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幼少期

七歳になりました2

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 教会は、結構な人が押し寄せていた。
 訪れる人の目的は様々だが、大体皆似たり寄ったりである。
「結構な数ね。講義を聞いていた時なんか、殆ど閑散としていたじゃない」
「お嬢様のお陰で、民も気軽に回復魔法をかけて貰えるようになりましたからね。鑑定は無料ですし、今まで鑑定出来なかった者が詰めかけている状態なので一過性のものですよ。予約者は、正門ではなく通路門を通って中に入ります」
 ユリアを先頭にガリオン・私・アリーシャ・ルイの順番で移動する。
 ガリオンもアリーシャも私より一ヶ月早く生まれている。
 本当は、二人の誕生日の時に鑑定して貰う予定だったらしい。
 しかし、そう物事は上手く行くものではない。
 鑑定し貰いに行ったは良いが、人が多すぎて出来なかったと聞かされ私と一緒にするという事でユリアに使いを出して予約を取った。
 鑑定も完全予約制にすれば、この人だかりも緩和出来るだろうに。
 そんなことをツラツラと考えていたら、貴族のサロンのような場所に来ていた。
「聖女様、お付きの皆様、お待ちしておりました」
 好々爺を思わせる老人が、軽く礼をした。
 聖女という肩書を持っているので、私はユーフェリア教会のトップではある。
 今のところお飾り聖女ではあるが、私を軽んじる者は今のところ目に見えていない。
 目の前の好々爺は、私を観察しているように見える。
「初めまして、リリアン・フォン・アングロサクソンと申します。本日は、私と従者二人の鑑定を受けて頂きありがとう御座います」
 ドレスの裾を持ち上げて淑女の礼をすると、
「私は、この支部を取り纏めているキースと申します。リリアン様のように事前に問合せ頂けるだけで、こちらは大助かりです」
と柔和な笑みと共に褒められた。
 あの一件で信者離れがあったが、気軽に治癒魔法を使えるなどのメリットから通う人が急増したようだ。
「鑑定は予約制にして、回復魔法をかけるのであれば待合カード渡せば宜しいのでは。緊急性の高い者を優先にするため、順番が前後する場合があることを伝えて納得された方のみお相手差し上げたらどうかしら? 少しは、この混雑を緩和されると思いますよ」
「成るほど、そういう方法がありましたか。しかし、権力を持つ者ほど納得しないものです」
 権力を笠に我を通そうという困ったちゃんの対応か。
 それは、頭が痛い問題だ。
「教会で身分をひけらかす事は禁じます。聖女命令です」
 パチンとウインクすると、キースはブハッと笑った。
「それは、良いですな」
「聖女が順守しているとなれば、グダグダ言う輩は減るでしょう。それでも権力を振りかざすなら、憲兵に突き出しなさい。私が許します。そうそう、忘れるところだった。今日は、鑑定して貰いに来ていたんだわ。大丈夫かしら?」
「勿論で御座います。しばらくお待ちを」
 キースは、私達に座るように促し部屋を出て行った。
 数分後、何やら大掛かりな装置を持って部屋に戻ってきた。
「キース様、これは?」
「古代魔法具の一種です。冒険者達が身分証を発行する時に、特殊な鉱石を板にした物に鑑定した情報が記載されるのはご存じですか?」
「いいえ」
 名刺サイズの板に必要事項が記載された冒険者カードなら、アニメやゲームでよく見てきたが実物は見たことが無い。
「それは、この魔法具を簡素化したものです。今持っているスキルや加護などをより詳しく見ることが出来るのです。さて、誰から見ましょうか?」
「私からお願いするわ!」
「では、この宝玉に手を乗せて下さい」
 私は、透明な宝玉に手を乗せた。
 その瞬間、私は真っ白な空間に立っていた。
「はぁ??? へ?」
 右も左も上も下も、どこを見渡しても何もない。
 ただ白い空間が目の前にあった。
「成功したか」
 背後から掠れた声が聞こえ、振り返ると無精ひげを伸ばし過ぎたヨボヨボの爺さんが立っていた。
 大事な部分は腰布を当てて隠しているが、私の頭に浮かんだのは『変態』の二文字だ。
「誰が変態じゃい。失礼じゃのう」
「……どちら様で?」
「創造神テトラグラマトン。今日、お主が教会で祝福を受ける日と精霊達が騒いでおったからな、干渉したまでよ」
 カッカッカと闊達に笑うテトラグラマトンに対し、
「要件だけ言ってお引き取り下さい」
と素で返してしまった。
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