琴陵姉妹の異世界日記

もっけさん

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ハルモニア王国 王都

97.新たな下僕が出来ました

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 面接しつつ、工事の調整に日々忙しく齷齪あくせく働いている。
 容子まさこは、美容部員育成に乗り出していた。
 名付けて『Beauty部隊』である。
 ダサいネーミングだとは、口が裂けても言えなかった。
 構成員は、イザベラ、ルーシー、キャロル、マリー、レナ、イーリン、ヘレンの七名である。
 イザベラの化粧は才能なしと中間報告を受けたので、早々に戦力外通知を叩きつけた。
 しかし、容子まさこは諦めなかった。
 彼女がコスプレにハマったのをチャンスと捉え、〇〇風メイクと言えば完璧に仕上げる腕を披露した。
 これは、棚から牡丹餅が落っこちて来た衝撃を受けた。
 洗髪とヘッドマッサージしか取り柄がないと思ったのに、やれば出来る子だったのね!
 感動して、ちょっぴり涙が出たよ。
 Beauty部隊あらためコスメ部隊は、Your Tubeで日本のメイク術を習得しメキメキと技を磨いている。
 そんなコスメ部隊に対し、容子まさこが新しい制服を作成していた。
 しかも可愛い!!
 クレクレしたら一瞥からの無視を決め込まれ、市場調査の視察と称してイーリンを連れて外出されたが、諦める私ではない!
 服飾部門の採用権(一部)をぶら下げて、制服を強奪しましたとも。
 市場調査から戻ってきた容子まさこの鞄から出てきた白蛇の赤ちゃんに、私は思わずテンションが上がった。
 そう、可愛かったのだ!!
 赤白や紅白よりも小さい蛇ちゃんだ。
「キャァァアアッ♡ 何よ、この可愛い子ちゃん!」
「市場調査してた時に拾った」
 鑑定すると青大将と出た。
 アルビノの青大将とは、また珍しいものを拾って来たものだ。
「紅白が、家に来た時くらいの大きさだねぇ。スベスベしてテラ可愛ゆす♡」
「あんまり構ったら嫌がるから止めとけ」
容子まさこに止められた。
 思わずハッスルして頬擦りしちまったぜ。
「名前は?」
「うん、白に朱色と書いて白朱はくしゅちゃん」
「珍しくまともな名前だね。蛇達の名前に関連して、同じ赤と白かぁ~。容子まさこにしては、マシなネーミングだと思うよ」
 グッと親指を立てて褒めたのに、ハリセンで頬を打たれた。
 それも思いっきり。
 ハリセンの軌道と同じ方向に、ゴロゴロと回転して壁に激突した。
「何すんのさ!! 褒めたったのに!」
「どこがだ! 全然褒めてないわっ。寧ろ貶してるだろうがっ。私のネーミングセンスが悪いって言うんか!?」
 え? 自覚無かったの?
「縁起でもない名前を付けようとしたりするし。野良猫に納豆とか付けたりする奴に言われたくない」
 過去の所業を振り返って導き出される答えが、壊滅的なネーミングセンスだということだけだ。
「納豆が好きな猫だったから、納豆って呼んだけだもん! 私は、ネーミングセンス悪くない!!」
 ネーミングセンスがある(自称)と主張されても、過去の名付けは消えないのだよ。
「ハイハイ、ワロスワロス。で、白朱ちゃんも契約テイムするよ」
「私が拾ったのにぃ! 赤白ちゃんも紅白ちゃんも私のなのに! 何でもかんでも契約テイムすんな。馬鹿ぁぁ」
 誰がお前のだ!
 世話の一つもしない無責任野郎が、言っていい言葉じゃない。
「じゃかあしい。琴陵ことおか家のルールは私! お前に権限はない。それに、契約テイムしなかったら念話が使えないでしょう。どうやって意思疎通を図る気だ」
「くっ……確かに」
 私の言葉に渋々ながら頷いた。
「んじゃ、契約テイムするよ~。ステータスオープン」
 契約テイムしますかの表示にYESを選択し、名前をタップして白朱はくしゅと入力する。
 両手に収まる白朱はくしゅのスータスを見ると、幸運と速度以外はしょぼかった。

 ---------STATUS---------
名前:白朱はくしゅ
種族:蛇/アルビノのアオダイショウ(幼体)
レベル:1
年齢:0歳
体力:1
魔力:1
筋力:10
知能:15
速度:281
幸運:3872
■スキル:丸飲み1・絞め殺し1
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化]
■称号:宥子ひろこの従魔・癒しのマスコット
■加護:須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命
■pt統合
-------------------------------

 やっぱり赤ちゃんなのね。
 念話1を取らせてみた。
白朱はくしゅちゃん、分かるかな? これから宜しくね~」
 白朱はくしゅに声を掛けると、チロチロと舌を出しみょーんと体を延ばして頭を上下に振っている。
 一応、私の言葉は理解出来ているようだが、白朱はくしゅからは何も聞こえてこない。
 これは、楽白と同じと考えるべきか。
 何はともあれ、無事契約テイムで来たので良しとしよう。
白朱はくしゅの面倒は、誰かに見て貰おう……」
 私も容子まさこも仕事があるし、アンナも新人教育の真っただ中だ。
 他の連中もそれぞれ仕事をして貰っているし、う~ん。
 そうこう悩んでいたら、
<わいらが面倒みたるで~>
<サクラも面倒みるですの~>
 いつの間に現れたのかカルテットが、白朱はくしゅに絡みだしている。
 カルテットに面倒みさせたら、それこそ性格がデンジャラスになりそうなんだけど……。
容子まさこ、どう思う?」
「ちょっと……いや、大分心配だけど面倒見る人が居ないからなぁ。任せてみたらどう? 逐一報告する条件で面倒見させよう。楽白の情操教育にもなるし」
と何とも楽観的な返事をされた。
 カルテットのような破天荒っぷりな性格にはならないで欲しいが、人でも居ないので任せするしかないか。
「じゃあ、カルテットに白朱はくしゅちゃんを任せるよ。ちゃんと面倒見てね」
<おう、任せとき>
<ちゃんと一人前の蛇にしたるわ>
<サクラもお世話するですの~>
 各々自信満々にお世話を安請け合いしている。
 キシャーキシャーと鳴きながら、変な踊りを披露している楽白を見て、後輩が出来て嬉しいんだねと心の中で思った。
 白朱をカルテットに預けて、仕事だと思考を切り替える。
 暴走集団カルテットからクインテットに変わるのは、そう時間は掛からなかったと後に容子まさこが泣きながら語った。
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