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第5章 白熱!アコンダリアトーナメント
第130話 感謝!約束を果たした剣士
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「う、うーん……」
「早う起きんかい!この寝坊助!」
目を開けようとしたその時、頭に凄まじい振動と激痛が走った。まるで、頭に石をぶつけられたような痛み。
その痛みと、思い出したかのように響き出した骨の痛みで、タクマは飛び上がるように起き上がった。
「痛ったぁぁぁぁぁ!!」
「やっと起きましたよ、メアさん。メアさん?」
「痛……タクマの頭硬いのじゃ……」
頭突きをした犯人であるメアは、泣きながら、ぶつけた額から血を垂らす。
確かに心配だっただろうけど、頭突きする事はないだろ。本当なら、今度こそ厳しく怒らないとと思っていたが、今回は無茶し過ぎた自分にも非はある。だから、笑って許す。
「タクマァァァ!お前、何てことしてくれたんだ!」
「りゅ、リュウヤ殿?」
「お前……優勝ってすげぇじゃあねぇかよぉ!何お前、神?最強の勇者?いやー、もう敵わねぇわ!ハッハッハ!」
ベッドに隕石が如く飛び込んできたリュウヤは、まるで自分が優勝したかのようにタクマの勝利を祝福した。
ただ、スキンシップが激しすぎたこともあり、駆けつけたおタツと吾郎に引き剥がされてしまった。
「こらお前様、タクマさんは怪我してるでありんすよ?」
「うぇひひ、めんごめんご」
「とにかくタクマ殿。優勝、おめでとう」
「皆……ほんとに、サンキューな」
タクマはベッドの上で、上半身だけ姿勢を正して礼を言った。
ただ、やっぱり勝った気がしない。あの時、オニキスが苦しんでいた姿は、自分が攻撃した傷による重傷などではなかった。持病が悪化したような、そんな苦しみ方をしているような感じがした。
本来ならあの時、仮にオニキスも限界を迎えていたとしても、あの動きようからして、トドメの一撃を繰り出すことは可能だったはず。いや、繰り出そうとしていた。
普段の彼なら、斬られた痛みを耐えてまで勝ちを取ろうとしたはず。それをしなかった。
それは多分、耐えることができない痛みだったのだろう。
「おい、何考えておるのじゃタクマ。早う妾の可愛いデコに絆創膏を貼るのじゃ」
「全くもう、メアはしょうがない子だなぁ」
タクマは、優しい笑みを浮かべつつ、メアの持っていたピンクの絆創膏を貼ってあげた。
それを見て、ノエルが笑いを溢す。
「フフッ。タクマさん、何かお母さんみたいですね」
「お、おかっ!?」
「じゃ、俺は父さんかぁ?」
「お前様はウチのふぃあんせ、でありんしょう?」
その一言で、周りは笑いに包まれた。タクマは堪えきれず、フフッと笑うつもりが、どっと大笑いしてしまった。
戦いも楽しいけど、やっぱり、本当に欲しいのは、この絆なんだな、と改めて実感する。
すると、病室の方から、実況と思しき派手な服装の男が現れた。
「どうもタクマ様。この度は優勝おめでとうございます。私、実況のギエンと申します」
「おろ?お迎えでござるな?」
「はい。それでタクマ様、優勝者特典として、仲間様をお供に付けられますが、誰かお供に付けますか?」
そう聞かれたタクマは、もう決めていたと言わんばかりに「はい」と大きく返事をした。
「今ここにいる皆を、お供につけます。あ、あとそれと吾郎爺、ちょっとお使い頼んでいい?」
「何でござるか?」
タクマは、吾郎に秘密の呼び出しをお願いした。まだ体が痛む上、もうそろそろ始まると言うのに抜け出せない。そのため、吾郎に頼んだ。
彼が行けば、必ずいいよと受け入れてくれるかもしれないから。
「その任務、拙者が承るでござる」
【表彰場】
これまで血で血を洗うような大乱闘が行われていた戦場は、優勝者を祝福する為に集まった人達が集まる表彰場と化した。
会場の真ん中には、ノエルがオープニングライブをやった時くらい大きな表彰台が設置されている。
「それではこれより、表彰式を始めますが……吾郎さんは?」
「ちょっと、頼み事をしたので今はいません」
「それより早くせんか。妾もタクマの下でもいいから大舞台に立ちたい!」
待ち遠しくてたまらないメアは、椅子に座ったまま足をブンブンと振って、ギエンを急かした。
すると、ギエンはマイクを持ち、自らの手で会場への門を開ける。
『レディース・アーンド・ジェントルメーン!これより、第193回!アコンダリア武闘会の表彰式を行いまーす!それでは皆様、今大会の優勝者の名前を、さんはい!』
『『『タクマ選手ぅぅぅぅ!!』』』
会場中に、タクマの名前が響き渡る。そしてタクマは、仲間と共に、姿を現した。更に、急いで帰ってきた吾郎も、タクマの後を追ってやって来た。
『さぁタクマ選手、この表彰台にお登りください』
「は、はい」
ギエンに促され、タクマはゆっくりと表彰台に上がった。ただ周りより2メートル高くなっただけなのだが、そこから見える景色は、ただの高台に乗った時よりも、どこか特別な感じがする。
そして、その周りにメア、ノエル、リュウヤ、おタツ、そして吾郎が集まった時、ギエンは『これより、優勝賞品・優勝賞金の贈呈に入ります』とテンション高く言った。
『ドン・チェイス会長から直々の贈呈です。どうぞ!』
そう言って東側に手を向けると、豪華な宝箱を二箱持ったチェイスが現れた。
チェイスは不服そうではあったが、約束を守らなければ酷い目に遭うと釘を打たれているからか、仕方なさそうに中身を見せた。
「おめでとうタクマ君。ほら、コレが賞金と賞品だ。受け取りたまえ」
「あ、ありがとうございます」
照れ臭そうにタクマが言うと、チェイスは顔を赤くして目を逸らした。やはり照れるらしい。
すると、ギエンは『それではお一つ、タクマ様に今のお気持ちを伺いましょう!』と、とんでもない無茶振りを仕掛けてきた。
「えっ、えぇっ!?」
「ささ、タクマさん。今の気持ちを一言」
「ひ、一言って……」
「いいえ」と答える暇もなくマイクを渡されたタクマは、どうすれば良いか困り、「助けろ」とリュウヤに視線を送った。
だが、「ごめん無理」と、リュウヤは瞬きを2回して返答した。
『お、俺が勝ったのは、俺自身の力だけではありません。今ここに居る皆様、そして今俺の周りにいる仲間の応援。それが、俺を強くしてくれました。』
タクマは、馬鹿にされてもいいやと開き直り、皆のお陰だと言う事を大袈裟に話した。そして、『ただ、俺はまだまだです。ちゃんと、オニキスを倒していないから。だからこれからも、力を磨く為に、日々励みます!』と、誰得な抱負も述べる。
その言葉を聞いて、またカッコつけちゃって、と、メアは呆れる。
『それじゃあ、賞金貰ったし、もう来ていいよ』
タクマは、西側の控え室の方を向き、大きく手を振った。すると、そこからナノと、その仲間である獣人の子供達が走ってきた。
会場は、いきなり現れた獣人集団を見て、何が始まるのだろうか、まさか奴隷を買う宣言なのか?とざわつく。
「なぁ、本当にええの?500億なんて、一般人なら一生遊んで暮らせる額やで?」
すぐに近くへと駆け寄ったナノは、タクマに訊いた。
すると、ギエンにマイクを返し、タクマはチェイスから受け取った宝箱を持ったまま、表彰台から飛び降りた。
そして、中から黄色のオーブを取り出し、宝箱をナノに手渡した。
「ええの。初めから、そう言った約束だったろ?」
「アンタ……」
確かに手渡したタクマは、コレにてまたまた、一件落着かなと一息つく。
すると、ナノの後ろにいた獣耳の少女達が、一斉にタクマやリュウヤ達に抱きついてきた。
「わぶぅっ!」
「ちょ、そこは引っ張っちゃダメでありんす」
「ああこらこら、拙者の刀は早いでござる」
「た、タクマさん!この子達何とかしてください~」
完全に困っている様子ではあったが、皆満更でもない顔をして抱きついてくる子達の相手をした。
忘れてしまいそうになるが、ここは表彰場である。
『あー……こ、これにて!表彰式を終わらせていただきます!皆様、この素晴らしき少年、タクマ選手に惜しみない拍手をッ!!』
「早う起きんかい!この寝坊助!」
目を開けようとしたその時、頭に凄まじい振動と激痛が走った。まるで、頭に石をぶつけられたような痛み。
その痛みと、思い出したかのように響き出した骨の痛みで、タクマは飛び上がるように起き上がった。
「痛ったぁぁぁぁぁ!!」
「やっと起きましたよ、メアさん。メアさん?」
「痛……タクマの頭硬いのじゃ……」
頭突きをした犯人であるメアは、泣きながら、ぶつけた額から血を垂らす。
確かに心配だっただろうけど、頭突きする事はないだろ。本当なら、今度こそ厳しく怒らないとと思っていたが、今回は無茶し過ぎた自分にも非はある。だから、笑って許す。
「タクマァァァ!お前、何てことしてくれたんだ!」
「りゅ、リュウヤ殿?」
「お前……優勝ってすげぇじゃあねぇかよぉ!何お前、神?最強の勇者?いやー、もう敵わねぇわ!ハッハッハ!」
ベッドに隕石が如く飛び込んできたリュウヤは、まるで自分が優勝したかのようにタクマの勝利を祝福した。
ただ、スキンシップが激しすぎたこともあり、駆けつけたおタツと吾郎に引き剥がされてしまった。
「こらお前様、タクマさんは怪我してるでありんすよ?」
「うぇひひ、めんごめんご」
「とにかくタクマ殿。優勝、おめでとう」
「皆……ほんとに、サンキューな」
タクマはベッドの上で、上半身だけ姿勢を正して礼を言った。
ただ、やっぱり勝った気がしない。あの時、オニキスが苦しんでいた姿は、自分が攻撃した傷による重傷などではなかった。持病が悪化したような、そんな苦しみ方をしているような感じがした。
本来ならあの時、仮にオニキスも限界を迎えていたとしても、あの動きようからして、トドメの一撃を繰り出すことは可能だったはず。いや、繰り出そうとしていた。
普段の彼なら、斬られた痛みを耐えてまで勝ちを取ろうとしたはず。それをしなかった。
それは多分、耐えることができない痛みだったのだろう。
「おい、何考えておるのじゃタクマ。早う妾の可愛いデコに絆創膏を貼るのじゃ」
「全くもう、メアはしょうがない子だなぁ」
タクマは、優しい笑みを浮かべつつ、メアの持っていたピンクの絆創膏を貼ってあげた。
それを見て、ノエルが笑いを溢す。
「フフッ。タクマさん、何かお母さんみたいですね」
「お、おかっ!?」
「じゃ、俺は父さんかぁ?」
「お前様はウチのふぃあんせ、でありんしょう?」
その一言で、周りは笑いに包まれた。タクマは堪えきれず、フフッと笑うつもりが、どっと大笑いしてしまった。
戦いも楽しいけど、やっぱり、本当に欲しいのは、この絆なんだな、と改めて実感する。
すると、病室の方から、実況と思しき派手な服装の男が現れた。
「どうもタクマ様。この度は優勝おめでとうございます。私、実況のギエンと申します」
「おろ?お迎えでござるな?」
「はい。それでタクマ様、優勝者特典として、仲間様をお供に付けられますが、誰かお供に付けますか?」
そう聞かれたタクマは、もう決めていたと言わんばかりに「はい」と大きく返事をした。
「今ここにいる皆を、お供につけます。あ、あとそれと吾郎爺、ちょっとお使い頼んでいい?」
「何でござるか?」
タクマは、吾郎に秘密の呼び出しをお願いした。まだ体が痛む上、もうそろそろ始まると言うのに抜け出せない。そのため、吾郎に頼んだ。
彼が行けば、必ずいいよと受け入れてくれるかもしれないから。
「その任務、拙者が承るでござる」
【表彰場】
これまで血で血を洗うような大乱闘が行われていた戦場は、優勝者を祝福する為に集まった人達が集まる表彰場と化した。
会場の真ん中には、ノエルがオープニングライブをやった時くらい大きな表彰台が設置されている。
「それではこれより、表彰式を始めますが……吾郎さんは?」
「ちょっと、頼み事をしたので今はいません」
「それより早くせんか。妾もタクマの下でもいいから大舞台に立ちたい!」
待ち遠しくてたまらないメアは、椅子に座ったまま足をブンブンと振って、ギエンを急かした。
すると、ギエンはマイクを持ち、自らの手で会場への門を開ける。
『レディース・アーンド・ジェントルメーン!これより、第193回!アコンダリア武闘会の表彰式を行いまーす!それでは皆様、今大会の優勝者の名前を、さんはい!』
『『『タクマ選手ぅぅぅぅ!!』』』
会場中に、タクマの名前が響き渡る。そしてタクマは、仲間と共に、姿を現した。更に、急いで帰ってきた吾郎も、タクマの後を追ってやって来た。
『さぁタクマ選手、この表彰台にお登りください』
「は、はい」
ギエンに促され、タクマはゆっくりと表彰台に上がった。ただ周りより2メートル高くなっただけなのだが、そこから見える景色は、ただの高台に乗った時よりも、どこか特別な感じがする。
そして、その周りにメア、ノエル、リュウヤ、おタツ、そして吾郎が集まった時、ギエンは『これより、優勝賞品・優勝賞金の贈呈に入ります』とテンション高く言った。
『ドン・チェイス会長から直々の贈呈です。どうぞ!』
そう言って東側に手を向けると、豪華な宝箱を二箱持ったチェイスが現れた。
チェイスは不服そうではあったが、約束を守らなければ酷い目に遭うと釘を打たれているからか、仕方なさそうに中身を見せた。
「おめでとうタクマ君。ほら、コレが賞金と賞品だ。受け取りたまえ」
「あ、ありがとうございます」
照れ臭そうにタクマが言うと、チェイスは顔を赤くして目を逸らした。やはり照れるらしい。
すると、ギエンは『それではお一つ、タクマ様に今のお気持ちを伺いましょう!』と、とんでもない無茶振りを仕掛けてきた。
「えっ、えぇっ!?」
「ささ、タクマさん。今の気持ちを一言」
「ひ、一言って……」
「いいえ」と答える暇もなくマイクを渡されたタクマは、どうすれば良いか困り、「助けろ」とリュウヤに視線を送った。
だが、「ごめん無理」と、リュウヤは瞬きを2回して返答した。
『お、俺が勝ったのは、俺自身の力だけではありません。今ここに居る皆様、そして今俺の周りにいる仲間の応援。それが、俺を強くしてくれました。』
タクマは、馬鹿にされてもいいやと開き直り、皆のお陰だと言う事を大袈裟に話した。そして、『ただ、俺はまだまだです。ちゃんと、オニキスを倒していないから。だからこれからも、力を磨く為に、日々励みます!』と、誰得な抱負も述べる。
その言葉を聞いて、またカッコつけちゃって、と、メアは呆れる。
『それじゃあ、賞金貰ったし、もう来ていいよ』
タクマは、西側の控え室の方を向き、大きく手を振った。すると、そこからナノと、その仲間である獣人の子供達が走ってきた。
会場は、いきなり現れた獣人集団を見て、何が始まるのだろうか、まさか奴隷を買う宣言なのか?とざわつく。
「なぁ、本当にええの?500億なんて、一般人なら一生遊んで暮らせる額やで?」
すぐに近くへと駆け寄ったナノは、タクマに訊いた。
すると、ギエンにマイクを返し、タクマはチェイスから受け取った宝箱を持ったまま、表彰台から飛び降りた。
そして、中から黄色のオーブを取り出し、宝箱をナノに手渡した。
「ええの。初めから、そう言った約束だったろ?」
「アンタ……」
確かに手渡したタクマは、コレにてまたまた、一件落着かなと一息つく。
すると、ナノの後ろにいた獣耳の少女達が、一斉にタクマやリュウヤ達に抱きついてきた。
「わぶぅっ!」
「ちょ、そこは引っ張っちゃダメでありんす」
「ああこらこら、拙者の刀は早いでござる」
「た、タクマさん!この子達何とかしてください~」
完全に困っている様子ではあったが、皆満更でもない顔をして抱きついてくる子達の相手をした。
忘れてしまいそうになるが、ここは表彰場である。
『あー……こ、これにて!表彰式を終わらせていただきます!皆様、この素晴らしき少年、タクマ選手に惜しみない拍手をッ!!』
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