裸足のシンデレラ

第十一章

1 復讐 プライベートジャットの持ち主

　和真の秘書をしているレイナードに頼んで、玲奈の友人を探してもらった。

　玲奈が足繁く通っているバーの店主に、写真を見せると、玲奈のセフレだと分かった。

　中学から同じ学校に通い、同じ大学を出て、卒業後もバーに通っていると言う。

　名前はオルビス・M・グランドと白人の名前はすぐに分かった。

　グランド家は名家と知られている。代々続く有名な高級食器専門店を経営している。

　オルビスはグランド家の三男坊で、放浪癖があって、大学を出てから遊び歩いているのだという。

　学生時代から麻薬や暴行、喧嘩、窃盗をして、その度に両親達はオルビスの悪事をもみ消してきたらしい。

　グランド家のお荷物と言われているが、それでも、親、兄弟はオルビスに仕事をするように説得をしている所だったらしい。

　本人も心を入れ替え、新しい年から仕事に出ると言い出したそうだ。

　会社の経営状態は、少々赤字になっているようだった。

　不景気な世の中なので、ブランド力があっても、高級食器は売れない。

　輸出状態も低迷している。

　そのオルビス家のプライベートジャットは、日本の空港に滞在している。滞在期間は1週間と報告されている。

　オルビスの友人をあたると、意外に簡単に残りの4人の素性も分かった。

　他の男達も、よく一緒に行動している仲間だという。

　二人目の白人は、オリバー・S・ブラウン。

　ブラウン家は代々続く靴職人の一家だという。

　オリバー自身も靴職人として働いているらしい。

　個人店なので、ブランド力で生き残っている状態らしい。

　経営状態は、赤字で社員を年末にリストラしたらしい。

　三人目の白人は、ルーカス・エナ・テイラー。

　テイラー家は高級ブランド服の老舗だ。

　一点物を作る事で有名らしい。

　ルーカスは仕立屋の見習い修行中らしい」

　老舗の名前で固定客があり、それなりに順調な経営状態らしい。

　黒人の一人はマイケル・K・ムーア。ムーア家は一流のステーキ専門店の御曹司らしい。

　長男で調理師の修行中だという。

　父親がコックで、家族経営のステーキ専門店で、経営状態は順調らしい。

　黒人の二人目は、ジェイムス・ライン・ミラー。

　ミラー家は粉物を主に扱う貿易会社の跡取り息子らしい。普段は会社で、父親の片腕として働いているという。

　去年、船が座礁して、多額の借金ができて、会社は斜め下がりになっている。

　放って置いても、倒産しそうだ。

　素性が分かった事で、警察に届けた。

　警察はプライベートジャットが勝手に飛べないように手続きをするそうだ。


　円城寺家としては、このままコケにされたままではいられない。

　美緒を傷つけた罪は償ってもらわなければならない。

　正月で証券取引は休みになっているが、株券が動き出す前に、仕返しをしたい。

　賠償金を払わせるか？倒産させるか？賠償金も安くは設定しない。最低100億。

　俺は資料を見ながら、まず、オルビスの家に電話した。

　交渉をするのも、俺の仕事だ。

　当然のことだが、5人の家庭に連絡をすると、全ての家庭は、息子が日本に行っていることを知らずにいた。

　遺伝子検査で証明されなければ、信じないと突っぱねられた。

　美緒の体に付着していた精液や体液、指紋までを至急で調べてもらう。

　円城寺家は研究所も所有している。

　対比させる、本人の遺伝子を手に入れなければ、話は進まない。

　レンタカーを借りたのは、オルビスの名前になっていた。

　玲奈とオルビス達は一緒にいる可能性が高い。

　会議に出ていた円城寺家の幹部連中は、すぐに部下に連絡して玲奈の潜伏先を調査し始めた。

　日本にあるホテルは円城寺家の息がかかっている。

　俺がホテルに戻ると、日本全土に渡って、指名手配されていた。



「菅原玲奈の居所が分かりました」



　調査を始めてすぐに、玲奈を見つけることができた。

　円城寺家のネットワークは警察より早い。



「京都にある円城寺家の系列ホテルです。エグゼクティブルームにいるそうです。後で男が来ると言っていたそうです」

「すぐに向かう。警察にも連絡しておいてくれ。詳細はメールをくれ」

「はい」



　車で向かうより新幹線の方が早そうだ。もう少し早ければ、ヘリでの移動も考えたが、日が暮れている。

　和真とティファも動き始めた。



「新幹線の指定席を3人分取ってくれ」

「分かりました」


　俺の秘書が、俺の手足となって動いてくれる。


「和真、ティファ、すぐに出発する」

「おう、準備はできてる！」

「１階のロビーで集合しよう」


　急いで部屋に荷物を取りに出かける。