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第6章 恋する乙女に花束を

第135話 毒ある娘に挑戦を

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「食らっちゃえ!」
「させんっ!〈閃の剣〉!」
「まだまだぁ!アタシの部下ちゃん、おいで~!」

 槍でタクマを襲うピアは、某のど飴ケースのようなものから玉のようなものを数個取り出し、戦闘員のようなハチの魔物を出現させた。
 腕や背中に黒光りするパンクな針を生やし、口はまるで、スズメバチを彷彿とさせるような鋭い牙を生やしていた。

「な、何なんですかアレ!気持ち悪いです!」
「フラッシュの事いらないとか言ったクセに、アンタ達も同じもの出すじゃない」

 ノエルとリオは、気持ちの悪い怪人集団を見て顔を青ざめさせながら言う。
 しかし、リオとノエルが放つ毒は、スズメバチ怪人には効かなかった。むしろ、相手が毒を持っているから、効いていないのかもしれない。
 
「変なものを出しちゃってまあ」

 余計な敵が増えたなぁと思いそっちの討伐に向かおうとしたが、すぐさま蜂のような槍で行手を阻まれた。
 
「何言ってんの?アンタの敵はアタシだよ?逃すわけないじゃん」
「こうなればタクマ殿!この蜂怪人は拙者達にお任せあれ!」
「私もやるわ。丁度遠慮なくやれるサンドバッグ欲しかったから」
「あぁ、頼んだ!」

 その頃、リュウヤの方も、フォルテがピアの真似をしてスズメバチ怪人を召喚していた。
 ただ、こちらの怪人は、どこか白みがかっている。

「うっひょー!こんな特撮怪人みてーなの出すたぁ!流石ギャルっ子、分かってるじゃんの!」
「褒めたって何も出ないっての!きゃっ!」
「ちょ、リュウヤ!何処行くのじゃ!」
「この量の敵、一回倒してみたかったんだ!だからごめんよ!」

 リュウヤはフォルテとの戦いをほっぽり出し、フォルテの召喚した戦闘員に向かって走り出してしまった。
 その興奮のしように、フォルテ討伐チームである他の3人は苦笑する。しかし、興奮していて、数十体を超える怪人相手に互角の勝負をしているとはいえ、リュウヤたった1人には任せられない。
 そこで、メアが直々に「妾が助けに行く!」と名乗り、リュウヤの後を追った。

「これで互角って感じ?」
「そのようでありんすな。ナノちゃん、怖かったら逃げていいでありんすよ」
「何言うとんねや。入団早々タツ姐に頼ってばかりのダメダメ妹にはならへんで!」


 ナノは言い、巨大なハンマーを、マンモスの足のような物に見立てて振り下ろす。

「〈マムート・プレス〉!」

 しかし、振り下ろすのに少し時間を取ってしまった事で、ハンマー使いの死角に入られてしまった。
 すると、ナノの背中から、ハリネズミのような針が飛び出し、後ろから攻撃を仕掛けようとしていたフォルテを攻撃した。

「な、何なのよコレぇ!マジありえない~!」
「ありえない事を起こす。それがウチらのモットーでありんす」

 そう言うとおタツは、フォルテの首目掛けて飛びかかった。しかし、おタツに負けず劣らず、フォルテも自慢の短剣で忍者刀を押し返す。
 それから、おタツとフォルテは、常人には見えない速さで剣を交えた。キン!キン!と、鉄と鉄がぶつかり合う音が連発する。

「はぁ、はぁ。マジでなんなのアンタ。動き軽杉田玄白なんだけど~」
「フォルテも、なかなかの腕前でありんすな。けど、もっと周りを見ないと足を掬われるでありんすよ?」
「はぁぁぁぁ!!〈だるま落とし〉!」

 ナノは叫びながら、フォルテを殴り飛ばす。それにより、フォルテはだるまの体が如き速さで飛んでいく。
 しかし、フォルテは背中の羽を使い、地面に着く前に飛び上がってしまった。更に、その場所から、投げナイフのような針を、ミサイルのように飛ばした。

「わぁっ!な、何じゃこれは!」
「フォルテちゃん、お空に逃げちゃいましたか。こりゃ敵いませんなぁ」

 リュウヤは華麗に針を避け、偶に蜂怪人を盾にした。すると、その蜂怪人は、ギシャァァァ!とエイリアンのような悲鳴を上げて跡形もなく溶けてしまった。

「と、溶けた!?一体どうなっとんねや!」
「キャハハ!アタシの毒針にはぁ、モノの細胞を完全に壊して跡形もないスープにしちゃうんだよぉ!マジでドロドロ~とか、チョーヤバイっしょ!」
「あららこれは一本取られたぜ。けど、俺を出汁に使ったスープは……」
「別に飲みたくないっつーの!」

 気楽そうに話すリュウヤに向け、フォルテは集中砲火する。

「嘘ぉ!俺の料理人ジョークが通じないだってぇ!?」
「ジョークだけじゃ、どうにも、ならんじゃろ!」

 メアは無心で攻撃を仕掛ける蜂怪人の首をナイフで切り裂きながらツッコミを入れる。
 そして、目的が地面から離れてしまったおタツとナノは、次の作戦を考えていた。
 話を一度戻し、タクマの方も、順調に怪人を倒し、少しづつではあるが、ピアにダメージを与えていた。

「コレ楽しぃ!ぐるぐるどっかーん!」
「うわぁっ!ちょ、一瞬バツボタン見えた!一瞬見えた!」
「もっともっとー!」
「させません!はぁっ!」

 ピアは、空中からタクマに向けて低空飛行で攻撃を仕掛けた。それはまるで、ゲームなどで偶にある即死級攻撃のような回転突きだった。そのため、タクマはテンパってしまい、即座に打たなければいけないコマンドが見えてしまったのだ。
 
「へぇ、アタシの槍を素手で受け止めるなんて。なかなかやるじゃん」
「えへへ。私も強くなりましたからねっ!」

 ノエルは、ピアの槍を蹴り上げ、その隙に拳を叩き込んだ。それにより、ピアは飛ばされる。
 すると、ピアは槍を地面に刺してブレーキをかけたものの、運悪く何も知らずに避けた蜂怪人のせいで、吾郎とリオが襲いかかってきた。
 
「何!?」
「これは好機!覚悟っ!」
「《フレア・デスサイズ》!」
「〈天照・陽炎の太刀〉!」

 偶然ではあったが、吾郎とリオは技を溜める。しかし、技が発動する前に、ピアは槍を回転させ必殺技を完全に防いでしまった。
 そしてまた、ノエルを貫き、タクマに向かって低空飛行で突撃してきた。

「キャァァァァ!!」
「ノエル!!」
「キャハハ、いただきまーす!」

 と、その時だった。

「危なーい!」
「へ?」
「ハーハッハッハ!正義の味方!フラッシュ参上!」

 なんと、何故か上半身裸のフラッシュが目の前に立ちはだかったのだった。
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