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34 国際裁判所からの使者
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「国王陛下、帝国から使者が来ております」
顔を強ばらせた宰相が、突然執務室に現れた。
「ペリオドスが何かしたのか?皇帝陛下を怒らせたのか?」
私はまず帝国からの使者が来たと聞いて、最初に思いついたのは、できの悪い息子と第二夫人のジュリアンの顔だった。
あの二人なら、何かしらしたかもしれない。
「あの、国際裁判所からの使者のようです」
「なんだと?」
まさか、11年前の事故の件だろうか?
証拠になるような物は、残していないはずだ。
「お通しして宜しいですか?」
「ああ、頼む」
宰相は俺の部屋から出て行った。
落ち着け。
冷静になれ。
私は国王陛下だ。
私は自分に言い聞かせ、応接室に向かった。
廊下には、軍服を着た大勢の人がいて、何事かと思った。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、お初にお目にかかります。私は国際裁判所のカイロス・ブレザンと申します。まずは、こちらをどうぞ」
一枚の紙を提出され、それを読んでいく。
マリアナが白い結婚と証明され、ペリオドスと離婚が成立し、ドゥオーモ王国の王太子妃ではなくなった事が書かれていた。
「ご理解いただけましたでしょうか?」
「はい」
あの息子は、マリアナを抱いてもいなかったのか?
なんて、馬鹿な息子だ。
「そして、次の書類はこちらでございます」
提出された紙を受け取ると、そこには、マリアナが皇帝陛下の姪にあたり、人質として、ドゥオーモ王国に捕らわれていた事が書かれている。
罪状として、誘拐、監禁と書かれている。
「これは、どういうことだ?」
「国際裁判所は、マリアナ・プロートニク公爵令嬢が、この国に捕らわれていた理由を細かく聞きたいと申しております。即刻、帝国に向かってもらいます。そして、マリアナ・プロートニク公爵令嬢がこの宮殿で過ごしていた事実を確認させていただきます。そして、もう一件、11年前のカナール・プロートニク公爵夫人と共にノンブル侯爵家に回診に来ていたマリアナ・プロートニク公爵令嬢がどうして、一人だけ、この国に捕らわれていたのか、捜査をします。では、捜査開始」
大勢の人達が、使用人を捕まえて部屋の配置を教わり、各部屋に入り、捜査が始まった。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、では、只今をもって拘束致します」
私の体は騎士に捕らえられ、手に手錠が掛けられた。
抵抗する暇もなく、手錠をされ、私は「外せ」と声を上げることしかできなかった。
「国際裁判所の規則により、拘束された者が逃走した場合、全ての罪を認めたとして処罰します。弁明は国際裁判所で聞きますので、今から国際裁判所に出発します」
「着替えなどが欲しいが、用意する時間はもらえないのか?」
「では、使用人に頼んでいただきましょう」
カイロス・ブレザンは、メイドに声を掛けて、旅支度をするように伝えて、10分以内に戻るように付け足した。
王宮の奥の方から声が聞こえる。
「どうして、わたくしが?」
王妃の声だ。
王妃もどうやら捕らわれたようだ。
「黙っておけ」
「でも」
「ここで発言されたことも、証拠になります。どうぞお話ください」
カイロス・ブレザンは、王妃にそう声を掛けた。
王妃は黙った。
まさか?第二夫人は大丈夫だろうか?
そう心配していると、第二夫人のソフィーと、子供達も捕らえられていた。
ソフィーは賢い。
余計な事は言わないだろう。
王女達は困惑して、10歳の第二王子は涙を浮かべている。
「では、馬車に移動しましょう」
騎士がロープで我々を繋いでしまった。私が先頭になって、王宮の外に連れて行かれた。
まるで罪人だ。
王宮内が雑然としている。
「留守を頼む」
私は宰相にそう伝えるのが、精一杯だった。
国際裁判所は、公平な判断がされるが、取り調べは厳しいとは噂では聞いていたが、これほどとは思わなかった。
辻馬車のような左右に椅子のある馬車に乗せられて、背後は鉄格子がはめられ、その鉄格子を隠すために、厚手の布が掛けられた。
急に暗くなる。
「父様」
「黙っていなさい」
末の王子が不安そうな声を出したが、話した事は全て文字に起こされる。黙っている方が利口なのだ。
同時刻、ノンブル侯爵家にも国際裁判所から使いが来ていた。
ノンブル侯爵を始め、その一家は全て捕らえられた。
国際裁判所からの派遣された者達は、今から家捜しをするのだ。
顔を強ばらせた宰相が、突然執務室に現れた。
「ペリオドスが何かしたのか?皇帝陛下を怒らせたのか?」
私はまず帝国からの使者が来たと聞いて、最初に思いついたのは、できの悪い息子と第二夫人のジュリアンの顔だった。
あの二人なら、何かしらしたかもしれない。
「あの、国際裁判所からの使者のようです」
「なんだと?」
まさか、11年前の事故の件だろうか?
証拠になるような物は、残していないはずだ。
「お通しして宜しいですか?」
「ああ、頼む」
宰相は俺の部屋から出て行った。
落ち着け。
冷静になれ。
私は国王陛下だ。
私は自分に言い聞かせ、応接室に向かった。
廊下には、軍服を着た大勢の人がいて、何事かと思った。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、お初にお目にかかります。私は国際裁判所のカイロス・ブレザンと申します。まずは、こちらをどうぞ」
一枚の紙を提出され、それを読んでいく。
マリアナが白い結婚と証明され、ペリオドスと離婚が成立し、ドゥオーモ王国の王太子妃ではなくなった事が書かれていた。
「ご理解いただけましたでしょうか?」
「はい」
あの息子は、マリアナを抱いてもいなかったのか?
なんて、馬鹿な息子だ。
「そして、次の書類はこちらでございます」
提出された紙を受け取ると、そこには、マリアナが皇帝陛下の姪にあたり、人質として、ドゥオーモ王国に捕らわれていた事が書かれている。
罪状として、誘拐、監禁と書かれている。
「これは、どういうことだ?」
「国際裁判所は、マリアナ・プロートニク公爵令嬢が、この国に捕らわれていた理由を細かく聞きたいと申しております。即刻、帝国に向かってもらいます。そして、マリアナ・プロートニク公爵令嬢がこの宮殿で過ごしていた事実を確認させていただきます。そして、もう一件、11年前のカナール・プロートニク公爵夫人と共にノンブル侯爵家に回診に来ていたマリアナ・プロートニク公爵令嬢がどうして、一人だけ、この国に捕らわれていたのか、捜査をします。では、捜査開始」
大勢の人達が、使用人を捕まえて部屋の配置を教わり、各部屋に入り、捜査が始まった。
「クワトロ・ドゥオーモ国王陛下、では、只今をもって拘束致します」
私の体は騎士に捕らえられ、手に手錠が掛けられた。
抵抗する暇もなく、手錠をされ、私は「外せ」と声を上げることしかできなかった。
「国際裁判所の規則により、拘束された者が逃走した場合、全ての罪を認めたとして処罰します。弁明は国際裁判所で聞きますので、今から国際裁判所に出発します」
「着替えなどが欲しいが、用意する時間はもらえないのか?」
「では、使用人に頼んでいただきましょう」
カイロス・ブレザンは、メイドに声を掛けて、旅支度をするように伝えて、10分以内に戻るように付け足した。
王宮の奥の方から声が聞こえる。
「どうして、わたくしが?」
王妃の声だ。
王妃もどうやら捕らわれたようだ。
「黙っておけ」
「でも」
「ここで発言されたことも、証拠になります。どうぞお話ください」
カイロス・ブレザンは、王妃にそう声を掛けた。
王妃は黙った。
まさか?第二夫人は大丈夫だろうか?
そう心配していると、第二夫人のソフィーと、子供達も捕らえられていた。
ソフィーは賢い。
余計な事は言わないだろう。
王女達は困惑して、10歳の第二王子は涙を浮かべている。
「では、馬車に移動しましょう」
騎士がロープで我々を繋いでしまった。私が先頭になって、王宮の外に連れて行かれた。
まるで罪人だ。
王宮内が雑然としている。
「留守を頼む」
私は宰相にそう伝えるのが、精一杯だった。
国際裁判所は、公平な判断がされるが、取り調べは厳しいとは噂では聞いていたが、これほどとは思わなかった。
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急に暗くなる。
「父様」
「黙っていなさい」
末の王子が不安そうな声を出したが、話した事は全て文字に起こされる。黙っている方が利口なのだ。
同時刻、ノンブル侯爵家にも国際裁判所から使いが来ていた。
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