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ハルモニア王国 王都
80.運再分配と奴隷達のステータス
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リビングに集まった奴隷達全員に、サクラに頼んで完全治癒を掛けて貰った。
「奴隷諸君は、これから私と誓約魔法を結んで貰います。拒否権は無いからね」
私の言葉に、奴隷一同顔色が悪い。
悪い方向に取ったみたいだ。
「ああ、言い方が悪かったね。君らは、私の従業員として働いてもらう。奴隷ではなく、対等な人間として働いて貰う。ただ、私らの諸事情で誓約魔法を掛けないと不都合があるんだ。ここまでは理解した?」
確認も込めて、一旦言葉を切り奴隷達の反応を見る。
ホッと安堵した顔をしているので、話を続けた。
「私は、主に基礎化粧品や香辛料を扱った商売してます。手が足りないので、君達を買いました。日当は金貨1枚。週一日休み。女性は、生理休暇・産休・育児休暇あり。病気や怪我は、無料で治すので安心してね。事業が安定したら、年二回の臨時収入も出します。社員旅行は、今のところは考えてないかな。残業・休日出勤した場合、金貨2枚支給します。他にも各種手当も用意してます。家族は広い部屋を独身連中は、個室が与えられます。食費やその他諸々は、全部私が負担するので気にしなくて良い。ここまでで、異論のある人は?」
奴隷達の顔を見ると、特に異論はなさそうだ。
「誓約魔法の内容は、『私達に関するあらゆる情報を漏らさない。裏切らない。絶対服従』です。殺生与奪は、私が握ることになる。裏切ったら、魂ごと消滅するから注意してね。因みに、そこにいるアンナとイザベラ、後ここには居ないがワウルも誓約魔法で縛ってます。では、先輩から一言どうぞ」
とアンナに振ると、
「殺生与奪と言ってますが、全然気にすることないですよ。寧ろ、受けた方が恩恵が大きいですし、何より衣食住に困らず新商品や新作をいち早く手に入れられます! 仕事もやった分だけ稼げます! 自由も多いですし、何より面白いです」
何が? と思わず突っ込みたくなるようなアンナのアピールに、奴隷一同が戸惑っている。
「あの……本当に、奴隷にお給金が払われたり、病気になっても治して貰えるのでしょうか?」
奴隷の一人が、挙手をしておずおずと質問してきた。
「私、神聖魔法持ちだよ。薬師ギルドのCランカーだから、即死効果のある呪いや怪我・毒でない限りは対応できるから。それに、私より従魔のヒールスライムは、完全治癒使えるので死ななければどうにでも出来るよ?」
その言葉に、全員が私との誓約魔法を承諾した。
一人一人誓約魔法で縛っていき、終わったのが一時間も後で既にお疲れモードです。
「早速、自己紹介していこうか。ステータス見せて貰うよ。名前と特技と挨拶して頂戴。一人三十秒で宜しく。はい、一番右の人から」
長くても面倒臭いので、持ち時間三十秒という無茶ぶりを振ってみたら皆ちゃんと応えてくれた。
「私は、ルーシーと言います。十八歳です。流行り病で亡くなった親の借金の肩代わりに奴隷落ちしました。私も病にかかり、死を待つばかりでした。特技は暗記です。ヒロコ様ありがとう御座います」
「私は、キャロルと申します。三十二歳です。商売に失敗して借金が返せずに奴隷落ちしました。奴隷として働いている最中に大怪我をし、満足な手当もされずあの部屋に入れられました。特技は暗算です。土魔法が得意です」
「ボブと言います。二十一歳です。今は亡き妻の度重なる治療で借金をし、奴隷になりました。特技はありません」
「俺は、イスパハン。二百歳。見ての通りドワーフだ。鍛冶をしていたが、取引相手に騙されて奴隷落ちした。鍛冶が得意だ。素材さえあれば、何でも作れるぜ」
「僕は、チルドルです。十歳です。元々身体が弱くて、僕の病気を治すために両親が無理をして神官様にポーション貰ったり、神聖魔法を掛けて貰ったりしたのですが回復できず一家で奴隷落ちしました。僕は、あそこで死ぬと思ってました。こんな綺麗な服を着て身体も楽になって凄く嬉しいです。ヒロコ様への恩は一生かけても返します。特技はないです」
「私はマリーと申します。二十五歳です。チルドルの母です。特技は料理です。息子を助けて下さり、一家全員を買って下さり本当にありがとう御座います。この御恩は忘れません」
涙を浮かべながら深々と頭を下げるマリー一家に、私はポリポリと頬をかいた。
慈善事業で助けたわけではなく、スキルとかを見て買っただけなので泣きながら恩に着られても困る。
「私はジョンと申します。年は、二十九歳。チルドルの父です。特技は芝刈りです。体力には自信があります。マリー同様、ヒロコ様本当にありがとう御座います。生涯この御恩は忘れません」
重い! 重すぎるっ!! 次!
「ハンスだ。ドラゴニュートだ」
え? それだけ? 特技とか奴隷になった経緯とか言ってよと突っ込んだら、教えてくれました。
「セブールで受けたBランクの依頼が、実際はAランクで依頼失敗による違約金が発生して奴隷落ちした」
「ちょっと待て! 何で違約金が発生するんじゃ!! そこは、ギルドの責任でしょうが」
「そう言ったが、聞き入れられなかった」
理不尽な奴隷落ちに怒ると、冷静に返された。
どこまで腐っているんだ。ダリエラ潰す!
絶対潰してやる!!
「ヒロコ様、心の声が駄々洩れですよ」
「はっ! ごめん、ごめん。つい、あの糞アマの事を思い出したら潰したくなってしまったわ。えっと、次に行こうか」
「ニックです。ハンスとパーティを組んでました。俺も違約金による奴隷落ちです。戦闘で負傷し、満足な治療もされずに放置されてました。槍が得意です」
「レナよ。私もハンスと同じパーティを組んでたの。違約金による奴隷落ちね。戦闘で片足を負傷し、膿んでしまって直して貰うことなくあの部屋に居たわ。双剣使いよ」
「イーリンです。ハンスと同じでパーティで違約金による借金奴隷になりました。ヒーラーでしたが、奴隷の制約でヒールが使えず娼館奴隷になるところでした」
「ヘレンです。ハンスと同じパーティで違約金による借金奴隷になりました。戦闘中の負傷であの部屋にいました。付与魔法が得意です」
「ジャックだ。あんたに隠しても仕方がないから言っておく。俺は、魔族と人間のハーフだ。母親が俺を隠し育ててくれたが、半魔族ってバレて村の奴らに売られた。奴隷として働いている途中で、魔力枯渇症を起こしてあの部屋に入っていた」
彼らの話を聞いていると、皆さん壮絶な過去をお持ちですね。
おばちゃん、泣けてきたよ。
「大丈夫! 私が皆の面倒を見るからね! 自分の家と思って過ごしなさい」
お待ちかねのステータスチェックのお時間です。
奴隷達のステータスを丸裸にします!
---------STATUS---------
名前:ルーシー
種族:人族[サイエス人]
レベル:3
年齢:18歳
体力:8
魔力:284
筋力:12
防御:11
知能:946
速度:11
運 :21
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法6・火魔法1(中級)・暗記82
■ギフト:なし[全言語能力最適化]・[拡張空間ホーム共有化]
■称号:親孝行・商人の卵[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:キャロル
種族:人族[サイエス人]
レベル:9
年齢:32歳
体力:156
魔力:528
筋力:106
防御:84
知能:528
速度:68
運 :102
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:料理10・裁縫16・家事61・土魔法7・暗算38
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称 号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ボブ
種族:人族[サイエス人]
レベル:3
年齢:21歳
体力:31
魔力:3
筋力:7
知能:7
速度:112
運 :3
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法1
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:俊足・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:イスパハン
種族:ドワーフ
レベル:48
年齢:200歳
体力:1400
魔力:801
筋力:5432
知能:187
速度:129
運 :91
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:鍛冶62
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:元王室御用達鍛冶・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:チルドル
種族:人族[サイエス人]
レベル:1
年齢:10歳
体力:2
魔力:910
筋力:3
知能:253
速度:12
運 :1
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:なし
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:マリー
種族:人族[サイエス人]
レベル:7
年齢:25歳
体力:31
魔力:3423
筋力:5
知能:234
速度:12
運 :20
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:料理58・生活魔法∞
■ギフト:生活魔法の達人・なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ジョン
種族:人族[サイエス人]
レベル:15
年齢:29歳
体力:431
魔力:3
筋力:507
知能:72
速度:112
運 :10
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:芝刈り∞・片手斧60
■ギフト:[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ハンス
種族:ドラゴニュート
レベル:79
年齢:122歳
体力:14431
魔力:278
筋力:33507
知能:472
速度:1312
運 :2
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:超再生∞・ドラゴンブレス8・龍化2・剣術35
■ギフト:竜王の加護・[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:レナ
種族:人族[サイエス人]
レベル:78
年齢:19歳
体力:20831
魔力:310
筋力:8740
知能:272
速度:112
運 :4
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法1・盾75・片手剣35
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:鉄壁・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ニック
種族:人族[サイエス人]
レベル:76
年齢:26歳
体力:548
魔力:564
筋力:540
知能:572
速度:512
運 :5
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法20・罠10・鍵開け7・抜き足36
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:イーリン
種族:人族[サイエス人]
レベル:82
年齢:17歳
体力:148
魔力:34564
筋力:54
知能:572
速度:72
運 :2
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:神聖魔法29
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:聖女候補・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ヘレン
種族:ドルイド
レベル:92
年齢:187歳
体力:348
魔力:64564
筋力:254
知能:1725
速度:72
運 :0
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:付与魔法77
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ジャック
種族:半魔人
レベル:9
年齢:12歳
体力:200
魔力:4708
筋力:120
知能:444
速度:191
運 :353
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:隠蔽3・変化5
■ギフト:なし・[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:聖女候補・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
-------------------------------
うん、壮観だね。
全員が訳アリかつ、縛りプレイなのはデフォなのだろうか。
というか、運が0の人もいるんだけど!!
よく生きてこれたね。
皆のギフトに全言語能力最適化が付いている。
一々スキルで取得させるよりは楽だが、ギフトで付与されているのが気になる。
これは、日本の神様が介入した……なんて、そんなわけないよね!
「取敢えず、自己紹介も終わったし仕事の振り分けとかは追々やるとして。まずは、皆の運を均等にしたいと思います!」
<容子、例の奴持ってきて>
<了解>
念話で容子を呼び出すと、突如部屋のど真ん中に現れた容子に阿鼻叫喚となった。
「ハイハイ、落ち着いて! 容子、巫女の耳飾り改の盗難防止策は出来てるんだろうね?」
巫女の耳飾り改と容子の顔を交互に見て確認すると、フンッと鼻を鳴らして針を渡されて言われた。
「ちゃんと対策してるわ。魔石に血を流せば、所有者登録が完了する。万が一、外れて落としても壊れない限りは手元に戻ってくる仕様にしたから安心しろ」
「なら良いか。じゃあ、一人ずつ針と巫女の耳飾り改を受け取って所有者登録するように」
容子は、奴隷達に巫女の耳飾り改と針を手渡している。
「傷は、ポーションで治して良いよ」
コットンと下級ポーションをテーブルの上に置くと、容子以外は皆微妙な顔をしていた。
「それより、容子さんや。カルテットは、どうやって装備するつもりよ」
幸運値がずば抜けて高いカルテットが、装備出来なくては意味がない。
容子に質問すると、デカイ乳を揺らしながら胸を張って答えた。
「蛇達はチョーカーにしたし、楽白とサクラは体に取り込んでるから無問題」
「さよか」
色々な意味で大丈夫じゃない気がするのは、何故だろう。
ここにきて私の精神が、根こそぎそぎ落とされた気分だよ。
巫女の耳飾り改を作る元凶が、ボソッと呟いた。
「もっと可愛いのが良かった」
「イザベラ、お前の可愛いは世界の基準から逸れている事に気付け」
と容子が、バッサリと切り捨てた。
バッサリと切り捨てられたのが不服なのか、イザベラは私を見た。
私は目を反らしながら、言葉を濁しながら傷つけないようにオブラートを何重にも掛けて説明してみた。
「その、な…イザベラ、アンタの趣味は万人受けしないの」
「そんなことないもん」
しかし、イザベラには通用しなかった!
どうやって納得させて着けさせるか考えていたら、
「イザベラの趣味は悪いんです。文句言わずに装着しなさい。これは、貴女の不運を幸運に変えるアイテムなんですよ。本当なら売りたいのに……」
ズバッと躊躇いもなく言えるアンナ凄いわ。
でも、売らないからね!
てか、売れないからね!!
宥め賺して巫女の耳飾り改を着けた事で、私の目の前に『幸運のポイント再分配しますか?』と表示された。
YESを選択したら、皆の身体がピカっと一瞬光った。
それだけ? と首を傾げた私と容子は、顔を見合わせる。
ちゃんと再分配されているか全員のステータスを確認したら、
「おぉ!! ちゃんと再分配されてる! これで悪運666も無くなったわ。ん? 何か新しいスキルが発生しているんだけど?」
興奮気味にステータスを見せると、容子も驚いていた。
「金運のスキルがある! 取得金2倍って凄いじゃん! 容子よくやった!!」
「本当です。全員に金運スキルが付与されてますよ! これでモンスター狩りまくってお金を貯めましょう!」
明日は狩りの日にしましょうと、アンナは鼻歌を歌っている。
相変わらずアンナは、お金が関わると人が変わるね。
「……明日は狩りか」
「良いんじゃない? 腕試し兼レベル上げってことで、何件か依頼を受けようよ」
おーと気合を入れるアンナさんと容子を他所に、私はは反対する気力も無く、グッタリとソファーに沈んだ。
「奴隷諸君は、これから私と誓約魔法を結んで貰います。拒否権は無いからね」
私の言葉に、奴隷一同顔色が悪い。
悪い方向に取ったみたいだ。
「ああ、言い方が悪かったね。君らは、私の従業員として働いてもらう。奴隷ではなく、対等な人間として働いて貰う。ただ、私らの諸事情で誓約魔法を掛けないと不都合があるんだ。ここまでは理解した?」
確認も込めて、一旦言葉を切り奴隷達の反応を見る。
ホッと安堵した顔をしているので、話を続けた。
「私は、主に基礎化粧品や香辛料を扱った商売してます。手が足りないので、君達を買いました。日当は金貨1枚。週一日休み。女性は、生理休暇・産休・育児休暇あり。病気や怪我は、無料で治すので安心してね。事業が安定したら、年二回の臨時収入も出します。社員旅行は、今のところは考えてないかな。残業・休日出勤した場合、金貨2枚支給します。他にも各種手当も用意してます。家族は広い部屋を独身連中は、個室が与えられます。食費やその他諸々は、全部私が負担するので気にしなくて良い。ここまでで、異論のある人は?」
奴隷達の顔を見ると、特に異論はなさそうだ。
「誓約魔法の内容は、『私達に関するあらゆる情報を漏らさない。裏切らない。絶対服従』です。殺生与奪は、私が握ることになる。裏切ったら、魂ごと消滅するから注意してね。因みに、そこにいるアンナとイザベラ、後ここには居ないがワウルも誓約魔法で縛ってます。では、先輩から一言どうぞ」
とアンナに振ると、
「殺生与奪と言ってますが、全然気にすることないですよ。寧ろ、受けた方が恩恵が大きいですし、何より衣食住に困らず新商品や新作をいち早く手に入れられます! 仕事もやった分だけ稼げます! 自由も多いですし、何より面白いです」
何が? と思わず突っ込みたくなるようなアンナのアピールに、奴隷一同が戸惑っている。
「あの……本当に、奴隷にお給金が払われたり、病気になっても治して貰えるのでしょうか?」
奴隷の一人が、挙手をしておずおずと質問してきた。
「私、神聖魔法持ちだよ。薬師ギルドのCランカーだから、即死効果のある呪いや怪我・毒でない限りは対応できるから。それに、私より従魔のヒールスライムは、完全治癒使えるので死ななければどうにでも出来るよ?」
その言葉に、全員が私との誓約魔法を承諾した。
一人一人誓約魔法で縛っていき、終わったのが一時間も後で既にお疲れモードです。
「早速、自己紹介していこうか。ステータス見せて貰うよ。名前と特技と挨拶して頂戴。一人三十秒で宜しく。はい、一番右の人から」
長くても面倒臭いので、持ち時間三十秒という無茶ぶりを振ってみたら皆ちゃんと応えてくれた。
「私は、ルーシーと言います。十八歳です。流行り病で亡くなった親の借金の肩代わりに奴隷落ちしました。私も病にかかり、死を待つばかりでした。特技は暗記です。ヒロコ様ありがとう御座います」
「私は、キャロルと申します。三十二歳です。商売に失敗して借金が返せずに奴隷落ちしました。奴隷として働いている最中に大怪我をし、満足な手当もされずあの部屋に入れられました。特技は暗算です。土魔法が得意です」
「ボブと言います。二十一歳です。今は亡き妻の度重なる治療で借金をし、奴隷になりました。特技はありません」
「俺は、イスパハン。二百歳。見ての通りドワーフだ。鍛冶をしていたが、取引相手に騙されて奴隷落ちした。鍛冶が得意だ。素材さえあれば、何でも作れるぜ」
「僕は、チルドルです。十歳です。元々身体が弱くて、僕の病気を治すために両親が無理をして神官様にポーション貰ったり、神聖魔法を掛けて貰ったりしたのですが回復できず一家で奴隷落ちしました。僕は、あそこで死ぬと思ってました。こんな綺麗な服を着て身体も楽になって凄く嬉しいです。ヒロコ様への恩は一生かけても返します。特技はないです」
「私はマリーと申します。二十五歳です。チルドルの母です。特技は料理です。息子を助けて下さり、一家全員を買って下さり本当にありがとう御座います。この御恩は忘れません」
涙を浮かべながら深々と頭を下げるマリー一家に、私はポリポリと頬をかいた。
慈善事業で助けたわけではなく、スキルとかを見て買っただけなので泣きながら恩に着られても困る。
「私はジョンと申します。年は、二十九歳。チルドルの父です。特技は芝刈りです。体力には自信があります。マリー同様、ヒロコ様本当にありがとう御座います。生涯この御恩は忘れません」
重い! 重すぎるっ!! 次!
「ハンスだ。ドラゴニュートだ」
え? それだけ? 特技とか奴隷になった経緯とか言ってよと突っ込んだら、教えてくれました。
「セブールで受けたBランクの依頼が、実際はAランクで依頼失敗による違約金が発生して奴隷落ちした」
「ちょっと待て! 何で違約金が発生するんじゃ!! そこは、ギルドの責任でしょうが」
「そう言ったが、聞き入れられなかった」
理不尽な奴隷落ちに怒ると、冷静に返された。
どこまで腐っているんだ。ダリエラ潰す!
絶対潰してやる!!
「ヒロコ様、心の声が駄々洩れですよ」
「はっ! ごめん、ごめん。つい、あの糞アマの事を思い出したら潰したくなってしまったわ。えっと、次に行こうか」
「ニックです。ハンスとパーティを組んでました。俺も違約金による奴隷落ちです。戦闘で負傷し、満足な治療もされずに放置されてました。槍が得意です」
「レナよ。私もハンスと同じパーティを組んでたの。違約金による奴隷落ちね。戦闘で片足を負傷し、膿んでしまって直して貰うことなくあの部屋に居たわ。双剣使いよ」
「イーリンです。ハンスと同じでパーティで違約金による借金奴隷になりました。ヒーラーでしたが、奴隷の制約でヒールが使えず娼館奴隷になるところでした」
「ヘレンです。ハンスと同じパーティで違約金による借金奴隷になりました。戦闘中の負傷であの部屋にいました。付与魔法が得意です」
「ジャックだ。あんたに隠しても仕方がないから言っておく。俺は、魔族と人間のハーフだ。母親が俺を隠し育ててくれたが、半魔族ってバレて村の奴らに売られた。奴隷として働いている途中で、魔力枯渇症を起こしてあの部屋に入っていた」
彼らの話を聞いていると、皆さん壮絶な過去をお持ちですね。
おばちゃん、泣けてきたよ。
「大丈夫! 私が皆の面倒を見るからね! 自分の家と思って過ごしなさい」
お待ちかねのステータスチェックのお時間です。
奴隷達のステータスを丸裸にします!
---------STATUS---------
名前:ルーシー
種族:人族[サイエス人]
レベル:3
年齢:18歳
体力:8
魔力:284
筋力:12
防御:11
知能:946
速度:11
運 :21
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法6・火魔法1(中級)・暗記82
■ギフト:なし[全言語能力最適化]・[拡張空間ホーム共有化]
■称号:親孝行・商人の卵[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:キャロル
種族:人族[サイエス人]
レベル:9
年齢:32歳
体力:156
魔力:528
筋力:106
防御:84
知能:528
速度:68
運 :102
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:料理10・裁縫16・家事61・土魔法7・暗算38
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称 号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ボブ
種族:人族[サイエス人]
レベル:3
年齢:21歳
体力:31
魔力:3
筋力:7
知能:7
速度:112
運 :3
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法1
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:俊足・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:イスパハン
種族:ドワーフ
レベル:48
年齢:200歳
体力:1400
魔力:801
筋力:5432
知能:187
速度:129
運 :91
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:鍛冶62
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:元王室御用達鍛冶・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:チルドル
種族:人族[サイエス人]
レベル:1
年齢:10歳
体力:2
魔力:910
筋力:3
知能:253
速度:12
運 :1
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:なし
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:マリー
種族:人族[サイエス人]
レベル:7
年齢:25歳
体力:31
魔力:3423
筋力:5
知能:234
速度:12
運 :20
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:料理58・生活魔法∞
■ギフト:生活魔法の達人・なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ジョン
種族:人族[サイエス人]
レベル:15
年齢:29歳
体力:431
魔力:3
筋力:507
知能:72
速度:112
運 :10
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:芝刈り∞・片手斧60
■ギフト:[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ハンス
種族:ドラゴニュート
レベル:79
年齢:122歳
体力:14431
魔力:278
筋力:33507
知能:472
速度:1312
運 :2
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:超再生∞・ドラゴンブレス8・龍化2・剣術35
■ギフト:竜王の加護・[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:レナ
種族:人族[サイエス人]
レベル:78
年齢:19歳
体力:20831
魔力:310
筋力:8740
知能:272
速度:112
運 :4
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法1・盾75・片手剣35
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:鉄壁・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ニック
種族:人族[サイエス人]
レベル:76
年齢:26歳
体力:548
魔力:564
筋力:540
知能:572
速度:512
運 :5
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:生活魔法20・罠10・鍵開け7・抜き足36
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:イーリン
種族:人族[サイエス人]
レベル:82
年齢:17歳
体力:148
魔力:34564
筋力:54
知能:572
速度:72
運 :2
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:神聖魔法29
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:聖女候補・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ヘレン
種族:ドルイド
レベル:92
年齢:187歳
体力:348
魔力:64564
筋力:254
知能:1725
速度:72
運 :0
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:付与魔法77
■ギフト:なし[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:なし[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
---------STATUS---------
名前:ジャック
種族:半魔人
レベル:9
年齢:12歳
体力:200
魔力:4708
筋力:120
知能:444
速度:191
運 :353
■装備:白シャツ・スラックスパンツ・スリッパ
■スキル:隠蔽3・変化5
■ギフト:なし・[拡張空間ホーム共有化][全言語能力最適化]
■称号:聖女候補・[宥子の従魔(誓約魔法試行中)]
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命・阿迦留姫命]
[■pt統合]
-------------------------------
うん、壮観だね。
全員が訳アリかつ、縛りプレイなのはデフォなのだろうか。
というか、運が0の人もいるんだけど!!
よく生きてこれたね。
皆のギフトに全言語能力最適化が付いている。
一々スキルで取得させるよりは楽だが、ギフトで付与されているのが気になる。
これは、日本の神様が介入した……なんて、そんなわけないよね!
「取敢えず、自己紹介も終わったし仕事の振り分けとかは追々やるとして。まずは、皆の運を均等にしたいと思います!」
<容子、例の奴持ってきて>
<了解>
念話で容子を呼び出すと、突如部屋のど真ん中に現れた容子に阿鼻叫喚となった。
「ハイハイ、落ち着いて! 容子、巫女の耳飾り改の盗難防止策は出来てるんだろうね?」
巫女の耳飾り改と容子の顔を交互に見て確認すると、フンッと鼻を鳴らして針を渡されて言われた。
「ちゃんと対策してるわ。魔石に血を流せば、所有者登録が完了する。万が一、外れて落としても壊れない限りは手元に戻ってくる仕様にしたから安心しろ」
「なら良いか。じゃあ、一人ずつ針と巫女の耳飾り改を受け取って所有者登録するように」
容子は、奴隷達に巫女の耳飾り改と針を手渡している。
「傷は、ポーションで治して良いよ」
コットンと下級ポーションをテーブルの上に置くと、容子以外は皆微妙な顔をしていた。
「それより、容子さんや。カルテットは、どうやって装備するつもりよ」
幸運値がずば抜けて高いカルテットが、装備出来なくては意味がない。
容子に質問すると、デカイ乳を揺らしながら胸を張って答えた。
「蛇達はチョーカーにしたし、楽白とサクラは体に取り込んでるから無問題」
「さよか」
色々な意味で大丈夫じゃない気がするのは、何故だろう。
ここにきて私の精神が、根こそぎそぎ落とされた気分だよ。
巫女の耳飾り改を作る元凶が、ボソッと呟いた。
「もっと可愛いのが良かった」
「イザベラ、お前の可愛いは世界の基準から逸れている事に気付け」
と容子が、バッサリと切り捨てた。
バッサリと切り捨てられたのが不服なのか、イザベラは私を見た。
私は目を反らしながら、言葉を濁しながら傷つけないようにオブラートを何重にも掛けて説明してみた。
「その、な…イザベラ、アンタの趣味は万人受けしないの」
「そんなことないもん」
しかし、イザベラには通用しなかった!
どうやって納得させて着けさせるか考えていたら、
「イザベラの趣味は悪いんです。文句言わずに装着しなさい。これは、貴女の不運を幸運に変えるアイテムなんですよ。本当なら売りたいのに……」
ズバッと躊躇いもなく言えるアンナ凄いわ。
でも、売らないからね!
てか、売れないからね!!
宥め賺して巫女の耳飾り改を着けた事で、私の目の前に『幸運のポイント再分配しますか?』と表示された。
YESを選択したら、皆の身体がピカっと一瞬光った。
それだけ? と首を傾げた私と容子は、顔を見合わせる。
ちゃんと再分配されているか全員のステータスを確認したら、
「おぉ!! ちゃんと再分配されてる! これで悪運666も無くなったわ。ん? 何か新しいスキルが発生しているんだけど?」
興奮気味にステータスを見せると、容子も驚いていた。
「金運のスキルがある! 取得金2倍って凄いじゃん! 容子よくやった!!」
「本当です。全員に金運スキルが付与されてますよ! これでモンスター狩りまくってお金を貯めましょう!」
明日は狩りの日にしましょうと、アンナは鼻歌を歌っている。
相変わらずアンナは、お金が関わると人が変わるね。
「……明日は狩りか」
「良いんじゃない? 腕試し兼レベル上げってことで、何件か依頼を受けようよ」
おーと気合を入れるアンナさんと容子を他所に、私はは反対する気力も無く、グッタリとソファーに沈んだ。
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