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エルブンガルド魔法学園 中等部
つり銭ごまかしとボッタクリ商法
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ベアトリズがヘリオト商会の職員になった経緯を少しだけ聞くと、元々土台はあったのと目新しい物が好きという性格が、商人として教育するのが最良なのではないかとスー一家の結論だった。
侍女はアリーシャがいるので、侍女業はそこそこ出来る程度にして商人として私を支えるべく自立させて教育しようとメアリーが提案したそうな。
頑張って結果を出せば褒められる環境に、ベアトリズは水を得た魚の如く知識をドンドンと吸収していった。
ベアトリズの否定ばかりの人生が、些細なことでも上手くいけば褒められる環境へ変わったことで彼女の性格や言葉遣い、行動にまで『幸せ』が溢れている。
出会った頃の彼女は、決して優秀な人材ではなかった。
寧ろ、アホ認定したくらい残念な子だったと言える。
三ヶ月弱でこうも有能になるなんて、良い掘り出し物を拾ったな。
「リズ、随分と盛況のようね。大変なら手伝いを寄こすけど大丈夫?」
商品の陳列をしているベアトリズに声を掛ける。
愛称で呼んでいるのは、リズベットとあまりにも言い間違えるので愛称で呼んでくれと言われてしまった。
有り難いが、不甲斐ないと少し思っている。
納品書とペンを手にベアトリズが振り返った。
「リリアン様、お陰様で儲けさせて頂いてます。商品の納品が遅れているので、品切れになりそうな勢いです」
「二人きりの時くらいは様付けしなくて良いわ、と言いたいところだけど上司と部下だから堅苦しいけれど敬語は取れないのが辛いわ」
「仕方がありません。プライベートな時は、敬語使っていませんので、メリハリが出て良いと父様も申してました」
「フリックの言う通りだわ。買い物している彼等を見てどう思う?」
そう問いかけると、ベアトリズはうーんと唸った後に残念な目で見るように私を見て言った。
「パッと計算が出来ないので、言い値を払う人が多いですね。値切り交渉もしないので、私としては物足りなさを感じてます」
ベアトリズの言葉を聞いて、不意にアルベルトにお金を教えた時の事を思い出した。
人は失敗しないと学習しない生き物である。
「外に買い出しに行かせてもカモにされると言うわけね。これは、荒療治が必要かしら……」
自分の商会でつり銭のごまかしや、ぼったくりをさせたくはないが、教育の一環と言う事なら仕方がない。
「リズ、誰に何を幾ら購入し支払ったかを一日の終わりに私に報告を上げなさい。つり銭のごまかしも、ぼったくりもして良いわ。浮いたお金は、報告書と共に私に渡して頂戴」
「本当に良いんですか? 商会の信用が、ガタ落ちしますよ」
私の提案に彼女は難色を示す。
「後から各自返金するから良いのよ。そもそも、態々ここへ出張に来て貰ったのも暗算を覚えるためよ。今後、屋敷の外へ買い物に出かけた時に暗算出来ないとカモられるわ。そうなったら、こっちが困るのよ。税金でやり繰りしなきゃならないんだから。帳簿に使途不明金のお金が上がりでもしたら、お上から『どうなってるんだ!?』って怒られるじゃない。冗談じゃないわ」
怒られるだけならまだしも、着服を疑われたりでもしたら投獄されてしまう。
普通は、適当に帳尻を合わせようとするだろう。
しかし、領主代理が『私』である以上はそんな事は通用しない。
見る人が見れば、一発でウソと解るだろう。
「領主のすげ替えが、領民にとって一番堪えるでしょうね」
良くも悪くも領民に影響を与える。
私が、自分の都合しか考えない領主だったら搾取し続ける方法を考えただろう。
領民の訴えなど握り潰し、良いように国へ報告する。
「子供とはいえ、私は領主代理よ。務まりませんでした。交代しますって話で済まないのよ」
私の評価だけでなく、アングロサクソン家の評価まで落としてしまう。
貴族という柵さえなければ好きなことだけして生きていけるのに、国は私を手放す気はないらしい。
この年で馬車馬のように扱使われる社畜系令嬢とは私の事だ!
「王妃様の仕事って、そこまでする必要あるんですか?」
「無いわよ! あって堪るもんですか!! 私に何を期待しているのか知らないけれど、丸投げされているのよ。この年で、一応は父の仕事の補佐をしていたからね」
知識クレクレされた時に、迂闊に口を滑らせたばかりに父の仕事を成り行き上手伝ったりしたのが、仇となって数年後に痛いしっぺ返しが来た。
そう、現在の私である!
拳を握り締め地団駄を踏む私を見て、ベアトリズはポンと肩に手を置いて言った。
「成せば大抵何とかなります」
「完全に第三者目線で言ってるわよね?」
「私、完全に第三者なので気の利いた激励は出来ませんから。父様なら『リリアン様なら出来ると判断して仕事を与えられたのだと思います。手伝いますので頑張って下さい』と言いそうですけど」
フリックのモノマネを始めたベアトリズに、私は笑った。
「言うわ。その光景が目に浮かぶ…。リズは、モノマネが上手ね」
「人の顔色を伺う癖が身に着いたので、身内ネタですがモノマネをすることで親睦を深める切っ掛けを作ろうかと思って始めました」
エヘヘと照れたように笑う彼女に、
「それ、ロイドの入れ知恵でしょう」
と指摘するとベアトリズは驚いたように私を見た。
「何で分かったんですか?」
「ロイドがよく下手なモノマネを披露してくるから、リズにもやらせたいと思ったんでしょう」
受け狙いでモノマネをして滑りまくっているロイドからしたら、何も知らずに鵜呑みにしてモノマネを極めたベアトリズは運が良かったと言うべきか。
ロイドは、戻ったら一度訓練場で足腰が立たなくなるまでボコろう。
「話が飛んだけど、彼等には値切り交渉のスキルも身に着けて貰わない困るの。ぼったくられたり、つり銭をちょろまかして良いから、瞬時に暗算出来るようにさせて頂戴。後、値切り交渉についても受けてあげて。確実に黒字が出る方法で応対してね。金銭的なことでなくても、おまけをつけるなどのサービスを展開しても良いわ。そこは、リズに全てを任せます」
「任されました」
ベアトリズは、今まで見た事のないくったない笑顔を浮かべて返事を返してくれた。
人は成長する生き物なんだなと、しみじみと思ったのは秘密である。
侍女はアリーシャがいるので、侍女業はそこそこ出来る程度にして商人として私を支えるべく自立させて教育しようとメアリーが提案したそうな。
頑張って結果を出せば褒められる環境に、ベアトリズは水を得た魚の如く知識をドンドンと吸収していった。
ベアトリズの否定ばかりの人生が、些細なことでも上手くいけば褒められる環境へ変わったことで彼女の性格や言葉遣い、行動にまで『幸せ』が溢れている。
出会った頃の彼女は、決して優秀な人材ではなかった。
寧ろ、アホ認定したくらい残念な子だったと言える。
三ヶ月弱でこうも有能になるなんて、良い掘り出し物を拾ったな。
「リズ、随分と盛況のようね。大変なら手伝いを寄こすけど大丈夫?」
商品の陳列をしているベアトリズに声を掛ける。
愛称で呼んでいるのは、リズベットとあまりにも言い間違えるので愛称で呼んでくれと言われてしまった。
有り難いが、不甲斐ないと少し思っている。
納品書とペンを手にベアトリズが振り返った。
「リリアン様、お陰様で儲けさせて頂いてます。商品の納品が遅れているので、品切れになりそうな勢いです」
「二人きりの時くらいは様付けしなくて良いわ、と言いたいところだけど上司と部下だから堅苦しいけれど敬語は取れないのが辛いわ」
「仕方がありません。プライベートな時は、敬語使っていませんので、メリハリが出て良いと父様も申してました」
「フリックの言う通りだわ。買い物している彼等を見てどう思う?」
そう問いかけると、ベアトリズはうーんと唸った後に残念な目で見るように私を見て言った。
「パッと計算が出来ないので、言い値を払う人が多いですね。値切り交渉もしないので、私としては物足りなさを感じてます」
ベアトリズの言葉を聞いて、不意にアルベルトにお金を教えた時の事を思い出した。
人は失敗しないと学習しない生き物である。
「外に買い出しに行かせてもカモにされると言うわけね。これは、荒療治が必要かしら……」
自分の商会でつり銭のごまかしや、ぼったくりをさせたくはないが、教育の一環と言う事なら仕方がない。
「リズ、誰に何を幾ら購入し支払ったかを一日の終わりに私に報告を上げなさい。つり銭のごまかしも、ぼったくりもして良いわ。浮いたお金は、報告書と共に私に渡して頂戴」
「本当に良いんですか? 商会の信用が、ガタ落ちしますよ」
私の提案に彼女は難色を示す。
「後から各自返金するから良いのよ。そもそも、態々ここへ出張に来て貰ったのも暗算を覚えるためよ。今後、屋敷の外へ買い物に出かけた時に暗算出来ないとカモられるわ。そうなったら、こっちが困るのよ。税金でやり繰りしなきゃならないんだから。帳簿に使途不明金のお金が上がりでもしたら、お上から『どうなってるんだ!?』って怒られるじゃない。冗談じゃないわ」
怒られるだけならまだしも、着服を疑われたりでもしたら投獄されてしまう。
普通は、適当に帳尻を合わせようとするだろう。
しかし、領主代理が『私』である以上はそんな事は通用しない。
見る人が見れば、一発でウソと解るだろう。
「領主のすげ替えが、領民にとって一番堪えるでしょうね」
良くも悪くも領民に影響を与える。
私が、自分の都合しか考えない領主だったら搾取し続ける方法を考えただろう。
領民の訴えなど握り潰し、良いように国へ報告する。
「子供とはいえ、私は領主代理よ。務まりませんでした。交代しますって話で済まないのよ」
私の評価だけでなく、アングロサクソン家の評価まで落としてしまう。
貴族という柵さえなければ好きなことだけして生きていけるのに、国は私を手放す気はないらしい。
この年で馬車馬のように扱使われる社畜系令嬢とは私の事だ!
「王妃様の仕事って、そこまでする必要あるんですか?」
「無いわよ! あって堪るもんですか!! 私に何を期待しているのか知らないけれど、丸投げされているのよ。この年で、一応は父の仕事の補佐をしていたからね」
知識クレクレされた時に、迂闊に口を滑らせたばかりに父の仕事を成り行き上手伝ったりしたのが、仇となって数年後に痛いしっぺ返しが来た。
そう、現在の私である!
拳を握り締め地団駄を踏む私を見て、ベアトリズはポンと肩に手を置いて言った。
「成せば大抵何とかなります」
「完全に第三者目線で言ってるわよね?」
「私、完全に第三者なので気の利いた激励は出来ませんから。父様なら『リリアン様なら出来ると判断して仕事を与えられたのだと思います。手伝いますので頑張って下さい』と言いそうですけど」
フリックのモノマネを始めたベアトリズに、私は笑った。
「言うわ。その光景が目に浮かぶ…。リズは、モノマネが上手ね」
「人の顔色を伺う癖が身に着いたので、身内ネタですがモノマネをすることで親睦を深める切っ掛けを作ろうかと思って始めました」
エヘヘと照れたように笑う彼女に、
「それ、ロイドの入れ知恵でしょう」
と指摘するとベアトリズは驚いたように私を見た。
「何で分かったんですか?」
「ロイドがよく下手なモノマネを披露してくるから、リズにもやらせたいと思ったんでしょう」
受け狙いでモノマネをして滑りまくっているロイドからしたら、何も知らずに鵜呑みにしてモノマネを極めたベアトリズは運が良かったと言うべきか。
ロイドは、戻ったら一度訓練場で足腰が立たなくなるまでボコろう。
「話が飛んだけど、彼等には値切り交渉のスキルも身に着けて貰わない困るの。ぼったくられたり、つり銭をちょろまかして良いから、瞬時に暗算出来るようにさせて頂戴。後、値切り交渉についても受けてあげて。確実に黒字が出る方法で応対してね。金銭的なことでなくても、おまけをつけるなどのサービスを展開しても良いわ。そこは、リズに全てを任せます」
「任されました」
ベアトリズは、今まで見た事のないくったない笑顔を浮かべて返事を返してくれた。
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