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番外編   死神グルナは死神を辞めて自由に生きます

2   グルナ

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 グルナは人間界で暮らしている。
 魂は、もうずいぶん食べていない。
 満たされないが、人間の魂を手当たり次第に食べてしまうと、自分の居所を教えてしまう。
 それなら満たされないまま過ごしていてもいい。
 死刑を宣告される前から、自分は魂ごと消されると覚悟をしていた。
 最愛の妹の魂は食中毒を起こすほど腐っていたが、やっと妹と同化できた喜びも感じていた。
 一緒に死ねるなら死んでもいいと思ったが、別の方法もあることに気がついた。
 妹と同化して、一緒に生きるのも悪くはない。
 この体の一部に、妹の魂が混ざっていると思うと、生きる意味も見えてくる。
 グルナは人間界で、人間の記憶を操作しながら、執事のまねごとをして暮らしている。
 この半世紀で、国王陛下の執事まで勤めたことがある。
 気まぐれに伯爵家や公爵家にも務めてきた。
 魂は美味しいが、人間の食べ物でも生きられる。
 元々、普通の魔族の身で、死神になった。簡単に言ってしまえば、職業を死神にしたに過ぎない。死神になって、魂の美味しさを知っただけだ。

 半世紀過ぎた人間界では、昔のような聖女の祈りを行う者はいなくなった。
 魔界の存在も文献に載っているだけで、一般の人間達は忘れていって、今では覚えている者も研究者以外知らない。
 魔窟が突然、姿を消してからは、人間界では、徐々に魔窟の存在も忘れられていった。
 人の命は短い。文献で残っていても、それを理解できる者はいない。
 研究者が研究して、探しているようだが、魔界の存在に辿り着けない。
 人間と魔界の戦いは、もう起きないだろう。
 人間界に魔族が混ざっていても、見た目が人間と変わらない容姿をしていれば、不審にも思われない。
 魔族は長寿だ。不審に思われないように、記憶操作しては、新しい屋敷に移り住む。
「さて、今度はどこにお屋敷に行こうか?」
 できれば、面白い人間がいて、美味しい料理を作ってくれるシェフがいる屋敷がいい。
 ある意味、美食家のグルナは、過ごしやすい屋敷を探すために、姿を消していろんな屋敷を見て歩く。


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