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セブール
32.想定外の事態です
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宿のツインルームに問答無用で容子を押し込み、内鍵を閉めてホッと安堵の息が漏れる。
私は体の向きをくるりと変えて、容子と対峙するように腕を組み仁王立ちしている。
気分は、さながら尋問官のようである。
「愚昧よ、何でアンタがサイエスに来られているのよ? その時の状況を詳しく話しなさい」
私の質問に、容子は目を泳がせながら弁明した。
「玄関のドアを開けたら、サイエスに繋がってたんだよ!」
「その現象は、検証する必要がある。でも、問題はそこじゃないよね?」
話を逸らすんじゃないと黒い笑みで圧を掛けると、
「だって、私も冒険したかったんだもん! 目の前に、未知の世界があるんだよ。飛び込まずして、冒険家にはなれないよ」
と、ほざきやがった。
「冒険するために、サイエスを訪れているわけじゃないからね。出稼ぎの序でに、経験値を稼ぐために来てんの。更に言うと、私は誤召喚とはいえ正式に招かれてんの。容子は、裏技で押し掛けて来てることを自覚して。邪神が、それを察知して何か仕掛けてくるかもしれないでしょう」
昏々とお説教をかましたら、やっと大人しくなった。
「それで、セブールまでどうやって来たのさ。玄関の出現先は、近くの村を迂回して一時間以上バイクで走らないと到着出来ない距離がある。城門前まで乗ってきたとは、言わないよね?」
「流石に、そこまで馬鹿じゃないよ! 人と遭遇しないように、ちゃんと迂回してきたよ。モンスターを轢き殺したのは認めるけど、人とは遭遇しなかった」
「容子、結界魔法使えたっけ? 結界が張れないと、容子にもぶつかった時の衝撃があったでしょう」
「サクラちゃんほどの強い結界は無理だけど、簡易結界をなら聖魔法で張る事が出来るのだ。バイクは、ミラー部分が拉げたり、所々凹んだりしたけどね」
哀愁漂わせながら語る容子に、私は勝手な行動したことを咎めるべきか、原付バイクが廃車とまではいかないにせよ傷がついた事を慰めれば良いのか悩む。
「ドロップ品は、勿論回収したんだよね?」
「当たり前! 轢き殺したモンスターのドロップ品とお金でも足りないくらいの損失だよ。晴れて冒険者になった事だし、私もサイエスに滞在してガッポリ稼ぎますとも。新車を買うために!」
容子は、モンスターに駆逐されてしまえば良いのに。
如何せん、容子単身でサイエスに来られた原理を早急に解明しなければ。
毎度、私の預かり知らぬところで問題を起こして呼び付けられるのは勘弁だ。
「はぁ…。無事に合流出来たから良かったものの、そうじゃなかったらどうするつもりだったのさ」
「何とかなると信じてた! まずは、何故私単独でもサイエスに行けたのか。この謎を解くべきじゃない?」
「そうだね」
「あとさ、容子のアイテムボックスを共有するのは楽で良いんだけど。私の物とごっちゃになるから分けることは出来ない? 流石に、下着やハブラシとか共有したくないし」
確かに、今までは同じ袋に詰め込む要領で個別に分けることはしなかった。
「出来るかやってみる。その前に、容子はステータを確認したら? 多分、レベル上がっているだろうし」
「うん、それもそうだね。ステータスオープン」
---------STATUS---------
名前:マサコ(琴陵 容子)
種族:人族
レベル:47
職業:社畜
年齢:18歳[25歳]
体力:156→163
魔力:263→271
筋力:91→99
防御:78→84
知能:123→130
速度:53→59
運 :70→98
■装備:水色のAラインワンピース・ミュール・miun miunのリュック
■スキル:料理4・鍛冶1・射撃2・聖魔法1→3・生活魔法1・水魔法1・索敵3・隠蔽2[7]・隠密[7]・魔力操作1
■ギフト:なし[アイテムボックス共有化]
■称 号:[宥子の従魔・]蜂殺し・轢き逃げ
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■ボーナスポイント:18647pt]
---------------------------------
容子のステータスを確認したら、聖魔法のレベルが上がっている。
物騒な称号まで取得しているとは、一体どれだけのモンスターを轢いてきたんだ?
「フォルダ機能は、まだ解放出来ないわ。鍛冶スキルで、アイテムバッグ作ってみたら? 共有したくない分は、そこに入れれば良いと思うだけど」
「その提案は悪くないけど、アイテムバッグの容量を無限するのは無理でしょう? 作ってみるけど、多分失敗作も出ると思う」
「その辺は、私が売り捌くから安心しなさい」
アイテムバッグは、メジャーだが貴重な品であることには変わりない。
その手のアイテムは、ダンジョン報酬で得られる物ばかりだ。
仮に店で売っていたとしても、容量は少ない物が多いだろう。
萎びた布のショルダーバッグも買い替え時期だし、是非とも鍛冶スキルの練習台としてアイテムバッグの量産をして欲しいものである。
「鍛冶1→5まで上げてみた。後でアイテムバッグの試作品を作ってみる。フォルダ分けが出来るまでは、リュックの中に必要最低限の私物を入れることにするよ」
と言いながら、リュックバックの中から荷物を出している。
ベッドの上に置かれた物の中には、物騒な物がチラホラある。
財布とサングラスは、まだ分かる。
サバイバルナイフ・ハンマー・五寸釘は要らないだろう。
物騒過ぎやしないか、愚妹よ。
貴様は、それで普通に買い物とか行こうとしてたのか?
どこのキチ●イだよ!!
お前の行く先が、謎過ぎて怖いわ。
最後にエコバックをベッドの上に置き、空になったリュックに下着や歯磨きセット、化粧品などをアイテムボックスから取り出して入れている。
私は、容子がモンスターを狩ってドロップされたアイテムの確認をした。
ウルフの毛皮×21
ワーウルフの毛皮×5
キラービーの羽×31枚
キングホーネットの腕×3本
キングホーネットの羽×2枚
毒針×1個
黄色の魔石(小)×22個
青い魔石(小)×13個
紫の魔石(中)×1個
緑の魔石(大)×1個
キングホーネットの心臓1個
金貨29枚・銀貨12枚・銅貨81枚・青銅貨103枚
妹よ、……姉ちゃんは何も言えない。
私より運悪くないか?
紫と緑の魔石なんて初めて見た。
魔石の色や大きさによって買取金額が変わるのは知っているが、紫と緑は青い魔石よりも高く買い取って貰えるのだろうか?
それ以外にも、私が轢き殺してドロップしたアイテムを全部見るだけで、どれだけ縦にスクロールすれば良いんだ。
終わりが見えないのが辛い。
必要な時に、必要な物があれば良い。
アイテムボックスをカスタマイズ出来れば、色々と使い勝手は良くなるだろう。
こればかりは、解放条件を探して見つけるしかない。
「宥子、家に帰ろうか」
「そうだね。ここで作業してもあれだし、容子の衣装ケースをアイテムボックスに納めれば、下着云々は解決出来るんじゃない?」
「そう上手くいくかな?」
「衣装ケースにラベリングしておけば、大丈夫でしょう」
レオンハルトの紹介状という前例がある。
私の私物と容子の私物を明確に分けるのであれば、所有物をハッキリさせれば良い話だ。
取敢えず目的の1つは達成したし、一旦、家に帰ろう。
調味料を購入するために、買い出しにも行かないといけないからね。
私は、部屋の内鍵がきちんと閉まっていることを確認して自宅の鍵を取り出した。
「いつ見ても、不思議な光景だわ」
宙に浮かぶ自宅の玄関ドアを見て、容子がポツリと呟く。
「時期に慣れる。サイエスで私名義の家を購入したら、同じような事が出来るかもしれんね」
その時叩いた軽口が、後に本当になるとは、この時の私は想像だにしていたなかった。
「たっだいまー」
返事が返ってくることはないのは分かっているが、ただいまと言うのが習慣化している。
リビングに直行すると、そこは汚部屋になり果てていた。
物が散乱して、足の踏み場もない。
まさかとは思い、容子の部屋のドアを開けると腐海の森になっていた!
「この馬鹿!! 部屋を汚すんじゃねぇ!! 部屋の汚さは、心の醜さだ。共有部分は、綺麗に使えって何度言ったら分かる。掃除しろ。このスカポンタン!」
フンッと容子の尻を思いっきり蹴り飛ばし、散らかり放題の部屋に押し込んで放置する。
私は、物が散乱したリビングを片付けるべく動いた。
ママゾンから届いた箱を発掘した事で、少し機嫌が回復した。
待ち続けたんだよね。
雪国でも暖かく着れるコートが欲しくて探してたら、7980円と手頃価格で即決購入したダウンコート!
クーポンとポイントを駆使して、実質0円でGETしたよ!
ルンルン気分でコートをアイテムボックスの中に収納する。
アイテムボックスの共有化が可能になったのは喜ばしいことだが、私物と他人の物の区別が付かなくなるのは困る。
せめて、カテゴリー別で分けられないだろうか?
フォルダの作成は解放条件を満たしていないので無理だったが、カテゴリー別に分けることはあっさりと出来た。
ただし、所有権をハッキリと主張していない物は共有になるので私物に名前を書くか、私物を入れたケースに名前を書く必要がありそうだ。
「補充用の弾・充電機・日用品の予備が、宥子の部屋に置いてあるからアイテムボックスに仕舞ってね。ご飯系は、レンチンしてからアイテムボックスに入れる様に」
容子の指示に、へいへいと答えながらポンポンとアイテムボックスに荷物を放り込んでいく。
容子がいつの間にか自室に戻り、私はアイテムボックスの整理をして一息吐いていた。
「今回も結構な量だったから疲れた。お腹減ったぁ」
ぐったりとソファの上でダラダラしていると、ニュッと手が生えた。
「ん」
容子の手には、真新しいウェストポーチとタガーケースが握られている。
これはひょっとして、ひょっとしなくても私のか!?
撥水加工が施されたキャンパス地に契約カルテットの刺繍が小さくあしらってある。
小洒落た感が出て良いじゃん。
これなら、サイエスでも違和感がなく使えそうだ。
ナイス、妹よ!
「ありがとう」
「どういたしまして。今日は、手抜き料理です」
時短と称して手抜き料理を出されました。
容子曰く、サッパリ美味しいネバネバ丼に油揚げの味噌汁とサーモンサラダだ。
「あのさ、いつまで私のウェストポーチとタガーケースを弄ってんの?」
「私に渡してくれたじゃん。私のでしょう?」
「違うに決まってんだろーがっ! アイテムバッグが完成したから、鑑定して欲しくて渡しただけなのに! 何で勘違いしてんの?」
容子は、サッと私の手からウェストポーチとタガーケースを抜き取った。
それを装着し、小銭入れとスタンガン・化粧道具一式を詰めている。
ウエストポーチが膨らむ形跡はないので、自前でアイテムバッグを作ったようだ。
「アイテムボックスは隠しているから、アイテムバッグでなくて良いから鞄作ってよ」
私の生産系スキルは調合だけだ。
これは、無理矢理取らされたやつで自分から進んで取ったわけではない。
でも、鍛冶スキルを取得しても容子と同じクオリティの物が作れるとは思えない。
だって、センス皆無だもの。
「チッ、しょうがないわね。宥子の分も作ってあげるから、少しは我慢してよね。要望も聞くし、それで良いでしょ!?」
妥協案を提案され、
「ありがとう。宜しくね! 出来れば早めに作って♡」
と催促しておいた。
「分かった、分かった。先に食事を済ませようよ。冷めたら不味くなるよ」
容子に促され、私は食事が並べられたテーブルの椅子に着席する。
「「頂きます。」」
食事しながら、行儀は悪いが情報交換をしよう。
主に容子の武勇伝をBGM代わりに聞き流していたが、これも立派な報・連・相だ。
食事を終えて、一息吐いたところで今回の現象を確かめることにした。
まず、容子に玄関のドアを開けて貰う。
この場合、ドアの外は見慣れた近所の光景だ。
一旦、家の中に戻って貰い、今度は私が玄関のドアを開ける。
ドアの向こうは、セブールの宿で取った部屋に繋がった。
容子が、単独でサイエスに来れたのは果たして偶然なのだろうか?
何か法則でもあるのかもしれない。
この不思議体験に、二人して困惑した。
「気付いたというか、見落としてたことがあるんだけど……」
「何を?」
「宥子が、サイエスに滞在していると仮定する。その間、私は自宅の鍵があれば、サイエスと自宅を自由に行き来出来る。それなら、宥子が居なくてもサイエスに行けた理由付けにもなるよね?」
確かに、その発想は盲点だった。
「よし、実験してみよう。今からサイエスに行ってくる。ドアは閉めるよ。10分後に容子が、私のスマホに電話を入れて確認が取れたら鍵を開けて、サイエスにこれるか検証しよう」
「OK牧場♪」
結果を言うと、容子の仮説は正しかった。
容子は、私がサイエスに滞在中限定で日本とサイエスを自由に行き来することが可能だと判明した。
私は体の向きをくるりと変えて、容子と対峙するように腕を組み仁王立ちしている。
気分は、さながら尋問官のようである。
「愚昧よ、何でアンタがサイエスに来られているのよ? その時の状況を詳しく話しなさい」
私の質問に、容子は目を泳がせながら弁明した。
「玄関のドアを開けたら、サイエスに繋がってたんだよ!」
「その現象は、検証する必要がある。でも、問題はそこじゃないよね?」
話を逸らすんじゃないと黒い笑みで圧を掛けると、
「だって、私も冒険したかったんだもん! 目の前に、未知の世界があるんだよ。飛び込まずして、冒険家にはなれないよ」
と、ほざきやがった。
「冒険するために、サイエスを訪れているわけじゃないからね。出稼ぎの序でに、経験値を稼ぐために来てんの。更に言うと、私は誤召喚とはいえ正式に招かれてんの。容子は、裏技で押し掛けて来てることを自覚して。邪神が、それを察知して何か仕掛けてくるかもしれないでしょう」
昏々とお説教をかましたら、やっと大人しくなった。
「それで、セブールまでどうやって来たのさ。玄関の出現先は、近くの村を迂回して一時間以上バイクで走らないと到着出来ない距離がある。城門前まで乗ってきたとは、言わないよね?」
「流石に、そこまで馬鹿じゃないよ! 人と遭遇しないように、ちゃんと迂回してきたよ。モンスターを轢き殺したのは認めるけど、人とは遭遇しなかった」
「容子、結界魔法使えたっけ? 結界が張れないと、容子にもぶつかった時の衝撃があったでしょう」
「サクラちゃんほどの強い結界は無理だけど、簡易結界をなら聖魔法で張る事が出来るのだ。バイクは、ミラー部分が拉げたり、所々凹んだりしたけどね」
哀愁漂わせながら語る容子に、私は勝手な行動したことを咎めるべきか、原付バイクが廃車とまではいかないにせよ傷がついた事を慰めれば良いのか悩む。
「ドロップ品は、勿論回収したんだよね?」
「当たり前! 轢き殺したモンスターのドロップ品とお金でも足りないくらいの損失だよ。晴れて冒険者になった事だし、私もサイエスに滞在してガッポリ稼ぎますとも。新車を買うために!」
容子は、モンスターに駆逐されてしまえば良いのに。
如何せん、容子単身でサイエスに来られた原理を早急に解明しなければ。
毎度、私の預かり知らぬところで問題を起こして呼び付けられるのは勘弁だ。
「はぁ…。無事に合流出来たから良かったものの、そうじゃなかったらどうするつもりだったのさ」
「何とかなると信じてた! まずは、何故私単独でもサイエスに行けたのか。この謎を解くべきじゃない?」
「そうだね」
「あとさ、容子のアイテムボックスを共有するのは楽で良いんだけど。私の物とごっちゃになるから分けることは出来ない? 流石に、下着やハブラシとか共有したくないし」
確かに、今までは同じ袋に詰め込む要領で個別に分けることはしなかった。
「出来るかやってみる。その前に、容子はステータを確認したら? 多分、レベル上がっているだろうし」
「うん、それもそうだね。ステータスオープン」
---------STATUS---------
名前:マサコ(琴陵 容子)
種族:人族
レベル:47
職業:社畜
年齢:18歳[25歳]
体力:156→163
魔力:263→271
筋力:91→99
防御:78→84
知能:123→130
速度:53→59
運 :70→98
■装備:水色のAラインワンピース・ミュール・miun miunのリュック
■スキル:料理4・鍛冶1・射撃2・聖魔法1→3・生活魔法1・水魔法1・索敵3・隠蔽2[7]・隠密[7]・魔力操作1
■ギフト:なし[アイテムボックス共有化]
■称 号:[宥子の従魔・]蜂殺し・轢き逃げ
■加護:なし[須佐之男命・櫛稲田姫命]
[■ボーナスポイント:18647pt]
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容子のステータスを確認したら、聖魔法のレベルが上がっている。
物騒な称号まで取得しているとは、一体どれだけのモンスターを轢いてきたんだ?
「フォルダ機能は、まだ解放出来ないわ。鍛冶スキルで、アイテムバッグ作ってみたら? 共有したくない分は、そこに入れれば良いと思うだけど」
「その提案は悪くないけど、アイテムバッグの容量を無限するのは無理でしょう? 作ってみるけど、多分失敗作も出ると思う」
「その辺は、私が売り捌くから安心しなさい」
アイテムバッグは、メジャーだが貴重な品であることには変わりない。
その手のアイテムは、ダンジョン報酬で得られる物ばかりだ。
仮に店で売っていたとしても、容量は少ない物が多いだろう。
萎びた布のショルダーバッグも買い替え時期だし、是非とも鍛冶スキルの練習台としてアイテムバッグの量産をして欲しいものである。
「鍛冶1→5まで上げてみた。後でアイテムバッグの試作品を作ってみる。フォルダ分けが出来るまでは、リュックの中に必要最低限の私物を入れることにするよ」
と言いながら、リュックバックの中から荷物を出している。
ベッドの上に置かれた物の中には、物騒な物がチラホラある。
財布とサングラスは、まだ分かる。
サバイバルナイフ・ハンマー・五寸釘は要らないだろう。
物騒過ぎやしないか、愚妹よ。
貴様は、それで普通に買い物とか行こうとしてたのか?
どこのキチ●イだよ!!
お前の行く先が、謎過ぎて怖いわ。
最後にエコバックをベッドの上に置き、空になったリュックに下着や歯磨きセット、化粧品などをアイテムボックスから取り出して入れている。
私は、容子がモンスターを狩ってドロップされたアイテムの確認をした。
ウルフの毛皮×21
ワーウルフの毛皮×5
キラービーの羽×31枚
キングホーネットの腕×3本
キングホーネットの羽×2枚
毒針×1個
黄色の魔石(小)×22個
青い魔石(小)×13個
紫の魔石(中)×1個
緑の魔石(大)×1個
キングホーネットの心臓1個
金貨29枚・銀貨12枚・銅貨81枚・青銅貨103枚
妹よ、……姉ちゃんは何も言えない。
私より運悪くないか?
紫と緑の魔石なんて初めて見た。
魔石の色や大きさによって買取金額が変わるのは知っているが、紫と緑は青い魔石よりも高く買い取って貰えるのだろうか?
それ以外にも、私が轢き殺してドロップしたアイテムを全部見るだけで、どれだけ縦にスクロールすれば良いんだ。
終わりが見えないのが辛い。
必要な時に、必要な物があれば良い。
アイテムボックスをカスタマイズ出来れば、色々と使い勝手は良くなるだろう。
こればかりは、解放条件を探して見つけるしかない。
「宥子、家に帰ろうか」
「そうだね。ここで作業してもあれだし、容子の衣装ケースをアイテムボックスに納めれば、下着云々は解決出来るんじゃない?」
「そう上手くいくかな?」
「衣装ケースにラベリングしておけば、大丈夫でしょう」
レオンハルトの紹介状という前例がある。
私の私物と容子の私物を明確に分けるのであれば、所有物をハッキリさせれば良い話だ。
取敢えず目的の1つは達成したし、一旦、家に帰ろう。
調味料を購入するために、買い出しにも行かないといけないからね。
私は、部屋の内鍵がきちんと閉まっていることを確認して自宅の鍵を取り出した。
「いつ見ても、不思議な光景だわ」
宙に浮かぶ自宅の玄関ドアを見て、容子がポツリと呟く。
「時期に慣れる。サイエスで私名義の家を購入したら、同じような事が出来るかもしれんね」
その時叩いた軽口が、後に本当になるとは、この時の私は想像だにしていたなかった。
「たっだいまー」
返事が返ってくることはないのは分かっているが、ただいまと言うのが習慣化している。
リビングに直行すると、そこは汚部屋になり果てていた。
物が散乱して、足の踏み場もない。
まさかとは思い、容子の部屋のドアを開けると腐海の森になっていた!
「この馬鹿!! 部屋を汚すんじゃねぇ!! 部屋の汚さは、心の醜さだ。共有部分は、綺麗に使えって何度言ったら分かる。掃除しろ。このスカポンタン!」
フンッと容子の尻を思いっきり蹴り飛ばし、散らかり放題の部屋に押し込んで放置する。
私は、物が散乱したリビングを片付けるべく動いた。
ママゾンから届いた箱を発掘した事で、少し機嫌が回復した。
待ち続けたんだよね。
雪国でも暖かく着れるコートが欲しくて探してたら、7980円と手頃価格で即決購入したダウンコート!
クーポンとポイントを駆使して、実質0円でGETしたよ!
ルンルン気分でコートをアイテムボックスの中に収納する。
アイテムボックスの共有化が可能になったのは喜ばしいことだが、私物と他人の物の区別が付かなくなるのは困る。
せめて、カテゴリー別で分けられないだろうか?
フォルダの作成は解放条件を満たしていないので無理だったが、カテゴリー別に分けることはあっさりと出来た。
ただし、所有権をハッキリと主張していない物は共有になるので私物に名前を書くか、私物を入れたケースに名前を書く必要がありそうだ。
「補充用の弾・充電機・日用品の予備が、宥子の部屋に置いてあるからアイテムボックスに仕舞ってね。ご飯系は、レンチンしてからアイテムボックスに入れる様に」
容子の指示に、へいへいと答えながらポンポンとアイテムボックスに荷物を放り込んでいく。
容子がいつの間にか自室に戻り、私はアイテムボックスの整理をして一息吐いていた。
「今回も結構な量だったから疲れた。お腹減ったぁ」
ぐったりとソファの上でダラダラしていると、ニュッと手が生えた。
「ん」
容子の手には、真新しいウェストポーチとタガーケースが握られている。
これはひょっとして、ひょっとしなくても私のか!?
撥水加工が施されたキャンパス地に契約カルテットの刺繍が小さくあしらってある。
小洒落た感が出て良いじゃん。
これなら、サイエスでも違和感がなく使えそうだ。
ナイス、妹よ!
「ありがとう」
「どういたしまして。今日は、手抜き料理です」
時短と称して手抜き料理を出されました。
容子曰く、サッパリ美味しいネバネバ丼に油揚げの味噌汁とサーモンサラダだ。
「あのさ、いつまで私のウェストポーチとタガーケースを弄ってんの?」
「私に渡してくれたじゃん。私のでしょう?」
「違うに決まってんだろーがっ! アイテムバッグが完成したから、鑑定して欲しくて渡しただけなのに! 何で勘違いしてんの?」
容子は、サッと私の手からウェストポーチとタガーケースを抜き取った。
それを装着し、小銭入れとスタンガン・化粧道具一式を詰めている。
ウエストポーチが膨らむ形跡はないので、自前でアイテムバッグを作ったようだ。
「アイテムボックスは隠しているから、アイテムバッグでなくて良いから鞄作ってよ」
私の生産系スキルは調合だけだ。
これは、無理矢理取らされたやつで自分から進んで取ったわけではない。
でも、鍛冶スキルを取得しても容子と同じクオリティの物が作れるとは思えない。
だって、センス皆無だもの。
「チッ、しょうがないわね。宥子の分も作ってあげるから、少しは我慢してよね。要望も聞くし、それで良いでしょ!?」
妥協案を提案され、
「ありがとう。宜しくね! 出来れば早めに作って♡」
と催促しておいた。
「分かった、分かった。先に食事を済ませようよ。冷めたら不味くなるよ」
容子に促され、私は食事が並べられたテーブルの椅子に着席する。
「「頂きます。」」
食事しながら、行儀は悪いが情報交換をしよう。
主に容子の武勇伝をBGM代わりに聞き流していたが、これも立派な報・連・相だ。
食事を終えて、一息吐いたところで今回の現象を確かめることにした。
まず、容子に玄関のドアを開けて貰う。
この場合、ドアの外は見慣れた近所の光景だ。
一旦、家の中に戻って貰い、今度は私が玄関のドアを開ける。
ドアの向こうは、セブールの宿で取った部屋に繋がった。
容子が、単独でサイエスに来れたのは果たして偶然なのだろうか?
何か法則でもあるのかもしれない。
この不思議体験に、二人して困惑した。
「気付いたというか、見落としてたことがあるんだけど……」
「何を?」
「宥子が、サイエスに滞在していると仮定する。その間、私は自宅の鍵があれば、サイエスと自宅を自由に行き来出来る。それなら、宥子が居なくてもサイエスに行けた理由付けにもなるよね?」
確かに、その発想は盲点だった。
「よし、実験してみよう。今からサイエスに行ってくる。ドアは閉めるよ。10分後に容子が、私のスマホに電話を入れて確認が取れたら鍵を開けて、サイエスにこれるか検証しよう」
「OK牧場♪」
結果を言うと、容子の仮説は正しかった。
容子は、私がサイエスに滞在中限定で日本とサイエスを自由に行き来することが可能だと判明した。
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お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
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ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
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応援ありがとうございます。】
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