!』
「そう、お主がアリーナに撃たれた時作った凹みじゃ!そこに雨が降って、溜まった硫酸と一緒に穴を広げたのじゃよ!」
メアの言う通りだが、説明しよう!
まず、アリーナは雨が降ると言う事を事前に感知し、銃でグリスを攻撃してあえて惹きつけた。それにより、グリスの足元に硫酸の血で凹みができる。
次に、グリスが居なくなった所を見計らい、追いかける際に生じた血溜まりをメアの《フレア》で、金を溶かしながら穴へと誘導して大きくしていった。例え鋼鉄よりも硬くとも、金は熱に弱く、簡単に溶けてしまう。
最後に、民家からかき集めた家具をナノのハンマーで砕き、余計な穴ぼこを《フレア》で溶接して埋める。そして、大和の流派で伝わる隠れ身風呂敷を穴に敷けば、落とし穴の完成と言う訳だ。
自分の血であるためそうすぐに溶ける事はないが、硫酸の沼に溺れれば、例え罪源の仮面だろうと逃れる事は不可能に近い。
「行くぜお前ら!飛び道具を用意しろ!」
「オーケーやで!」
「苦無、準備万端!」
「妾のナイフが火を吹くのじゃ!」
『そうはさせねぇぜ!《ゴールデン・ビュート》!』
グリスは硫酸風呂に溺れながらも、周囲の金を触手のように動かし攻撃した。しかし、金は火炎ナイフと爆散手裏剣によって変形させられ、すぐヘナヘナになってしまった。
その間、ナノとアリーナは首裏を狙って攻撃を続けた。血が良く動き回るためか、ドバドバと溢れ出る。お陰で穴も、大きく、そして深くなり、一層グリスは溺れていく。
『クソ!クソクソクソクソクソ!オレっちはただ、2000年のヨリを戻すために、目に写るもの全部を欲しただけなのに!』
「生憎じゃが、お主にはまた狭苦しいオーブに戻ってもらうのじゃ」
「この世界はみんなの物。アンタみたいな欲張りに渡すには惜しいってもんやで!」
ナノは自分よりも小さな子を叱るような口調でグリスに言う。
そして、4人は互いの力を掛け合わせ、グリスにトドメを刺しに走った。
「霞より舞うは桜花の如し」
「黄泉から昇るは不死鳥の如し」
「鋭き鎌は疾風の如し」
「輝く弾丸は満月の如し」
おタツは桜花のような美しい動きで、メアは黄泉から舞い戻る不死鳥のように、ナノは鎌鼬の疾風のように、そしてアリーナは退魔の力を持つ満月のような銀の弾丸を、四人同時に撃ち込んだ。
すると、それらは4方向からグリスの喉に直進し、奥にあったコアに命中した。
『嘘だ!待ってくれ!せめて、せめて女1匹だけでも……』
「「「「《舜天・花鳥風月》」」」」
「アンタには、退魔の弾丸がお似合いだぜ」
『ぎゃああああああーッ!!』
コアの消失により力を失ったグリスは、オブラートの溶けた薬のように呆気なく溶けていく。自慢の爪を持っていた腕は、硫酸風呂から顔を出す度に肉がなくなり、骨を見せる。
そして、ペストマスクを残して沈んだ時、硫酸風呂ごとオーブに再吸収され、封印された。
「さて、一丁あがりでありんすな」
「って、そんな事してる場合ではないぞ!タクマの所に行かなくては!」
グリスは気持ちの悪い猫撫で声を出しながら、黄金化した街──仮にC地区──の中をグルグルと探し回る。流石に姿を晦ましたといえ、何処に隠れているのかという目星は着いているようだ。いや、あんな一瞬で遠くに逃げるなんて、忍でも無理に等しい。せいぜい隠れ身の術でその場を乗り切る程度だ。
だが、それじゃあダメだ。この場合、適当に酸性の血を振り撒かれたら、バレるだけでなく、そのまま骨も残さず溶かされる。陽気に言っているが、奴は非常に怒っている。その状態では、本当に何をしてくるか分からない。
その頃、メア達は二手に分かれて民家の中に隠れ、そこで次の作戦を立てていた。
「ど、どうするのじゃ?アレ食らってもピンピンしてたぞ」
「アタシの御眼鏡に敵う兵器だったってーのに、こりゃお手上げかもしんねぇぜ」
アリーナは銃弾を補充しつつ笑った。いや、笑うしかなかった。
例のロケットランチャーは、ハクラジュ帰りの武器商人から盗んだもの。しかも、後から聞くにドラゴンもイチコロの一撃必殺兵器だと分かった。勿論、その性能の分値段は高価、そして使えるのは一度きり。
そんな自慢の最終兵器を喰らってもなお、気持ち悪い猫撫で声を出せるとなれば、もう打つ手がないに等しい。
「でも、忘れんな?アタシは全ての武器を使えるオールマイティー女海賊!モダンなコイツでぶっ殺してやるよ!」
「あっ!待てアリーナ!単独行動してはならぬ!」
しかし、アリーナはメアの話を聞き流し、一人で勝手に出て行ってしまった。
そして、こっそりとグリスの後ろ側に回り、影に隠れながら後をつけた。しかし、コアとなるオーブは見当たらなかった。
「……匂うぜ。頃合いだ!」
『ンゥ?見つけたぞ女海賊!やっとお出ましって訳か!』
「あぁ!生憎アタシも賊だからねぇ、アンタをとっととぶっ殺してここら一帯の金全部貰ってくつもりだ!」
『減らず口を!コイツはぜーんぶオレっちのモンだ!』
「独り占めか、強欲らしい」
アリーナは呟くと、二丁の拳銃を迷う事なく発砲した。最大6発のリボルバー式、計12発がグリスの前脚に命中する。
そしてついに、グリスの骨が顔を出し始めた。だが、その分血が噴き出し、足元に大きな窪みを作る。
『もう終わりかい?じゃあ、遠慮せずに君から食べてやろうか!』
「できるもんなら、やってみな!」
そう言うと、アリーナは自慢のマントを靡かせ、靴のブースターを上げる。そして、風のようにグリスから逃げた。
『逃げたって無駄だよォ~~~~ォン!』
「お前らー!頼んだぜーッ!」
グリスはアリーナに夢中で、隠れているメア達に目もくれず、呑気に尻尾を見せつけながら奥に消えていく。
アリーナ、お主は一体何を考えておるのじゃ?メアは顔を出しつつ、疑問を抱く。
するとその時、ポツリと鼻頭に水が落ちてきた。雨だ。今にも降り出しそうだと薄々思っていたが、こんな時に降るとは思わなかった。
「メアちゃん、大丈夫でありんすか?」
「うむ。彼奴は勝手に出て行ってしまったがの」
「でも、アリリンは不器用なだけでしっかり残してくれとるで」
アリーナの勝手な行動に頭を抱えていた時、ナノは無邪気な笑顔を向けて言った。
勿論、何のことか分からない二人は、首を傾げる。だが、グリスとアリーナが戦ったついさっきの事を思い出し、「「成程!」」と手を叩いた。やはり、何かをする上で、最年長のコツと最年少の思い付きは1番大切ということらしい。
──それから数分後、アリーナが元のC地区に帰ってきた。バテてはいるが、しっかりと距離を取っている。
しかし、辺りにはメア達の姿がない。だが、アリーナはその事を待っていたかのようにニヤリと笑い、大きくジャンプした。
「ここまでおいで、クソキツネ~!」
『もう逃げらんねぇぜ?いっただきまーす!』
グリスはヨダレを滝のように流し、アリーナ目掛けて直進した。
だがその時、不思議なことが起こった。なんと、黄金の地面が突然抜け落ち、グリスは落とし穴にハマった。そして、落ちた音を聞きつけたメア達が、屋根の上から顔を出した。
「まんまと引っかかったでありんすな!化け狐!」
「アリーナ、ナイスな囮じゃったぞー!」
『有り得ねぇ、有り得ねぇぜこんな事!短時間で鋼鉄をも超える硬さの黄金に大穴を開けるなんて……ッ!!』
「アンタってバカなんだな。アタシも大概だけど、今の天候どうよ?」
アリーナはハマって動けなくなっているグリスの仮面に銃を撃ちながら、もう片方の手で空を指した。
誰が何と言おうと、今の天気は雨だ。晴れでも曇りでもなく、雨だ。
「アンタの血、物溶かす力あるんよな?」
『ま、まさかッ!』
「そう、お主がアリーナに撃たれた時作った凹みじゃ!そこに雨が降って、溜まった硫酸と一緒に穴を広げたのじゃよ!」
メアの言う通りだが、説明しよう!
まず、アリーナは雨が降ると言う事を事前に感知し、銃でグリスを攻撃してあえて惹きつけた。それにより、グリスの足元に硫酸の血で凹みができる。
次に、グリスが居なくなった所を見計らい、追いかける際に生じた血溜まりをメアの《フレア》で、金を溶かしながら穴へと誘導して大きくしていった。例え鋼鉄よりも硬くとも、金は熱に弱く、簡単に溶けてしまう。
最後に、民家からかき集めた家具をナノのハンマーで砕き、余計な穴ぼこを《フレア》で溶接して埋める。そして、大和の流派で伝わる隠れ身風呂敷を穴に敷けば、落とし穴の完成と言う訳だ。
自分の血であるためそうすぐに溶ける事はないが、硫酸の沼に溺れれば、例え罪源の仮面だろうと逃れる事は不可能に近い。
「行くぜお前ら!飛び道具を用意しろ!」
「オーケーやで!」
「苦無、準備万端!」
「妾のナイフが火を吹くのじゃ!」
『そうはさせねぇぜ!《ゴールデン・ビュート》!』
グリスは硫酸風呂に溺れながらも、周囲の金を触手のように動かし攻撃した。しかし、金は火炎ナイフと爆散手裏剣によって変形させられ、すぐヘナヘナになってしまった。
その間、ナノとアリーナは首裏を狙って攻撃を続けた。血が良く動き回るためか、ドバドバと溢れ出る。お陰で穴も、大きく、そして深くなり、一層グリスは溺れていく。
『クソ!クソクソクソクソクソ!オレっちはただ、2000年のヨリを戻すために、目に写るもの全部を欲しただけなのに!』
「生憎じゃが、お主にはまた狭苦しいオーブに戻ってもらうのじゃ」
「この世界はみんなの物。アンタみたいな欲張りに渡すには惜しいってもんやで!」
ナノは自分よりも小さな子を叱るような口調でグリスに言う。
そして、4人は互いの力を掛け合わせ、グリスにトドメを刺しに走った。
「霞より舞うは桜花の如し」
「黄泉から昇るは不死鳥の如し」
「鋭き鎌は疾風の如し」
「輝く弾丸は満月の如し」
おタツは桜花のような美しい動きで、メアは黄泉から舞い戻る不死鳥のように、ナノは鎌鼬の疾風のように、そしてアリーナは退魔の力を持つ満月のような銀の弾丸を、四人同時に撃ち込んだ。
すると、それらは4方向からグリスの喉に直進し、奥にあったコアに命中した。
『嘘だ!待ってくれ!せめて、せめて女1匹だけでも……』
「「「「《舜天・花鳥風月》」」」」
「アンタには、退魔の弾丸がお似合いだぜ」
『ぎゃああああああーッ!!』
コアの消失により力を失ったグリスは、オブラートの溶けた薬のように呆気なく溶けていく。自慢の爪を持っていた腕は、硫酸風呂から顔を出す度に肉がなくなり、骨を見せる。
そして、ペストマスクを残して沈んだ時、硫酸風呂ごとオーブに再吸収され、封印された。
「さて、一丁あがりでありんすな」
「って、そんな事してる場合ではないぞ!タクマの所に行かなくては!」
0
お気に入りに追加
139
あなたにおすすめの小説
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる