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2   奔放なプリューム

4   奔放なプリューム(4)

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 ベッドには血が付いていた。アルシナシオンは嬉しそうにしていた。イグレシア王子よりも俺の性器が大きかったのだろうと、アルシナシオンは言った。何度も激しく抱き合ったからだと、プリュームは思ったが、とても疲れて、眠ってしまいそうになり、アルシナシオンに抱きかかえられながら、お風呂に入り、二人の秘密の行為を消し去った。家までアルシナシオンが背負ってくれて、別れにアルシナシオンがキスをしてきた。

「いつでもおいで。できたら早く結婚しよう」

 アルシナシオンはプリュームの手首の花にもキスをした。

「ゆっくり休ませてあげられなくてすまないな。今は自宅のベッドでゆっくり休んでくれ」
「うん」

 そっと背中を押されて、自宅に入ろうとしたとき、馬車が家の前に着き、アリエーテが帰って来た。

「玄関先でいちゃついて、みっともないわ。家に入るならさっさと入ったら」

 アリエーテの言葉に、プリュームは背筋を伸ばして、アリエーテを追い抜くように家に入っていった。

「おかえり。あら一緒に帰って来たの?」
「違います」
「違うわ」

 アリエーテとプリュームは同時に叫んだが、プリュームは今までのアリエーテと雰囲気が違うことに、気付いた。以前のアリエーテならば、「そうね」と答えただろう。
 アリエーテの性格は温和で、怒ったことはない。プリュームがどんなに物を持ち出しても、仕方がないと諦めている部分が多かった。いつも真っ直ぐに下ろされていた髪は、結い上げられ、お洒落な髪留めで留められていて、見るからに働く女性そのものだ。

「お母様、試作品の髪留めなの。使ってみてくださる?」
「まあ、素敵ね」
「感想を聞かせて欲しいの」
「ええ、いいわ」
「お風呂に入ってきます」
「夕食までまだ時間があるわ。ゆっくり入っていらっしゃい」
「はぁい」

 モリーとメリーが一緒に部屋に上がって行く。

 プリュームが留守にしている間に、家の雰囲気が変わっている。

「アリエーテお姉様、お帰りなさい」
「タクシス、ただいま。新しいハンカチを作ってみたの。試してみてくれる?」
「はい、お姉様。ありがとうございます」
「いい子ね、さあ、お部屋に戻っていなさい」
「はい」

 二つの扉が閉まった。

「プリューム、なんだか石けんのにおいがするわね。どこに行ってきたの?」
「散歩よ。私もお風呂に入ってきます」
「さあ、行きなさい」

 プリュームは自分の部屋に戻ってソファーに横になった。少し寒いのでベッドからブランケットを持ってきて、眠った。
 散らかった部屋は落ちつかず、それでも箱詰めされた荷物を元に戻すのも悔しかった。
 どこから間違えた?
 自分の元婚約者は包容力があり、多少のやんちゃは許してくれる。今回も殿下を無理矢理襲ったことを知りながら、許してくれた。抱き合ったのは初めてだったが、二人を比べると居心地の良さはアルシナシオンだ。ずっと避け続けられたイグレシア王子よりもアルシナシオン方が今後、一緒に住むなら適しているだろう。それでも姉と比較してしまう。生まれるときに、先に取り出されただけの姉。双子などいいことはない。いつも比べられ、劣っていれば、周りの目が違ってくる。姉は聖女様で私は何の力もない。花のタトゥーをしても力が芽生えてくることはない。


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