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第四章
1 円城寺の実家、見定め
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ティファさんと和真さんがアメリカに帰った翌週の金曜日。わたしは病院に診察に行った。
光輝さんは付き添いで、一緒に来てくれた。2週間に一度は診察に来ていたけれど、その度に、光輝さんは時間を作って、わたしに付き添ってくれている。医師には光輝さんはわたしの婚約者だと言ってある。と言うか、初診の時に光輝さんが医師にそう言ったのだ。
実の両親に虐待を受けて運ばれた状態だったので、保証人になってくれた光輝さんのお陰で、スムーズに入院できたし、通院もできた。金銭的にも全てお世話になった。弁護士を介して両親からお金が振り込まれた後も、お金は一切受け取ってもらっていない。
光輝さんは、あの日、わたしを家に帰した事を後悔していた。
「俺が怪我をさせたようなものだ。もっといい方法があったはずだ」と言って、傷だらけのわたしに謝罪をした。わたしは、どうやっても両親や祖母からも逃げ出せなかったと思っているけれど、光輝さんは違った。
通院の送迎と診察後に医師に病状を確認することを怠らない。会計も全てしてくれる。すごく申し訳ないと思うけれど、「婚約者として当然の事だ」と言われると、言い返せない。
わたしも光輝さんの婚約者だと言われると、実は嬉しいのだ。
「検査の結果、骨折は治ったようです。バストバンドは外してもいいでしょう」
「ありがとうございます」
心からの笑顔が浮かぶ。けれど、喜んでいるのはわたしだけではなく、光輝さんも同じだ。
「美緒、やったな」
「はい!」
キュッと手を握られた。
「少しずつ慣れていってください。また痛み出すようなら来院してください」
「はい」
わたし達の姿を見て、医師も看護師も笑顔になった。
「「ありがとうございました」」
声もすっかり揃うようになった。
「やっと美緒に洋服を買ってやれるな?」
「今までのいいのよ。まだ着られるし」
「今まで買ってもらった事がないのだろう?」
「ないけど、着る物に困っているわけでもないから」
会計を終えて、車に戻って行く。今日も雨が降っていて、お互いに傘を差している。足元に注意しながら、ゆっくり歩く。一足しかない靴を濡らすわけにいかない。
「その傘、小さくないか?」
「500円の折り傘なら、これくらいだと思うよ」
自分の傘を改めて見てみると、ちょっと古さを感じてしまう。赤い傘がくすんでいて、折り目が白くなってきている。我が家で、わたしが新しい物を身につけると、決まって壊されていた。だから、新しく新調するのを止めたのだ。500円の傘だとしても、わたしには新品を持つことは許されなかった。この傘を何年使ったのか、覚えていない。
「ちょっと古くなってきたから、今度、新しく買ってくるね」
黒く大きな傘を差している光輝さんと、わたしはどう見ても釣り合わない。
(今度は1000円くらいの傘を買ってみようかな?多少は見栄えも良くなるかもしれない)
「今日はこれから、買い物に出かけよう」
「でも、すごく雨が降っていて、濡れるのは嫌だな」
「濡れない場所ならいいのだな?」
「……少しだけなら」
「何か用事でもあるのか?」
「今日はお財布に診察料くらいしか入ってないの」
トートバッグを持ち上げると、光輝さんは濡れるのも気にしないで、わたしの頭をクチャクチャと撫でた。
「気にするな」
「気にするよ」
いつもお金を払ってもらってばかりで、生活費も受け取ってもらえない。
「いずれ、祖父や両親に正式に美緒を紹介しなければならない。その時、着ていく洋服一式が最低限必要だ。これは後継者としての俺自身を計られる。美緒をどこに出しても恥ずかしくない姿にしなければならない」
「そんなに大変なの?」
「俺は円城寺家本家の跡取りだからな。美緒も自覚して欲しい」
「はい」
光輝さんと一緒にいるためには、わたし自身の努力も必要になってくるのだろう。
ティファさんは普段着で、1500万の腕時計をしていた。
きっとそれが普通の事なのだろう。
光輝さんもホテルのロイヤルスイートルームに住み続けている。一般人とは生活スタイルも考え方も違うのかもしれない。
我が家も代々続く和服作家の家柄だから、一般家庭より格式もあるのかもしれないけれど、わたしはその家庭で疎まれていた存在だった。
いらない子として育てられたわたしには、その格式はないに等しい。
しかも、その代々続く和服作家が犯罪者になってしまった。理由はわたしで、両親は多額の罰金を払って自宅に戻っているらしい。けれど、地位も名誉もゴミのように捨てられたに違いない。
(どう考えても、光輝さんに相応しくないよね?)
和服も以前のように姉の箪笥から持ってくることはできなくなった。
自分を飾るための物は何も無い。
内心ため息の嵐だ。
(相応しくないなんて言ったら、また叱られそうだし……)
「美緒、今更、結婚したくないなんて言い出すなよ?」
「でもね……」
「でも、なんだ?」
「周りが許してくれないような気がするの」
「俺を本気にさせたのは、美緒だよ」
光輝さんの顔を見上げると、傘ごと大きな傘に入れられて、体を抱き寄せられた。
唇が重なり、キスが深くなる。
怖々、光輝さんの舌に舌を絡ませると、もっとキスが深くなる。
息苦しくなる頃に、唇が離れて行った。
キスも少しずつ慣れてきた。
「可愛いな」
雨で肌寒く感じる体を片手で抱き寄せられて、温もりに包まれる。
「手放すつもりはないからね」
「……うん」
体がぽかぽかと暖かくなってくる。
光輝さんの傘に入れられたまま車まで歩いた。
車に着くと、わたしを傘の中に入れたまま助手席の扉を開けた。
わたしは自分の傘を閉じて軽く水気を取ると、車に乗り込んだ。光輝さんはすぐに扉を閉めて、運転席に乗り込んで来た。
わたしは傘を畳んで、すぐにビニール袋に入れて、トートバッグにしまった。
「手際がいいな?」
「うん、わたし、いつも折り傘なの。学校に行ってもすぐに片付けられるでしょ?自宅でも部屋まで持ち帰られるの。自分で持っていたら、無くなることもないし、自分を守るために身につけたの」
「そうか」
光輝さんの傘は、車に取り付けられた傘ボックスに入れたようだ。
「せっかく仕事も休んだから、今日はデートでもしよう」
「うん」
車が静かに走り出した。
…………………………*…………………………
車が駐まったのは百貨店だった。
立体駐車場には屋根があるので、雨に濡れることもない。
「美緒を俺色に染める」
なんだか恥ずかしいことを言われて、わたしは赤面してしまった。
「今、挑発するな。このまま押し倒したくなるだろう?」
「それは駄目!///」
キスをしようと顔を寄せてきた光輝さんの肩をぐっと押し返して、扉を開けた。光輝さんは、クスクス笑いながら、車から降りてきた。
最初に連れて行かれたのは、下着売り場だった。
「ぴったりの物を、1週間分誂えてくれ」
「1週間分もいるの?毎日、洗濯するよ?」
「出かける時はどうするんだ?」
「洗えば、いいんじゃないの?」
「1週間分用意してくれ」
「畏まりました。さあ、奥様、サイズを測りますね?」
「……はい///」
(奥様、わたしと光輝さんは夫婦に見えるの?)
頬が熱くなる。
店員さんに付き添われて、試着室に入った。
色気も素っ気もない、ブラつきタンクトップの上からサイズを測られて、いろんな種類の下着が集められた。一つずつ試着して、着心地を確かめていく。着心地のいい物が決まったら、それの色を集められて、光輝さんがチェックをしていく。
「ベージュだと透けないと思うけど」
「色気がない」
「色気より実用性だと思うけど」
「センスがないと言われるぞ?」
「下着までチェックをされるの?」
「当然だ」
「大変ね?」
「他人事じゃないぞ。ちゃんと考えろ」
ピンとおでこを人差し指で弾かれた。
ちょっと痛いけど、ちょっとだけだ。
「その話し方、ティファさんに似ているわ。やっぱりティファさんに日本語を教えたの、光輝さんでしょ?」
「俺だけじゃない。和真もだ」
「ちゃんとした言葉を教えてあげれば良かったのに」
「すごく残念な日本語だろう?俺と和真で教育したんだ」
「ティファさん、可哀想」
「そのティファみたいな、色っぽい下着を選んでみろ」
「もともとの素材が違うんだから、ティファさんみたいにはなれないよ」
またおでこを人差し指で、ピンと弾かれた。
「痛い!」
今度は言葉に出した。けど、痛いのは、ちょっとだけだ。ちゃんと加減されているのが分かる。
「よしよし、拗ねるな」
「///」
額を指先で撫でられて、なんだか子供扱いされているようで、複雑な気分だ。ちゃんと二十歳になったのだから。少しは大人扱いをされてみたい。
わたしは考えた。
「光輝さん、好きな色はなんですか?」
「そうだな、白もピンクも赤も黒も黄色も水色も、どんな色でも美緒は似合うだろうな」
「それにします」
デザインを考えながら、白とピンク、赤、黒、黄色、水色を選んで、残りはベージュにした。光輝さんがしきりに見ていたお洒落なレースの着いたキャミソールも数着選んだ。
「これでどうでしょうか?」
「着たところを見せてくれ」
「お断りします」
どうやらお気に召したようだ。
会計は光輝さんがカードで支払った。
合計額は知らない。きっと知らない方がいいと思う。
「これは着ていけ」
手渡されたのは、ピンクのブラジャーだった。パンティーまでは着替えなくてもいいようでホッとした。わたしは試着室を借りて、久しぶりにブラジャーをはめた。
…………………………*…………………………
その後、昼食を食べて、洋服を見て歩いた。
「光輝さん、妹さんがいるんですか?」
「いや、いない。兄弟は和真と二人だ。だが、従妹に女の子がいる。よく買い物に付き合わされた。美緒より年上だが、幼いときから付きまとわれた。洋服を見立てて欲しいと言われて、この百貨店にもよく来たことがある」
(なるほど、それで女性用の下着も洋服も見慣れているのか?)
お店の場所もよく知っているし、わたしに似合いそうな洋服を選んでくる。
「仲がいいのね?」
「昔は付きまとわれたけど、最近は会ってないかな?」
「どこかに留学でもされているの?」
「留学はどうだったかな?俺の仕事が忙しくなってからは、ホテル住まいに変えたからな」
わたしは頷いた。
実家に帰ってないと言っているのだろう?
わたしが入院して暫くしてから、円城寺家のお爺さまとご両親がお見舞いに来てくださって、婚約破棄の話をされた。光輝さんは、それを突っぱねてくれたけれど、決して光輝さんの両親が交際を許したとは言えない。「今は目をつむる」と言われただけだ。お爺さまは、交際のことは何も口にされなかった。お婆さまの事は任せておけと言われただけだ。
今の状態が永遠に続くとは思えない。でも、今は光輝さんと一緒に未来を語りたい。
「いずれマンションか一戸建てに移ろう。今、いい物件を探している。子供ができてもいいように、部屋数の多い家を探している。家を建てることも考えている」
「なんだか、壮大な夢のようね」
「一戸建てを建てるとなると都心から離れなくてはならない。そうすると通学に時間がかかってしまう。だから、色々思案している」
「光輝さんは野球チームが作れるほど、子供が欲しいと言っていたものね?」
「あれは半分冗談だが、何人でも構わない」
今、この時間がすごく幸せだと思う。手を繋いで、未来を語りながら買い物をしている。
光輝さんは最初、有名ブランド品のお店に入ったが、わたしには大人びて見えて似合わなかった。それから、百貨店の専門店に入って、いろんなお店を回った。
最初に有名ブランド品の値段を見たからか、専門店の洋服は、ずいぶんお手軽な値段に見えた。それでも、自分で買うことができない金額であることは確かだ。
知らぬ間に、わたしの洋服は多くなり、買った物はインフォメーションに預けられている状態だ。わたしは洋服も靴も着替えている。大きな洋服からピッタリと体にあった清楚な洋服を着ている。替えの靴もバックも光輝さんが選んで、購入する度に店員がインフォメーションに運んでいる。
「卒業まで2年以上あるのか?」
「そうね。大学はきちんと卒業したいと思っているの」
「卒業は待とう。だが、入籍は早くしたい」
「わたし、逃げたりしないと思うわ」
「他の誰かに手出しをされたくはないのだ」
ギュッと手を握られて、幸せすぎて心臓がドキドキしてしまう。
こんなにわたしを想ってくれた人は、今までいなかったからすごく嬉しい。この優しい人を好きだと思う。
「だから、挑発するな」
掠めるように、キスをして、また歩き始める。
「美緒を俺のものにしてもいいか?」
「うん」
「今夜から寝室は俺の部屋だ」
「はい」
初めてを光輝さんに献げてもいいと思っている。
わたしを救い出してくれた王子様だから。
「後は、化粧品とネグリジェを買っていこう」
「はい」
エスカレーターを、手を繋いで下りていく。
「好きなブランドはあるか?」
「わたし、化粧水すら持っていなかったの。ホテルで見つけて付けるようになったけど、櫛は100均の櫛だし、髪留めも100均の物なの。UVカットって意味は知っていたけど、持っていなかったの」
「それは誂え甲斐があるな。俺の手で美しくさせることができると思うと、美緒の両親に感謝したくなる」
「止めてよ。虐待なんて肯定しないで」
「虐めるつもりはないよ。真っ新な新雪に、足を踏み入れるようなドキドキ感が沸き起こっているんだ」
「ドキドキしているの?」
「当然だよ。好きな女の子が目の前にいるんだ。ドキドキしない方が異常だろう?」
手を引かれて、掌を胸に当てられた。
確かにドキドキしているような気がする。
「どこのメーカーがいいだろうか?」
光輝さんは楽しそうに化粧品売り場に入っていった。
片手でスマホを操作して、化粧品の事を調べているようだ。
決めたのか、わたしの知らないブースに入っていった。
「基礎化粧品からすべて揃えてくれないか?」
「畏まりました」
「使い方も、きちんと教えてくれるか?化粧の方法もしっかりとね」
「はい。畏まりました」
数人の店員のうちから、年長の店員がわたしを迎えに来た。
「奥様、お肌のチェックをいたしましょう。こちらにどうぞ」
椅子に勧められると、店員は隣の席に光輝さんを勧めた。光輝さんは楽しそうにわたしを見ている。
店員には、わたし達は夫婦に見えるようだ。どの店でもわたしを奥様と呼び、光輝さんをご主人様と呼んでいる。
肌チェックをして、アンケートを書くと、わたしに合うという化粧品が並べられて、丁寧に説明をしながら、肌につけてくれる。
お化粧も分かりやすく、方法を教えてくれた。
仕上がったわたしは、お見合いの時に母がしてくれたお化粧よりも綺麗になっていた。
「見違えるほど、美しくなったな」
光輝さんは、満足そうだ。
わたしも実は驚いている。
(わたしじゃないみたい)
「奥様、この色合いで如何でしょうか?」
「こんなに変わるなんて、化粧って凄いのね?」
「目元も口元も違った色彩を使うと、ガラッと雰囲気が変わりますよ。機会があったら、お楽しみください」
「はい」
「ご主人様、こちらの商品で如何でしょうか?」
「これをいただこう」
「ありがとうございます」
「光輝さん、いいの?」
「勿論だよ。美緒、素顔も美しいが化粧をした顔は色気がある。これから大学にもお化粧していくといい」
「はい///」
長い髪を梳かす櫛も買ってくれた。
「ささやかですけれど、プレゼントを用意いたしました。どうぞお使いください」
「ありがとうございます」
ポーチやメイク道具の筆やブラシのセットをプレゼントされた。
使い方も教えてくれる。
その後にネグリジェを買ってもらった。これは光輝さんの趣味が100%詰め込まれた物だった。透けそうでちょっと恥ずかしいけれど、光輝さんが楽しそうなので、いいことにした。
無限にないかもしれない時間なら、少しでも楽しく過ごしたいと思っている。
インフォメーションに寄ると、買い物をした物が集められていた。数人の従業員が車まで運んでくれる。
「光輝さん、買いすぎよ」
「まだ足りないだろう?当面の物しか買ってはいない。そのうち、また買いに来よう」
トランクルームに積み込んでもらうと、従業員は深く頭を下げて、わたし達が立ち去るのを見送ってくれた。
…………………………*…………………………
車がホテルに戻ると、光輝さんはフロントに寄った。
荷物を運ぶのを手伝ってもらうと言っていた。
「すまないが……」
「円城寺様、お帰りなさいませ。至急で申し訳ないのですが、何度もご実家の方からご連絡がありました。大至急連絡を寄越すようにとのことです」
「手を煩わせたね」
光輝さんは、ジャケットの内ポケットからスマホを取り出すと、スマホの電源を入れた。
「光輝さん、スマホの電源を落としていたのですか?」
「当然だ。今日は休日にした。邪魔をされたくはないからね」
「光輝さんは、社長なのに」
「社長でも休日は欲しいのだよ」
「それはわかるけど……」
光輝さんはウインクして、わたしをホテルのラウンジに連れて行った。
「ちょっと待っていて」
「うん」
わたしは窓が見える場所に座った。
少し離れたところで、光輝さんは電話をかけた。
「急に言われても困る。……もうこんな時間だ。……俺にも美緒にも予定がある」
ホテルの外は、もう暗くなっていて、雨が降り続けている。
聞こえてくるのは、光輝さんの苛立った声だった。
「……分かった。行けばいいのだな?」
光輝さんは電話を切ると、わたしの元に戻ってきた。
「すまない。実家に戻らなくてはならない。一緒に来てくれるか?」
「……今からですか?」
「ああ、父の命令だ」
「……分かりました」
シンデレラの時間は終わるのだろうか?嫌な予感しかしなかった。
光輝さんは付き添いで、一緒に来てくれた。2週間に一度は診察に来ていたけれど、その度に、光輝さんは時間を作って、わたしに付き添ってくれている。医師には光輝さんはわたしの婚約者だと言ってある。と言うか、初診の時に光輝さんが医師にそう言ったのだ。
実の両親に虐待を受けて運ばれた状態だったので、保証人になってくれた光輝さんのお陰で、スムーズに入院できたし、通院もできた。金銭的にも全てお世話になった。弁護士を介して両親からお金が振り込まれた後も、お金は一切受け取ってもらっていない。
光輝さんは、あの日、わたしを家に帰した事を後悔していた。
「俺が怪我をさせたようなものだ。もっといい方法があったはずだ」と言って、傷だらけのわたしに謝罪をした。わたしは、どうやっても両親や祖母からも逃げ出せなかったと思っているけれど、光輝さんは違った。
通院の送迎と診察後に医師に病状を確認することを怠らない。会計も全てしてくれる。すごく申し訳ないと思うけれど、「婚約者として当然の事だ」と言われると、言い返せない。
わたしも光輝さんの婚約者だと言われると、実は嬉しいのだ。
「検査の結果、骨折は治ったようです。バストバンドは外してもいいでしょう」
「ありがとうございます」
心からの笑顔が浮かぶ。けれど、喜んでいるのはわたしだけではなく、光輝さんも同じだ。
「美緒、やったな」
「はい!」
キュッと手を握られた。
「少しずつ慣れていってください。また痛み出すようなら来院してください」
「はい」
わたし達の姿を見て、医師も看護師も笑顔になった。
「「ありがとうございました」」
声もすっかり揃うようになった。
「やっと美緒に洋服を買ってやれるな?」
「今までのいいのよ。まだ着られるし」
「今まで買ってもらった事がないのだろう?」
「ないけど、着る物に困っているわけでもないから」
会計を終えて、車に戻って行く。今日も雨が降っていて、お互いに傘を差している。足元に注意しながら、ゆっくり歩く。一足しかない靴を濡らすわけにいかない。
「その傘、小さくないか?」
「500円の折り傘なら、これくらいだと思うよ」
自分の傘を改めて見てみると、ちょっと古さを感じてしまう。赤い傘がくすんでいて、折り目が白くなってきている。我が家で、わたしが新しい物を身につけると、決まって壊されていた。だから、新しく新調するのを止めたのだ。500円の傘だとしても、わたしには新品を持つことは許されなかった。この傘を何年使ったのか、覚えていない。
「ちょっと古くなってきたから、今度、新しく買ってくるね」
黒く大きな傘を差している光輝さんと、わたしはどう見ても釣り合わない。
(今度は1000円くらいの傘を買ってみようかな?多少は見栄えも良くなるかもしれない)
「今日はこれから、買い物に出かけよう」
「でも、すごく雨が降っていて、濡れるのは嫌だな」
「濡れない場所ならいいのだな?」
「……少しだけなら」
「何か用事でもあるのか?」
「今日はお財布に診察料くらいしか入ってないの」
トートバッグを持ち上げると、光輝さんは濡れるのも気にしないで、わたしの頭をクチャクチャと撫でた。
「気にするな」
「気にするよ」
いつもお金を払ってもらってばかりで、生活費も受け取ってもらえない。
「いずれ、祖父や両親に正式に美緒を紹介しなければならない。その時、着ていく洋服一式が最低限必要だ。これは後継者としての俺自身を計られる。美緒をどこに出しても恥ずかしくない姿にしなければならない」
「そんなに大変なの?」
「俺は円城寺家本家の跡取りだからな。美緒も自覚して欲しい」
「はい」
光輝さんと一緒にいるためには、わたし自身の努力も必要になってくるのだろう。
ティファさんは普段着で、1500万の腕時計をしていた。
きっとそれが普通の事なのだろう。
光輝さんもホテルのロイヤルスイートルームに住み続けている。一般人とは生活スタイルも考え方も違うのかもしれない。
我が家も代々続く和服作家の家柄だから、一般家庭より格式もあるのかもしれないけれど、わたしはその家庭で疎まれていた存在だった。
いらない子として育てられたわたしには、その格式はないに等しい。
しかも、その代々続く和服作家が犯罪者になってしまった。理由はわたしで、両親は多額の罰金を払って自宅に戻っているらしい。けれど、地位も名誉もゴミのように捨てられたに違いない。
(どう考えても、光輝さんに相応しくないよね?)
和服も以前のように姉の箪笥から持ってくることはできなくなった。
自分を飾るための物は何も無い。
内心ため息の嵐だ。
(相応しくないなんて言ったら、また叱られそうだし……)
「美緒、今更、結婚したくないなんて言い出すなよ?」
「でもね……」
「でも、なんだ?」
「周りが許してくれないような気がするの」
「俺を本気にさせたのは、美緒だよ」
光輝さんの顔を見上げると、傘ごと大きな傘に入れられて、体を抱き寄せられた。
唇が重なり、キスが深くなる。
怖々、光輝さんの舌に舌を絡ませると、もっとキスが深くなる。
息苦しくなる頃に、唇が離れて行った。
キスも少しずつ慣れてきた。
「可愛いな」
雨で肌寒く感じる体を片手で抱き寄せられて、温もりに包まれる。
「手放すつもりはないからね」
「……うん」
体がぽかぽかと暖かくなってくる。
光輝さんの傘に入れられたまま車まで歩いた。
車に着くと、わたしを傘の中に入れたまま助手席の扉を開けた。
わたしは自分の傘を閉じて軽く水気を取ると、車に乗り込んだ。光輝さんはすぐに扉を閉めて、運転席に乗り込んで来た。
わたしは傘を畳んで、すぐにビニール袋に入れて、トートバッグにしまった。
「手際がいいな?」
「うん、わたし、いつも折り傘なの。学校に行ってもすぐに片付けられるでしょ?自宅でも部屋まで持ち帰られるの。自分で持っていたら、無くなることもないし、自分を守るために身につけたの」
「そうか」
光輝さんの傘は、車に取り付けられた傘ボックスに入れたようだ。
「せっかく仕事も休んだから、今日はデートでもしよう」
「うん」
車が静かに走り出した。
…………………………*…………………………
車が駐まったのは百貨店だった。
立体駐車場には屋根があるので、雨に濡れることもない。
「美緒を俺色に染める」
なんだか恥ずかしいことを言われて、わたしは赤面してしまった。
「今、挑発するな。このまま押し倒したくなるだろう?」
「それは駄目!///」
キスをしようと顔を寄せてきた光輝さんの肩をぐっと押し返して、扉を開けた。光輝さんは、クスクス笑いながら、車から降りてきた。
最初に連れて行かれたのは、下着売り場だった。
「ぴったりの物を、1週間分誂えてくれ」
「1週間分もいるの?毎日、洗濯するよ?」
「出かける時はどうするんだ?」
「洗えば、いいんじゃないの?」
「1週間分用意してくれ」
「畏まりました。さあ、奥様、サイズを測りますね?」
「……はい///」
(奥様、わたしと光輝さんは夫婦に見えるの?)
頬が熱くなる。
店員さんに付き添われて、試着室に入った。
色気も素っ気もない、ブラつきタンクトップの上からサイズを測られて、いろんな種類の下着が集められた。一つずつ試着して、着心地を確かめていく。着心地のいい物が決まったら、それの色を集められて、光輝さんがチェックをしていく。
「ベージュだと透けないと思うけど」
「色気がない」
「色気より実用性だと思うけど」
「センスがないと言われるぞ?」
「下着までチェックをされるの?」
「当然だ」
「大変ね?」
「他人事じゃないぞ。ちゃんと考えろ」
ピンとおでこを人差し指で弾かれた。
ちょっと痛いけど、ちょっとだけだ。
「その話し方、ティファさんに似ているわ。やっぱりティファさんに日本語を教えたの、光輝さんでしょ?」
「俺だけじゃない。和真もだ」
「ちゃんとした言葉を教えてあげれば良かったのに」
「すごく残念な日本語だろう?俺と和真で教育したんだ」
「ティファさん、可哀想」
「そのティファみたいな、色っぽい下着を選んでみろ」
「もともとの素材が違うんだから、ティファさんみたいにはなれないよ」
またおでこを人差し指で、ピンと弾かれた。
「痛い!」
今度は言葉に出した。けど、痛いのは、ちょっとだけだ。ちゃんと加減されているのが分かる。
「よしよし、拗ねるな」
「///」
額を指先で撫でられて、なんだか子供扱いされているようで、複雑な気分だ。ちゃんと二十歳になったのだから。少しは大人扱いをされてみたい。
わたしは考えた。
「光輝さん、好きな色はなんですか?」
「そうだな、白もピンクも赤も黒も黄色も水色も、どんな色でも美緒は似合うだろうな」
「それにします」
デザインを考えながら、白とピンク、赤、黒、黄色、水色を選んで、残りはベージュにした。光輝さんがしきりに見ていたお洒落なレースの着いたキャミソールも数着選んだ。
「これでどうでしょうか?」
「着たところを見せてくれ」
「お断りします」
どうやらお気に召したようだ。
会計は光輝さんがカードで支払った。
合計額は知らない。きっと知らない方がいいと思う。
「これは着ていけ」
手渡されたのは、ピンクのブラジャーだった。パンティーまでは着替えなくてもいいようでホッとした。わたしは試着室を借りて、久しぶりにブラジャーをはめた。
…………………………*…………………………
その後、昼食を食べて、洋服を見て歩いた。
「光輝さん、妹さんがいるんですか?」
「いや、いない。兄弟は和真と二人だ。だが、従妹に女の子がいる。よく買い物に付き合わされた。美緒より年上だが、幼いときから付きまとわれた。洋服を見立てて欲しいと言われて、この百貨店にもよく来たことがある」
(なるほど、それで女性用の下着も洋服も見慣れているのか?)
お店の場所もよく知っているし、わたしに似合いそうな洋服を選んでくる。
「仲がいいのね?」
「昔は付きまとわれたけど、最近は会ってないかな?」
「どこかに留学でもされているの?」
「留学はどうだったかな?俺の仕事が忙しくなってからは、ホテル住まいに変えたからな」
わたしは頷いた。
実家に帰ってないと言っているのだろう?
わたしが入院して暫くしてから、円城寺家のお爺さまとご両親がお見舞いに来てくださって、婚約破棄の話をされた。光輝さんは、それを突っぱねてくれたけれど、決して光輝さんの両親が交際を許したとは言えない。「今は目をつむる」と言われただけだ。お爺さまは、交際のことは何も口にされなかった。お婆さまの事は任せておけと言われただけだ。
今の状態が永遠に続くとは思えない。でも、今は光輝さんと一緒に未来を語りたい。
「いずれマンションか一戸建てに移ろう。今、いい物件を探している。子供ができてもいいように、部屋数の多い家を探している。家を建てることも考えている」
「なんだか、壮大な夢のようね」
「一戸建てを建てるとなると都心から離れなくてはならない。そうすると通学に時間がかかってしまう。だから、色々思案している」
「光輝さんは野球チームが作れるほど、子供が欲しいと言っていたものね?」
「あれは半分冗談だが、何人でも構わない」
今、この時間がすごく幸せだと思う。手を繋いで、未来を語りながら買い物をしている。
光輝さんは最初、有名ブランド品のお店に入ったが、わたしには大人びて見えて似合わなかった。それから、百貨店の専門店に入って、いろんなお店を回った。
最初に有名ブランド品の値段を見たからか、専門店の洋服は、ずいぶんお手軽な値段に見えた。それでも、自分で買うことができない金額であることは確かだ。
知らぬ間に、わたしの洋服は多くなり、買った物はインフォメーションに預けられている状態だ。わたしは洋服も靴も着替えている。大きな洋服からピッタリと体にあった清楚な洋服を着ている。替えの靴もバックも光輝さんが選んで、購入する度に店員がインフォメーションに運んでいる。
「卒業まで2年以上あるのか?」
「そうね。大学はきちんと卒業したいと思っているの」
「卒業は待とう。だが、入籍は早くしたい」
「わたし、逃げたりしないと思うわ」
「他の誰かに手出しをされたくはないのだ」
ギュッと手を握られて、幸せすぎて心臓がドキドキしてしまう。
こんなにわたしを想ってくれた人は、今までいなかったからすごく嬉しい。この優しい人を好きだと思う。
「だから、挑発するな」
掠めるように、キスをして、また歩き始める。
「美緒を俺のものにしてもいいか?」
「うん」
「今夜から寝室は俺の部屋だ」
「はい」
初めてを光輝さんに献げてもいいと思っている。
わたしを救い出してくれた王子様だから。
「後は、化粧品とネグリジェを買っていこう」
「はい」
エスカレーターを、手を繋いで下りていく。
「好きなブランドはあるか?」
「わたし、化粧水すら持っていなかったの。ホテルで見つけて付けるようになったけど、櫛は100均の櫛だし、髪留めも100均の物なの。UVカットって意味は知っていたけど、持っていなかったの」
「それは誂え甲斐があるな。俺の手で美しくさせることができると思うと、美緒の両親に感謝したくなる」
「止めてよ。虐待なんて肯定しないで」
「虐めるつもりはないよ。真っ新な新雪に、足を踏み入れるようなドキドキ感が沸き起こっているんだ」
「ドキドキしているの?」
「当然だよ。好きな女の子が目の前にいるんだ。ドキドキしない方が異常だろう?」
手を引かれて、掌を胸に当てられた。
確かにドキドキしているような気がする。
「どこのメーカーがいいだろうか?」
光輝さんは楽しそうに化粧品売り場に入っていった。
片手でスマホを操作して、化粧品の事を調べているようだ。
決めたのか、わたしの知らないブースに入っていった。
「基礎化粧品からすべて揃えてくれないか?」
「畏まりました」
「使い方も、きちんと教えてくれるか?化粧の方法もしっかりとね」
「はい。畏まりました」
数人の店員のうちから、年長の店員がわたしを迎えに来た。
「奥様、お肌のチェックをいたしましょう。こちらにどうぞ」
椅子に勧められると、店員は隣の席に光輝さんを勧めた。光輝さんは楽しそうにわたしを見ている。
店員には、わたし達は夫婦に見えるようだ。どの店でもわたしを奥様と呼び、光輝さんをご主人様と呼んでいる。
肌チェックをして、アンケートを書くと、わたしに合うという化粧品が並べられて、丁寧に説明をしながら、肌につけてくれる。
お化粧も分かりやすく、方法を教えてくれた。
仕上がったわたしは、お見合いの時に母がしてくれたお化粧よりも綺麗になっていた。
「見違えるほど、美しくなったな」
光輝さんは、満足そうだ。
わたしも実は驚いている。
(わたしじゃないみたい)
「奥様、この色合いで如何でしょうか?」
「こんなに変わるなんて、化粧って凄いのね?」
「目元も口元も違った色彩を使うと、ガラッと雰囲気が変わりますよ。機会があったら、お楽しみください」
「はい」
「ご主人様、こちらの商品で如何でしょうか?」
「これをいただこう」
「ありがとうございます」
「光輝さん、いいの?」
「勿論だよ。美緒、素顔も美しいが化粧をした顔は色気がある。これから大学にもお化粧していくといい」
「はい///」
長い髪を梳かす櫛も買ってくれた。
「ささやかですけれど、プレゼントを用意いたしました。どうぞお使いください」
「ありがとうございます」
ポーチやメイク道具の筆やブラシのセットをプレゼントされた。
使い方も教えてくれる。
その後にネグリジェを買ってもらった。これは光輝さんの趣味が100%詰め込まれた物だった。透けそうでちょっと恥ずかしいけれど、光輝さんが楽しそうなので、いいことにした。
無限にないかもしれない時間なら、少しでも楽しく過ごしたいと思っている。
インフォメーションに寄ると、買い物をした物が集められていた。数人の従業員が車まで運んでくれる。
「光輝さん、買いすぎよ」
「まだ足りないだろう?当面の物しか買ってはいない。そのうち、また買いに来よう」
トランクルームに積み込んでもらうと、従業員は深く頭を下げて、わたし達が立ち去るのを見送ってくれた。
…………………………*…………………………
車がホテルに戻ると、光輝さんはフロントに寄った。
荷物を運ぶのを手伝ってもらうと言っていた。
「すまないが……」
「円城寺様、お帰りなさいませ。至急で申し訳ないのですが、何度もご実家の方からご連絡がありました。大至急連絡を寄越すようにとのことです」
「手を煩わせたね」
光輝さんは、ジャケットの内ポケットからスマホを取り出すと、スマホの電源を入れた。
「光輝さん、スマホの電源を落としていたのですか?」
「当然だ。今日は休日にした。邪魔をされたくはないからね」
「光輝さんは、社長なのに」
「社長でも休日は欲しいのだよ」
「それはわかるけど……」
光輝さんはウインクして、わたしをホテルのラウンジに連れて行った。
「ちょっと待っていて」
「うん」
わたしは窓が見える場所に座った。
少し離れたところで、光輝さんは電話をかけた。
「急に言われても困る。……もうこんな時間だ。……俺にも美緒にも予定がある」
ホテルの外は、もう暗くなっていて、雨が降り続けている。
聞こえてくるのは、光輝さんの苛立った声だった。
「……分かった。行けばいいのだな?」
光輝さんは電話を切ると、わたしの元に戻ってきた。
「すまない。実家に戻らなくてはならない。一緒に来てくれるか?」
「……今からですか?」
「ああ、父の命令だ」
「……分かりました」
シンデレラの時間は終わるのだろうか?嫌な予感しかしなかった。
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