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ハルモニア王国 王都
132.ストライキ起こしました
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「宥子、入るよ」
の声と共にバンッとドアが開き、容子が入室してきた。
イラッときたので、思わず容子に向かってボールペンと投げつけたらヒラリと交わされた。
当たれば少しは気がまぎれたのに、そのまま当たれよクソがっ。
「ノックしてから入れや、カスめっ!」
私の暴言は何のその、容子は床に落ちたボールペン拾い手渡して言った。
「王都内に幾つかヤバイ物件があるでしょう? 二十軒ほど確保して回して欲しいんだけど」
「王都内限定なら二十軒もないっつーの」
「んー…なら、地方でも構わんよ。計画が少し前倒しになるけど、問題無いし。土地の買い上げと併せて、神社建てる交渉してね、お姉ちゃん♡」
「嫌だ。自分で動け。私は、目の前の仕事で手一杯です」
この状況を見て言っているのか?
山積みの書類と格闘している私の姿を見て言っているなら、容子をぶっ飛ばす。
容子の提案を斬って捨てると、アンナが超良い笑顔で言った。
「何を言っているんですか! 天照大御神様の神社建設と布教を全国でしたいと言ってたではありませんか! 大丈夫ですよ、容子様。貴族の伝手はありますので、私達で整えて明々後日にでも決済済みの書類をお渡ししますね」
私の許可を取ることなく決定事項として通達された。
アンナを恨みがましく見ても許されると思う。
「社長は私なのに……。私だって全国津々浦々回って遊びた……じゃなかった。強化訓練するなら、各地域の現状や準備に私が参加しても良いでしょう!」
思わず本音が零れそうになってしまった。
書類責めで部屋に缶詰は、沢山だ。
書類と格闘したくない!!
「宥子、お前は書類の決裁で部屋から出られないじゃん。アンナが同行して交渉すれば事足りる。大体、神社に仕える者を餞別する試験になるんだから。関係ない奴は、部屋で大人しく事務仕事に勤しんどけ。これで、合格者が出れば私の後任が誕生するんだから。こっちは期待が、大きいんだよ!」
書類裁け、仕事しろと言われ、年甲斐もなく机にへばり付き泣いた。
「どこを見ても書類の山! 執務室に折り畳みベッドを置いて仕事している社長なんて聞いたことがないよ」
「泣き言は要らん。自分で選択した道でしょうが。どうでも良いけど、書類仕事から逃げるなよ」
容子がクイっと指で後ろを指すので振り返ってみると、アンナがハリセンをパシンパシンとしながら笑っている。
「ヒィィィイッ!!!」
思わず悲鳴を上げてしまった。
容子に助けを求める視線を送るが、無視して退室されてしまった。
容子の馬鹿!!
私の盾になってから出ていけばいいのに。
「宥子様、我がままも程々になさらないと給与カットですよ?」
全権渡すと言った傍から、給与をしっかりと握られている。
忙しくてお金を使う暇もなく貯まる人の気持ちが今なら分かる気がする。
物欲とか言っている次元じゃない。
「……はい」
最近ゲームもしてないし、本も読んでない。
読み物と言えば書類か、アンナが購読している新聞くらいだ。
娯楽がない。
新聞は良い暇つぶしにはなるし、情勢が分かるので欠かさず読んでいるが楽しくない。
私は、渋々と、そして粛々と書類を捌く捌く。
捌いても捌いても減らない書類が憎い。
「ルーシーとキャロルにも、書類を手伝って貰ったらダメなの?」
「彼女達には、彼女達に合った書類回してます。私も手伝っているでしょう」
「それにしては、何でこんなに多いのさ」
「それは、宥子様が思い付きで色々やらかしてくれてるからでは?」
身も蓋もない答えが返ってきた。
地味に凹むわ。
「思い付きなら、容子がアンナ経由で色々な催事を持ち込んでるよね。それは、どうなんよ? 美味しいところだけ掠め取って、書類仕事だけ回すってどうなの?」
「私は、商人ですよ。商機は、逃しません」
「容子の奴、私に許可を取れよ! 私に言ったら、予算が下りないの分かっているからアンナを通しているんだろうけど。それでも! お金になりそうという理由で、ホイホイ受けてるのは違うと思う」
「何の事でしょうか?」
知ってるんだぞと睨めば、ニッコリと笑顔で返されたが内心動揺しているのが手に取るように分かる。
「これは、労働基準法違反だよ。これ以上働かせるなら、休憩います!」
紅唐白を連れて、日本の自宅へ引き籠った。
パンジーに誰も日本に通すなと命じ、スマートフォンの電源を落として自室でゴロゴロした。
見たかったアニメを一気見し、お菓子とジュースを飲み食いしながら、ルームウエアで漫画を読む。
日本時間で一日経った頃に、サイエスへ戻った。
「宥子様、いきなり居なくなるなんて!!」
「一時間ほど席外しただけでしょう。休憩ぐらい取らせろ」
馬車馬のように扱き使うなら、程よい休憩くらい取らせてくれても良いんじゃなかろうか。
「大体、容子みたいに、仕事ほっぽり出して逃亡してないし。私は日本で休憩を満喫してただけ。サイエスの一時間ほどだ。何か問題でもある? Cremaが採用時に提示している昼休憩は、社長の私にも適用される。されない方が、おかしい。違う?」
休みなしで働かされて鬱憤が溜まっているのだ。
八つ当たりの一つや、二つしたくなる。
「……済みません。仕事を詰め込み過ぎました」
漸く、アンナから謝罪の言葉を頂いた。
「悪いと思っているなら、私も容子の最終試験に参加する。容子は、私に書類仕事を押し付けるつもりだったんでしょう。却下したら、今みたいにストライキ起こすから」
意図して仕事しません宣言をしたら、アンナは大きな溜息を吐いた。
「どこからそんな情報を仕入れてくるんですか」
「言うわけないじゃん。商人の情報網を教える気はない」
「分かりました。でも、最終試験でも書類仕事はして貰いますからね」
「アンナもするならな」
ニッコリと笑みを浮かべて言い返したら、彼女は顳顬をグリグリ押さえながら大きな溜息を吐かれた。
ダメとは言ってこない。
これは、了承したと取って良いだろう。
暫くぶりの実践に、やる気がちょっと出た。
最終試験が楽しみだ。
の声と共にバンッとドアが開き、容子が入室してきた。
イラッときたので、思わず容子に向かってボールペンと投げつけたらヒラリと交わされた。
当たれば少しは気がまぎれたのに、そのまま当たれよクソがっ。
「ノックしてから入れや、カスめっ!」
私の暴言は何のその、容子は床に落ちたボールペン拾い手渡して言った。
「王都内に幾つかヤバイ物件があるでしょう? 二十軒ほど確保して回して欲しいんだけど」
「王都内限定なら二十軒もないっつーの」
「んー…なら、地方でも構わんよ。計画が少し前倒しになるけど、問題無いし。土地の買い上げと併せて、神社建てる交渉してね、お姉ちゃん♡」
「嫌だ。自分で動け。私は、目の前の仕事で手一杯です」
この状況を見て言っているのか?
山積みの書類と格闘している私の姿を見て言っているなら、容子をぶっ飛ばす。
容子の提案を斬って捨てると、アンナが超良い笑顔で言った。
「何を言っているんですか! 天照大御神様の神社建設と布教を全国でしたいと言ってたではありませんか! 大丈夫ですよ、容子様。貴族の伝手はありますので、私達で整えて明々後日にでも決済済みの書類をお渡ししますね」
私の許可を取ることなく決定事項として通達された。
アンナを恨みがましく見ても許されると思う。
「社長は私なのに……。私だって全国津々浦々回って遊びた……じゃなかった。強化訓練するなら、各地域の現状や準備に私が参加しても良いでしょう!」
思わず本音が零れそうになってしまった。
書類責めで部屋に缶詰は、沢山だ。
書類と格闘したくない!!
「宥子、お前は書類の決裁で部屋から出られないじゃん。アンナが同行して交渉すれば事足りる。大体、神社に仕える者を餞別する試験になるんだから。関係ない奴は、部屋で大人しく事務仕事に勤しんどけ。これで、合格者が出れば私の後任が誕生するんだから。こっちは期待が、大きいんだよ!」
書類裁け、仕事しろと言われ、年甲斐もなく机にへばり付き泣いた。
「どこを見ても書類の山! 執務室に折り畳みベッドを置いて仕事している社長なんて聞いたことがないよ」
「泣き言は要らん。自分で選択した道でしょうが。どうでも良いけど、書類仕事から逃げるなよ」
容子がクイっと指で後ろを指すので振り返ってみると、アンナがハリセンをパシンパシンとしながら笑っている。
「ヒィィィイッ!!!」
思わず悲鳴を上げてしまった。
容子に助けを求める視線を送るが、無視して退室されてしまった。
容子の馬鹿!!
私の盾になってから出ていけばいいのに。
「宥子様、我がままも程々になさらないと給与カットですよ?」
全権渡すと言った傍から、給与をしっかりと握られている。
忙しくてお金を使う暇もなく貯まる人の気持ちが今なら分かる気がする。
物欲とか言っている次元じゃない。
「……はい」
最近ゲームもしてないし、本も読んでない。
読み物と言えば書類か、アンナが購読している新聞くらいだ。
娯楽がない。
新聞は良い暇つぶしにはなるし、情勢が分かるので欠かさず読んでいるが楽しくない。
私は、渋々と、そして粛々と書類を捌く捌く。
捌いても捌いても減らない書類が憎い。
「ルーシーとキャロルにも、書類を手伝って貰ったらダメなの?」
「彼女達には、彼女達に合った書類回してます。私も手伝っているでしょう」
「それにしては、何でこんなに多いのさ」
「それは、宥子様が思い付きで色々やらかしてくれてるからでは?」
身も蓋もない答えが返ってきた。
地味に凹むわ。
「思い付きなら、容子がアンナ経由で色々な催事を持ち込んでるよね。それは、どうなんよ? 美味しいところだけ掠め取って、書類仕事だけ回すってどうなの?」
「私は、商人ですよ。商機は、逃しません」
「容子の奴、私に許可を取れよ! 私に言ったら、予算が下りないの分かっているからアンナを通しているんだろうけど。それでも! お金になりそうという理由で、ホイホイ受けてるのは違うと思う」
「何の事でしょうか?」
知ってるんだぞと睨めば、ニッコリと笑顔で返されたが内心動揺しているのが手に取るように分かる。
「これは、労働基準法違反だよ。これ以上働かせるなら、休憩います!」
紅唐白を連れて、日本の自宅へ引き籠った。
パンジーに誰も日本に通すなと命じ、スマートフォンの電源を落として自室でゴロゴロした。
見たかったアニメを一気見し、お菓子とジュースを飲み食いしながら、ルームウエアで漫画を読む。
日本時間で一日経った頃に、サイエスへ戻った。
「宥子様、いきなり居なくなるなんて!!」
「一時間ほど席外しただけでしょう。休憩ぐらい取らせろ」
馬車馬のように扱き使うなら、程よい休憩くらい取らせてくれても良いんじゃなかろうか。
「大体、容子みたいに、仕事ほっぽり出して逃亡してないし。私は日本で休憩を満喫してただけ。サイエスの一時間ほどだ。何か問題でもある? Cremaが採用時に提示している昼休憩は、社長の私にも適用される。されない方が、おかしい。違う?」
休みなしで働かされて鬱憤が溜まっているのだ。
八つ当たりの一つや、二つしたくなる。
「……済みません。仕事を詰め込み過ぎました」
漸く、アンナから謝罪の言葉を頂いた。
「悪いと思っているなら、私も容子の最終試験に参加する。容子は、私に書類仕事を押し付けるつもりだったんでしょう。却下したら、今みたいにストライキ起こすから」
意図して仕事しません宣言をしたら、アンナは大きな溜息を吐いた。
「どこからそんな情報を仕入れてくるんですか」
「言うわけないじゃん。商人の情報網を教える気はない」
「分かりました。でも、最終試験でも書類仕事はして貰いますからね」
「アンナもするならな」
ニッコリと笑みを浮かべて言い返したら、彼女は顳顬をグリグリ押さえながら大きな溜息を吐かれた。
ダメとは言ってこない。
これは、了承したと取って良いだろう。
暫くぶりの実践に、やる気がちょっと出た。
最終試験が楽しみだ。
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