かちこみっ!

もっけさん

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ミズガルズ ー貿易都市ミストハレー

第11話 異世界飯は不味かった。

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  冒険者ギルドを出て、私達はイリスお勧めの宿屋へ向かった。
 「すみません、人数は二人で1週間の宿泊をお願いします。」
 「一日一人銀貨8枚になります。」
 「金貨11枚に銀貨2枚だね。」
 私は空間魔法アイテムボックスからお金を取り出し宿屋の娘にお金を支払った。
 「す、凄いです!計算を一瞬でするなんて!もしかして商人さんなんですか?」
 キラキラしたをする娘さんに
 「まあ、そうかな(商業ギルドに登録して塩・胡椒などを売る予定だし…間違ってないよね?)」
肯定しておく。
 鍵を受け取って案内された部屋に入った。6畳ぐらいの部屋にベットが二つ並んでいて狭いなと感じるも異世界だからと納得する。
 「布団が薄っぺらいね。」
 寝辛そうと漏らす一二三ひふみ
 「ここで泊まらないよ。自宅に帰って寝るに決まってるじゃない。」
薄汚れたベットで寝たくないと答えれば
 「そっかーじゃあ、食事はこっちの食べてみたいな!異世界飯が楽しみ♡」
物凄くご飯に対して期待を寄せていた。
 「お昼にしては遅いけどご飯食べに行くか…」
 私達は宿屋が経営している食堂に向かった。
 食堂は中々繁盛しているようだ。味も期待出来ると思って
 「ご飯でお勧めありますか?」
キッチンにいた主人にお勧めメニューを訪ねる。
 「見かけない顔だな。お勧めなら日替わり定食が良いんじゃないか?」
 店主の言葉に
 「じゃあ、日替わり定食2つと水をお願いします。」
注文をすると
 「おう!しかし本当に水で良いのかい?銅貨7枚するぜ。エールなら銅貨3枚だが?」
水が高額だと教えてくれた。そういえば外国でも飲料水は高かったな。
 「じゃあ、エールでお願いします。」
 「はいよっ!ミリア、日替わり定食2、エール2だ。会計してくれや!」
 店主の呼びかけにミリアと呼ばれた女性がこっちにやってきた。
 「はーい!銀貨2枚になるよ。席は自由席だ。好きな所に座りな。この札と交換でご飯が出てくるから番号呼ばれたら取りにくるんだよ。」
 私は彼女に銀貨2枚と札を交換して空いてる席に着いた。
 席に着いて数分、番号が呼ばれたので私達はご飯を取りに行った。
 「見た目は普通だね。」
 今日のメニューはロックベアのじゃじゃ焼きだそうだ。黒パンとロックベアのじゃじゃ焼きに具の少ないスープとエールである。
 「まあ、異世界飯だし食べてみようか…」
 私はじゃじゃ焼きを、一二三ひふみはパンを口に運んだ。
 「っ固いっ!!」
 「…まっずぅ……」
 二人揃って悶絶した。
 味が薄く肉が固い上に臭みが酷い。スープも飲んだがお湯を飲んでいる感覚だ。パンも一二三ひふみが言ったように固く嚙み切れる物じゃなかった。
 「パンはスープに付けてふやかして食べよう。あとは…うん、残さず食べよう。」
 もそもそと不味いご飯を食べていると一二三ひふみ
 「七五三なごみ姉ちゃんって魔物使いテイマーなんだよね?何で獣魔がいないの?」
言われたくない部分を指摘してきた。
 「黙示録アポカリプスで契約していた獣魔はユグドラシルには存在しなかったんじゃないかと思う。私が願ったのはアバターの継承で詳しくは経験値・アイテム・スキルはそのまま引き継ぐことだから獣魔までは引き継がれなかったんじゃないかな。魔物使いテイマーの補助系魔法は使えるけど、他の魔法を習得した方が良いかもしれない。」
 魔物使いテイマーの魔法は捕縛系の光の茨ソードバインド、補助系の敵のステータスを5割減にする愚者の烙印スティグマ、味方のステータスを5割増しにする聖者の福音エヴァン、攻撃魔法である合奏アンサンブルと大まかに四つ存在する。
 魔物使いテイマーなだけあって獣魔に対し援護する魔法ばかりなのだ。私単体での攻撃魔法は片手に数えるほどである。
 「なら神聖魔法と水と火と土魔法を取得したら?」
 一二三ひふみのラインナップに
 「その心は?」
胡散臭そうに見つめると
 「神聖魔法はポーションが切れた時に備えとして、水は飲み水になるし、火は火起こししなくて良いし、土魔法だったら火と土の複合魔法を使えるんじゃないかと思って♡」
意外と考えていた。
 「それは悪くないね。」
 その方向でスキル取得しようと話を進めるが、料理を食べる手は完全に止まっている。
 「うぅ…不味いよぉ……」
 涙目になりながらご飯を食べる一二三ひふみ
 「今日だけの我慢だよ。」
エールで流しながらご飯を食べた。
 異世界飯がこんなに不味いとは思わなかった。調味料をケチっているのだろうか?出汁の概念が無いのか味に旨味が無い上に薄い。肉も臭みがあって固い上に酒も不味い。日本で培われた舌は完全に異世界飯を拒絶したのだった。
 ご飯が終わり私達は部屋に戻って自宅へ転移した。ユグドラシルでは午後15時だったので、向こうでの朝9時までは地球で化粧品の詰め替え作業をしなければならない。ついでに商業ギルドに卸す塩、砂糖、胡椒と基礎化粧品一式と洗髪剤一式を全て業務用スーパーと100均で揃える予定だ。
 ゴミに関しては冒険者ギルドで魔物使いテイマーを雇い契約ティムしているスライムに処理をさせているとイリスが言っていた。汚水に関しても契約ティムされているスライムが浄化してくれるので清潔なんだとか…
 私は一二三ひふみに化粧水などに必要な素材を渡して買い出しに出かけるのであった。
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