上 下
16 / 66
第二章

8   結婚式

しおりを挟む


 本当にウエディングドレスができたら、すぐに結婚式が行われた。

 式自体は、教会であげて、その後、国民に知らせるために屋根のない馬車でパレードして、王宮に戻ってきた。

 婚約式から、実家に戻っていなかったので、おれの姿を見たモモが、驚いた顔をしていた。

「どうしてチェリーが女の子になっているの?どうして胸があるの?」

 そのことばかり聞かれた。

 そんなことおれが知るか!

 モモもこの世界の理を知らなかったようだ。

 結婚式の当日は、張形をやっと抜かれた。

 けっこう大変だった。

 日に日に太くなる張形が、前世のおれのサイズになったときに、おれは思わず泣いてしまった。

 だって、おれの体は、すんなりその張形を飲み込んでしまったから。

 それ以上、サイズは太くならなくて、安心もしたけれど……。

 もう、おれのそこは、張形を入れなくても、もうくっついたりしないそうだ。

 要は、本物の膣ができたと言うことらしい。

 ウエディングドレスは美しく立派だったけれど、ウエディングドレスよりも、張形を入れなくても良くなった事の方がおれは嬉しい。

 異物感に足が前に出なくなる事もなくなるんだ。

 今日の結婚式は、久しぶりにしっかり歩けた。

 王宮に戻ってきたおれ達は、美味しい昼食をいただいて、夕方のパーティーに備えた。

 貴族達が集まって、王宮でパーティーを開くらしい。

 夕方のパーティーは、顔見せが終わったら、すぐに部屋に戻っていいらしい。

 要は初夜の準備が始まるわけだ。

 おれのバージンは、アスビラシオン様の指で開通させた時なのか?それっとも張形なのか?太い張形を咥えさせられていたので、これ以上の苦痛はないだろう。

 セックスのまねごとのような事は、アスビラシオン様としている。

 ただ挿入は結婚式を終えてからだと教わった。

 そこは、やはりちょっとは緊張するけど、夫婦になるんだから……ね。

 アスビラシオン様は、パーティーの入場をすると、すぐに退場した。

 せっかく作ってもらったドレスは、出番が少なくて可哀想だ。

 次のパーティーの時に着ればいいとアスビラシオン様が提案してくれた。

「チェリー、今日はとても美しかった」

「アスビラシオン様はとても凜々しく格好よかったですわ」

「言葉は、もう崩してもいいよ」

「ありがとう、シオン様。とても素敵でしたよ」

「褒められると、照れるな」

「シオン様は、いつも僕を褒めるから、今日は仕返しです」

 今更だが、おれは、この世界に転生してから、人称を僕に固定されている。でも、この世界のチェリーを俯瞰しているおれは、前世のまま、おれと呼んでいる。

 間違ったりしないか心配だったが、おれはおれだし、僕は僕だ。人前ではわたしに変わる。

 宮殿の中を移動していく。

 ラウ様とカナル様が緊張した顔で、警護の騎士達に指示を出している。

 もし刺客がいるなら、王宮を開放している時、今、現在が危険なんだろうな?

 素早く私室エリアに入ると、警備の騎士達がそれぞれぞれの持ち場に着いていく。

 最終的に私室の入ってきたのは、ラウ様とカナル様だけになる。

 そう言えば、結婚式にもアスビラシオン様の妹さんを紹介されなかったな。

 この王宮に来られないワケでもあるのかもしれない。

 おれから何か聞かない方がいいのだろうな?
 


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に味見されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

孤狼のSubは王に愛され跪く

ゆなな
BL
旧題:あなたのものにはなりたくない Dom/Subユニバース設定のお話です。 氷の美貌を持つ暗殺者であり情報屋でもあるシンだが実は他人に支配されることに悦びを覚える性を持つSubであった。その性衝動を抑えるために特殊な強い抑制剤を服用していたため周囲にはSubであるということをうまく隠せていたが、地下組織『アビス』のボス、レオンはDomの中でもとびきり強い力を持つ男であったためシンはSubであることがばれないよう特に慎重に行動していた。自分を拾い、育ててくれた如月の病気の治療のため金が必要なシンは、いつも高額の仕事を依頼してくるレオンとは縁を切れずにいた。ある日任務に手こずり抑制剤の効き目が切れた状態でレオンに会わなくてはならなくなったシン。以前から美しく気高いシンを狙っていたレオンにSubであるということがバレてしまった。レオンがそれを見逃す筈はなく、シンはベッドに引きずり込まれ圧倒的に支配されながら抱かれる快楽を教え込まれてしまう───

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

処理中です...